広島市と長崎市は、被爆75年になるこの夏に米ハワイ州で初の原爆展を開くことを決めました。被爆の実相を伝える写真展示や被爆者による証言を予定しています。
この企画に対しては過去には退役米軍人らからの反発もありましたが、ようやく日米開戦の発端となった真珠湾攻撃の地での開催がかないました。
米国が広島市と長崎市に行った原爆投下や、東京をはじめ日本の各都市を標的にした大空襲は、いうまでもなくジュネーブ諸条約等に反する戦争犯罪です。
ところが米国の大手調査機関ピュー・リサーチ・センターが15年4月に発表した調査結果によると、アメリカ人の56%が原爆投下は「正当」と答え、「不当」は34%にとどまりました(日本人は「正当」が14%、「不当」が79%)。
一方若い世代では、英国の調査会社ユーガブの調査によると、18~29歳と30~44歳の年齢層では、原爆投下を「誤り」とする回答がそれぞれ45%、36%を占め、「正しい」とする回答がそれぞれの31%、33%でした。若い世代では原爆投下を批判する見方が僅かに強くなっているのはせめてもの救いです。
東京新聞の記事を紹介します。
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開戦の地ハワイ 初の原爆展 被爆75年の夏 広島・長崎共同
東京新聞 2020年2月9日
広島市と長崎市は、米ハワイ州で初の原爆展をこの夏から開くことを決めた。被爆の実相を伝える写真展示や、被爆者による証言を予定。過去には退役米軍人らからの反発もあった企画だが、七十五年を経てようやく日米開戦の発端となった真珠湾攻撃の地での開催がかなった。
広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之(みまきとしゆき)理事長代行(77)は「米国では今も原爆投下を正当化する声が根強いと思うが、だからこそ日米にとって忘れてはならない場所で被爆地の実態を見てもらえるのは非常に意義深い」と期待を寄せた。
広島市などによると、会場は、日本が太平洋戦争の降伏文書に調印し、現在は真珠湾に係留されている米戦艦ミズーリの記念館で、会期は七~九月。その後、ハワイ大ヒロ校でも開く。展示の詳細は未定だが、広島と長崎の原爆資料館が所蔵する被爆資料から選ぶとしている。
広島市の松井一実市長は「罪のない民まで殺してしまう兵器があってはならないという、被爆地の考えを広く理解してもらうきっかけになれば」と話した。
広島、長崎両市は被爆五十年の一九九五年に海外での原爆展をスタート。これまでに米国を含む十九カ国の五十一都市で開催されている。