2020年2月28日金曜日

親に負担を押し付ける『休校』に非難殺到 対策費は153億円のままとは

 27日、安倍首相が唐突に全国すべての小中高校と特別支援学校に32日からの臨時休校を要請すると発表しました。北海道の鈴木直道知事が休校を宣言したことに決断力があると評価の声が高まったので、自分もということで27日になって萩生田文科相と一方的に決め、何の根回しもなく慌てて発表したということです。
 新型コロナ対策専門家会議の岡部信彦委員は、NHKの取材に「感染症対策として適切かどうか一切相談なく、政治判断として決められたものだ。判断の理由を国民に説明すべきだ」と厳しく批判しました。
 子どもが休校となれば共働き家庭では保護者が仕事を休むなどの対応を迫られ、とくにひとり親家庭や非正規社員、医療関係者など多くの人たちが大変なことになりますそれに対して何の対策もとらずに、「やってる振り」のパフォーマンスでは話になりません。「生活苦」とは無縁の暮らしをしてきた人間に政治をさせた結果がこの悲劇です。
 ちまたの人たちからは怨嗟・悲嘆・抗議の声が溢れています。
「子どもを学校に通わせながら働いている人にとって『働くな』と言っているようなもの」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長
医療福祉警察・消防関係など社会を支えている職種の親はどうするのか。社会が崩壊しかねない(市長)
臨時休校は現場の声を聞いてから判断してほしかったあまりに急で、憤りを通り越して、ただただ驚いてい公立中学校校長
幼稚園が預かってくれないと仕事に行けない」(幼児の保護者
安倍首相の発表は、共働きの親にとって絶望的(共稼ぎの母親)
今年卒業の子たちにはみんなと過ごせる残りわずかな時だったのに(生徒の保護者
急すぎる卒業式がなくなる・・・子どもたちがかわいそう公立小学校教師

 自分たちには何の痛みもないからと平然とそうした方針を発表する一方で、肝心の新型コロナウィルス対策は一向に進んでいません(即断即決すべきは、例えばPCR検査への保険適用などの筈です)。
 現段階で報じられている諸外国の対策費は、韓国約1兆3700億円(28日決定予定)、中国約1兆500億円香港約4000億円シンガポール約5000億円台湾約2200億円米国約2700億円(議会に要請であるのに対して、日本は僅かに153億円です。
 数字は実態を明示します。為政者の無知蒙昧が端的に示されます。この期に及んでも「パフォーマンスで『事足りる』」と考えているとは恐ろしいというしかありません。
 LITERAが厳しく非難する記事を出しました。
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安倍首相の独断“休校要請”に非難殺到! 親に負担押し付けの一方、
コロナ対策費は足りてると153億円のまま! 韓国は1兆円以上なのに
LITERA 2020.02.27
 また安倍首相が場当たり的な決定を出した。本日、唐突に全国すべての小中高校と特別支援学校に3月2日からの臨時休校を要請すると発表したことだ。
 安倍首相はまるで英断であるかのごとく発表したが、各方面から非難が殺到している。たとえば、政府の新型コロナ対策の専門家会議の岡部信彦委員は、NHKの取材に「専門家会議で議論した方針ではなく、感染症対策として適切かどうか一切相談なく、政治判断として決められたものだ。判断の理由を国民に説明すべきだ」と厳しく批判した。
 しかも、問題なのは、保護者への対応だ。子どもが休校となれば共働き家庭では保護者が仕事を休むなどの対応に迫られ、とくにひとり親家庭や非正規社員、医療関係者など多くの人たちがたいへんなことになる。保護者が仕事を休める環境にあるのか、保護者が休む場合休業補償は出るのかなど、問題はいっぱいある
 当然、これらの対応も万全に整えた上での決断だろう。そう思いきや、なんと安倍首相は、企業などに対して「休みがとりやすくなる環境を整えてもらうとともに、子どもを持つ保護者への配慮をお願いする」と述べただけ。結局、またも国民や企業、学校に責任を丸投げしたのである。
 対応策も練らずに見切り発車で決定する──。実際、複数のメディアが、根回しや議論がないまま、安倍首相がきょうになって萩生田光一文科相と会って一方的に決めたと報じている。
「国内外から安倍首相の『リーダーシップ』を疑問視する意見が飛び出すなか、安倍首相は非常に焦っていた。そんななか、北海道の鈴木直道知事が休校を宣言したことに『決断力がある』などと評価の声が高まったので、『自分も』ということで慌てて発表したようだ。だからなんの準備もしてなかったというわけです」(全国紙政治部記者)
 ようするに、安倍首相が重要視しているのは、「やってる感」のアピールだけで、国民の生命と生活を守る体制づくりなんて何も考えていないのである。
 それが一番よくあらわれているのが、新型コロナ対策の予算だ。そう。この期に及んで安倍首相はまだ新型コロナ対策費をケチっているのだ。
 昨日の衆院予算委員会では、現在政府が決定している緊急対策費総額153億円では少なすぎると共産党の藤野保史衆院議員が指摘。PCR検査体制の強化など必要な対策のためには予算の組み替えが必要だと提言したのだが、ところが安倍首相は、平然とこう言い切ったのだった。
「経費と今年度予備費を活用することでですね、何よりも国民の健康と命を守ることを最優先に必要な対策を躊躇なく実行していくことが可能と、こう考えています。その上で、来年度予算については、現時点でこうした経費に直ちに不足が見込まれる状況ではありませんが、今後の影響にもしっかり目配りしながら注意深く対応していく所存でございます」
 経費に不足が見込まれる状況ではない? つまり、安倍首相は、新型コロナ対策は現状、153億円で足りると言っているのだ。思わず耳を疑わざるを得ない答弁だ。言っておくが、東京都でさえ新型コロナ対策として総額401億円の補正予算案を計上している。なのに、政府の対策費はその半分以下で、安倍首相は「必要な対策を実行することが可能」などと主張したのだ。

