2020年2月9日日曜日

辺野古基地70m超も「軟弱」 地盤調査を防衛省が伏せる(東京新聞)

 これまで我々は、辺野古基地建設予定エリアの「B27」地点の海底は海面下90m以深に支持層があり、海面下70m~90mの部分はマヨネーズ状の軟弱地盤という認識でした。
 しかし防衛省の建前はそうではなく、B27地点の海面下70m~90mの地層は「非常に固い」粘土層ということで、砂杭の支持層になるというものだったということです。

 共産党の志位議員は8日のツイッターで、防衛省は自分の質問に対して70m超の地盤は非常に固い」と回答したと述べています。
 同省は「軟弱地盤の根拠になった業者のデータは、業者が独断で実施試験方法も簡易的なやり方だったので設計の検討には使えないと判断した」としています。では何を基準に「非常に固い地盤」と判断したのかですが、それはB27地点から最長750m離れた別の地点のデータを参考にした、ということです。
 一体何を根拠に750mも離れた別地点とB27地点間の海底の地層が完全に水平であると見做したのでしょうか。全くあり得ないことで話しになりません。そんな前提のもとで1兆円近くかかる工事の計画変更を進めているのだとすればその無責任さには絶句するしかありません、トップの無責任さが伝染したでは勿論済まされません。

 東京新聞が2つの電子版記事で取り上げました。
 正確に読み取りにくいのですが、防衛省が20193月に国会へ提出した一連の調査結果の巻末資料として、(業者のデータが?)英文で表記されていたということのようです。防衛省はデータの存在を伏せ、これまで「B27地点では強度の試験をやっていない」と国会や東京新聞の取材に答えていたと報じています

 いずれにしても750mも離れた地点のデータが無条件で用いられていい筈はありません。少なくとも現行の計画変更作業は「無根拠」であるとして、辺野古基地の建設は「施工不能」であることを明らかにすべきです。
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辺野古軟弱地盤 防衛省「強度試験やってない」 国会や取材に虚偽説明
東京新聞 2020年2月8日 朝刊
 政府が「ない」としていたデータが存在していた。埋め立て予定海域の海底に広大な軟弱地盤を抱える沖縄・辺野古の米軍新基地建設工事で、防衛省が想定する地盤強度を大幅に下回るデータが明らかになった。これまで防衛省は本紙の取材や国会で、最深部の軟弱地盤について「強度試験はやっていない」と虚偽の説明を繰り返し、不都合なデータを伏せてきた。 (中沢誠)

 「最初から地盤の強度試験はやっていない。海底の地中から採取した試料は土の性状を見るためのもの」
 軟弱地盤が海面から深さ九十メートルに達する埋め立て予定海域の「B27」地点。防衛省の担当者は昨年十月、本紙の取材に、海底の土の採取は認めながら、試験はしていないと断言した。
 埋め立て予定海域にはマヨネーズ状といわれる軟弱地盤が広がり、埋め立てると地盤沈下の恐れがあるため、防衛省は七万本以上の砂などの杭(くい)を海底に打ち込み、地盤を固める工事を検討している。
 ただ、海面下九十メートルの深さでの地盤改良工事は世界でも例がない。それでも防衛省はこれまで「七十メートルまで改良すれば、(基地の)施工は可能」としてきた。根拠としたのは、七十メートルより深い地盤は同じ粘土層でも「非常に固い」とする地盤データだ。しかし、このデータは「B27」地点の実測値ではなく、別地点のデータからの類推だった
 防衛省が地盤改良の検討報告書を公表した昨年三月以降、国会では野党が「B27地点で地盤の強度試験もせずに大丈夫だと判断したのは、極めて不自然」などと追及した。
 これに対し、当時の岩屋毅防衛相らは「B27地点そのものは(強度試験を)やっていない」。B27地点のデータの存在に言及したことは一度もなかった。
 防衛省整備計画局は、これまでの国会答弁や取材への回答について「正確な説明ではなかったかもしれないが、うそをついたつもりはない」と抗弁する。B27地点の強度データは「業者の独断で行った使えないデータだった」と強調した。
 だが、国から地質調査を請け負ったことがある建設コンサルタントは証言する。「どんな試験をするか、事前に発注者の許可を取る。指示のない試験を受注業者が勝手に行うことは、指名停止につながる恐れもあり、常識ではあり得ない」

