1986年、当時のソ連・チェルノブイリで起きた原発事故では、ソ連は「避難の権利」=「年間被曝量1mSv(ミリシーベルト)以下は避難不要、5mSv以上は要避難、1~5mSvの範囲は各人が判断(避難の費用は国が負担)」を確立しました。
そうした先行例があるにもかかわらず、日本は年間被爆量20mSv以上にしか避難の権利を認めず、20mSvまでは児童や妊婦(胎児)を含めて安全に生活できるとしました。こんな基準で済ませているのは世界中で日本だけです。明らかな被爆劣等国です。
新型肺炎の国内の感染確認者は520人(クルーズ船454人含む)に達しました。クルーズ船内の検査はもう2週間にもなるのに遅々として進まず、ようやく1723人の検査が済み(当初の総員は約3700人)、合わせて454人の感染が確認されました。日に日に上昇した感染率は実に26%に達しました。
米国は2機のチャーター機を回し、17日朝、クルーズ船の乗客・乗員330人を帰国させました。下船時に約40人の感染が確認されましたが、うち帰国を希望した14人は機内で隔離した状態で帰国しました。
諸外国が日本の対応の拙さを非難するのは当然のことで、米国に引き続き、各国はチャーター機の手配を進めています。
日刊ゲンダイが「怠慢の安倍政権…中韓と新型肺炎対策“本気度”の差浮き彫り」とする記事を出しました。紙面のサブタイトルや中見出しには「安倍政権と中韓 本気度の違い」「パンデミックス不可避」「脆弱な検査体制と対策費をケチった代償」などの文字が躍っています。
中国は勿論ですが、韓国も国を挙げて新型肺炎の検査体制を拡充し、隔離された感染者世帯への手当て支給の施策を既に実施しています。
「新型肺炎は怖れる必要はない」として水際対策を怠り、検査体制の拡充にも手を付けなかった安倍政権とはまさしく「本気度」において雲泥の差です。
12日の会合で、安倍首相は「5日の対策本部での私からの指示に基づき、民間の検査機関でも検査できるよう、その態勢整備に努めてきました」とドヤ顔で語ったということです。一体どこまで空しく目立ちたいのでしょうか。
NHKは18日朝、新型肺炎の検査対象を拡大したことを受け、民間の企業や大学などで検査をできる人数を増やし、18日からは1日最大でおよそ3800人の検査を行うことにしたと報じました。
これこそまさにパフォーマンスです。要するに政府が努力する以前に既にそれだけの潜在能力があったということで、なぜもっと早くからそうしなかったのかという話です。一刻も速くその対応を取らずに、なぜ漫然とクルーズ船内で454人(うち重体は19人)(17日現在)もの患者を発生させたのかということです。感染者から訴訟を起こされる惧れもあります。
政府が務めるべきことは、韓国に学んで、感染の疑いを自覚した国民が容易に検査を受けられ疑いがあれば安心して職場を休めるように、必要な手当てを支給することです。そうすることではじめて新型肺炎の「蔓延」を少しでも抑えることが出来ます。
被爆劣等国に続いて新型肺炎対策劣等国であり続けることには堪えられません。
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怠慢の安倍政権…中韓と新型肺炎対策“本気度”の差浮き彫り
日刊ゲンダイ 2020/02/17
新たなフェーズに入った新型肺炎。国内感染の広がりに歯止めがかからないだけでなく、感染経路の捕捉もできず、政府は右往左往だ。一方、震源地の中国や陸続きの韓国は感染抑止に死に物狂いで、効果が見え始めているという。事態を過小評価し、予算措置をケチった安倍政権との違いが浮き彫りだ。
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政府は先月30日に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置。ウイルスを高精度で検出するPCR検査をめぐり、先週12日の会合で安倍首相は「5日の対策本部での私からの指示に基づき、民間の検査機関でも検査できるよう、その態勢整備に努めてきました」とドヤ顔だった。18日までに1日当たりの検査能力は1000件超に増える見通しだというが、やっていることはデタラメだ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう言った。
「なぜ希望者全員にPCR検査を実施する方向になかなか舵を切れないのか。検査キットは1件1万円ほどで、1万人検査に要する費用は1億円、100万人でも100億円程度。民間の医療機関などの協力を仰ぎ、早急に誰でも検査を受けられる態勢を整えようとしなかったのは、官僚の既得権益も絡んでいるのか。そんな疑問さえ抱いてしまいます」
脆弱な検査態勢と対策費をケチった代償
政府が検査態勢の整備でモタモタした結果、対象を広げるほど感染者が次々に確認され、クルーズ船関係者を含む感染者数は400人超え。死者も出た。日本は中国に次ぐ感染国だ。感染が初確認されてから1カ月。なぜいつまで経っても検査能力が脆弱なのか。
コロナウイルス検査に用いる遺伝子関連試薬でアジア最大手のタカラバイオは、主力工場がある中国・大連市から緊急要請を受けて今月上旬以降、生産量を週25万人分、通常の50倍規模の増産態勢を取っている。中国サイドの要請に日本メーカーが対応しているわけで、日本政府だって同様のことができたはずだ。実際、同社は政府などからの要請があれば供給できるとしている。
一方、韓国では16日、5日ぶりに1人の感染が判明したものの、感染者は29人にとどまり、重症化せずに退院するケースが続いている。先月20日に感染初確認を受け、28日に総額208億ウオン(約19億3000万円)の防疫予算を組み、すでに約8000人がPCR検査を受けている。さらに、今月6日には新型コロナウイルス関連の研究開発に約10億ウオン(約9300万円)の予算を立てた。12日までソウルに滞在していた国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。
「韓国政府は感染を前提に動いたため、予算措置も検査態勢の拡充もスピーディーでした。2015年に中国と韓国で流行したMERS(中東呼吸器症候群)によって、韓国内で38人が死亡したほか、133万人の死者を出した朝鮮戦争も経験している。緊急時となればそうした知見を生かし、多少荒っぽくても素早く実行する土壌があるのです」
WHO(世界保健機関)シニアアドバイザーの進藤奈邦子氏は14日、「中国以外のほかの国では感染経路の追跡ができている。接触者の調査を行って一つ一つ消し止めることで感染は広がりを見せていない。日本だけが少し様相が異なっている」と指摘。「クルーズ船への対応も含め、世界中が今後の日本の対応を注視している」とクギを刺した。米国ではメディアからも議会からも日本批判が噴出している。支持者の顔色をうかがい、安倍は何かと中韓を見下してきたが、危機管理能力はそれ以下。このままじゃ、「世界の真ん中で嫌がられる日本」へまっしぐらだ。