韓国は1兆3738億円の補正予算が報道される中、日本は153億円のまま
 この153億円という数字がいかに少ないか。それは他国の対策費と比較すれば一目瞭然だ。現段階で報道されている数字をまとめてみよう。
中国     約1兆500億円
香港     約4000億円規模の基金設立
シンガポール 約5000億円
台湾     約2200億円(上限) 
米国     約2700億円(補正予算を議会に要請)
 このように、日本とは一桁違うことがわかるだろう。また、韓国は明日にも予算案が公表される見通しだが、新型コロナ対策の補正予算は約1兆3700億円になると見られている(朝鮮日報24日付)。
 金額だけではない。予算の使途もこうした国と日本は雲泥の差だ。
 たとえば、香港では前述した約4000億円の予算のなかから学生や低収入家庭に対する補助金を支給(日本貿易振興機構18日付)。さらに26日に発表した2020年度予算案においても、新型コロナの感染拡大を受けて18歳以上の全市民約700万人に約14万円を支給することを決定している。
 予算約5000億円を計上しているシンガポールでは、〈国民の雇用維持のため、政府が国民の月給の8%分を3カ月間、雇用主に支給〉したり、〈21歳以上の全ての国民に現金100~300Sドル支給〉〈未成年の子どものいる世帯に追加100Sドルの現金支給。5人以上の家族には電気・水道料金の追加払い戻し〉といった生活補償策が打ち出されている(日本貿易振興機構27日付)。
 さらに本サイトではたびたび紹介してきたように、韓国では入院隔離されている人に対して、14日以上隔離された場合、4人世帯基準で月123万ウォンの生活費を支援することを決定。この支援の対象には外国人も含まれ、さらに隔離された労働者に有給休暇を提供した事業主にも有給休暇費が支給されるという。
 このように、国民の生活や休業補償に気が配られた対策を打ち出す国々に対し、日本はどうなっているのか。以下、対策本部資料から引用しよう。
◎帰国者などへの支援:30億円(うち、帰国者などの受け入れ支援:23.4億円 防衛省による生活・健康管理支援:3.2億円)
◎国内感染症対策の強化:65億円(うち、検査体制・医療体制の強化:30.6億円   帰国者・接触者外来、接触者相談センターの設置:5.1億円
   検査キット、抗ウイルス薬・ワクチン等の研究開発:10.0億円
   国際的なワクチン研究開発等支援事業:10.7億円
   マスク生産設備導入補助:4.5億円)
◎水際対策の強化:34億円(うち、有症者発生時の感染の拡大防止に必要な措置:30.2億円 検疫体制の強化:3.4億円)
◎影響を受ける産業などへの緊急対応:6億円(うち、コールセンターの設置:4.9億円 雇用調整助成金:1.0億円)
◎国際連携の強化など:18億円(うち、アジア各国への検査体制充実への貢献:16.5億円 NGOを通じた支援:1.0億円)

検査医療体制強化費もわずか30億円 吉本興業には100億円の補助金を出すくせに
 日本の場合は、患者やその家族への生活支援は限りなくゼロに近い。しかも、驚くべきは、いま喫緊の問題となっている「検査体制・医療体制の強化」に、わずか30.6億円しか投入していないことだ。
 この数字がいかに異常か。たとえば、安倍首相が懇意の吉本興行がNTTと共同でおこなう教育コンテンツなどを国内外に発信するプラットフォーム事業参入には、昨年、経産省がつくった官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円出資すると決定している。
 つまり、吉本が参加する事業に最大100億円もの補助金をポンと出す一方で、「国難」と呼ぶべき新感染症対策、とりわけPCR検査や医療機関の受け入れ体制といった国民の不安が高まっている分野には、その3分の1にも満たない約30億円しか対策費を計上していないのである
 驚きはそれだけではない。前述したように他国は国民への生活・休業補償に予算を割いているが、日本は生活補償にかんする予算振り分けが見当たらないばかりか、「雇用調整助成金」に充てられているのも、たったの1億円だけだ。
 たしかに政府は153億円のほかにも、海外からの観光客の宿泊キャンセルで打撃を受けている旅館業をはじめとする中小企業向けとして日本政策金融公庫などに5000億円の緊急貸し付け・保証枠を設けているが、これを足しても韓国の予算措置には及ばない。
 しかも、安倍首相や麻生太郎財務相は、この対策費とは別に昨年末に総合経済対策を打っていることを持ち出して追加の経済対策を現状は考えていないとしているが、当然ながらこの総合経済対策は新型コロナの発生など踏まえていないものだ。それでなくても消費増税によって日本経済は土台からボロボロなのに、そこに世界不況を巻き起こしかねない新型コロナの影響を受けるのである。にもかかわらず、この悠長な態度は一体何なのか。
 いや、そもそもこのままの対策費ならば、PCR検査をさらに拡大させることなど無理な話だろう。検査を拡大させればその費用がかさむだけではなく、検査拡大によって患者も増え、入院費などもかさんでゆくからだ。果たしてそれを約30億円の予算で賄えるだろうか。
 市中感染が拡大し、経済の先行きも不安しかないなか、陣頭指揮をとる安倍首相が「やってる感」アピールだけで、休業補償の打ち出しもないまま独断専行で休校要請を決め、対策費も後手後手で予算投入を渋っている現在。ほんとうにこの国はどうなってしまうのだろう。(編集部)