◆防衛省対応理解できぬ
<地盤工学に詳しい日本大学の鎌尾彰司准教授の話> 今回明らかになった強度試験は、簡易的な試験。ただ、建設できないリスクをはらんだデータである以上、検討すらしないという防衛省の対応は理解に苦しむ。巨額の税金を使うだけに、あらゆるリスクを想定し、より綿密に地盤調査をすることが望ましい。


辺野古、70メートル超も「軟弱」 地盤調査、防衛省伏せる
東京新聞 2020年2月8日
 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡り、埋め立て予定海域で防衛省の想定に反し、海面下七十メートルより深い海底の地盤が「軟弱」であることを示すデータが検出されていたことが分かった。「七十メートルまで地盤改良すれば施工可能」という同省の設計の前提は、根底から覆る可能性が出てきた。同省は「業者が独断で行った調査で信頼性が低い」としてこの実測データを採用せず、調査した事実すら伏せていた。 (中沢誠)

 海底の軟弱地盤の存在は着工後に判明し、粘土層は最深部で海面から九十メートルにまで達すると指摘された。防衛省は地盤改良の必要から設計変更の準備を進めているが、工事の助言を得る有識者会議にもこのデータを示していなかった。
 「軟弱」を示すデータが検出されたのは、軟弱地盤が九十メートルまで達していると指摘された「B27」地点。防衛省から委託された業者が現場で土を採取し、地盤強度を計測。その結果によると、七十メートルより深い地盤でも地盤強度の区分で六段階のうち二番目に軟らかい地盤に該当した。
 データは、防衛省が二〇一九年三月に国会へ提出した一連の調査結果の巻末資料として、英文で表記されていた。防衛省はデータの存在を伏せ、これまで「B27地点では強度の試験をやっていない」と国会や本紙の取材に答えていた。
 防衛省はその一方で、B27地点の地盤強度を最長七百五十メートルも離れた別地点のデータから類推し、「七十メートルより深い地盤は非常に固い」とし、七十メートルまで地盤改良すれば基地建設は可能と結論付けている

 B27地点には巨大な護岸が設置される。真下の地盤が軟弱だった場合、護岸が沈下したり傾いたりして基地として機能しない恐れがある。防衛省はB27地点の実測データは「信頼性が低い」として採用せず、設計変更の検討に当たっても考慮に入れていない
 防衛省の設計変更案では工期が倍の十六年、総費用は当初計画から三倍近い九千三百億円と見込む。

◆工事の根拠覆す実測値
<解説> 防衛省が基地建設を進めるのに不利なデータを伏せていた背景には、「辺野古ありき」で工事を強引に進める政府の姿勢がある。
 安倍晋三首相は昨年一月の国会で「施工実績が豊富な工法で、工事は可能」と強調した。その根拠とした地盤の強度は、最深部のB27地点とは異なる地点のデータから導いた類推値だ。今回明らかになった「軟弱」を示すデータは、B27地点の実測値であるにもかかわらず、無視された。
 B27地点では別の強度試験のデータでも、基礎地盤として望ましい強度を下回っていたことが昨年三月、本紙報道で明らかになった。防衛省はこのデータも同じように「信頼性が低い」と採用していなかった。
 一兆円近い税金を投じる世界でも例のない難工事にもかかわらず、あえてリスクを低く見積もる防衛省の対応は、工事を強行するための帳尻合わせに映る。
 七十メートルより深い地盤も「軟弱」だったとすれば、基地建設すら危ぶまれる事態だ。防衛省はいま一度立ち止まって、計画を再検討するべきだ。 (中沢誠)

◆業者が独断実施
<防衛省整備計画局のコメント> B27地点での地盤強度の試験結果は把握していたが、隠す意図はなかった。この試験は防衛省が指示したものではなく業者が独断で実施。試験方法も簡易的なやり方だったので、設計の検討には使えないと判断した。防衛省が指示していない調査データが報告されていた理由は分からない。

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