2020年2月27日木曜日

27- 政府の基本方針を憂う/自宅で丸腰で闘えというのか/1日9万件の検査可能

 『37.5℃以上の高熱が4日間続いたら、まず「帰国者・感染者相談窓口」に連絡を取ってから‥‥云々』という世紀の愚策は、中国での大感染が起きてから1と月あまりも安倍政権が無為のままに過ごして来たことの帰結でした。
 その相談窓口(以降)が全く何の役にも立たないことは、TV朝日が連日報じている通りです。
 3つの怒りのブログを紹介します(「日々雑感」氏には、紙面の関係で割愛した下記のブログもあります)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
政府のコロナウィルス基本方針を憂う
天木直人のブログ 2020-02-26
 私は二日前(24日)のメルマガで書いた。
 コロナウィルスの事を何も知らない私でも、さすがに危機感をもつようになったと。
 その私の危機感は、きょう26日の読売新聞が一面に掲載した医療部長という肩書の記者が書いていた「不安解消へ情報具体的に」という見出しの次の記事を読んで、さらに高まった。
 すなわち館林記者は世界保健機構(WHO)の発表を引用して次のように書いている。
 新型ウィルスは、感染しても8割は軽症で終わるが2割近くは肺炎になり重症化すると。
 そして重症化すれば呼吸管理など高度な治療が必要になると。これはものすごい恐怖だ。
 5人に一人が重症化し、重症化したらあっという間に肺炎で重体になり、死ぬ可能性が極めて高いのだ。  重症化すると6割が死亡すると報じられています・・・事務局)
 しかも、軽症の段階では、一般のウィルス性の風軽と同じで特効薬はなく、自然に治るのを待つしかないという。
 
 これほど恐ろしい事は無い。もちろん、基本方針で指摘している感染防止は真っ先に必要な事だ。
 しかし、もはやここまで広がったら感染を100%防ぐことは不可能だ。
 だから我々が知りたい事は、自分は感染しているかどうか、それを誰でも、何回でも、わかるようにする体制こそ必要であり、感染したとわかったなら、肺炎になっていないか、それを確かめることが出来る体制こそ必要なのである
 そしてコロナ肺炎にかかっている事がわかったら、どうやってその肺炎を治せるのか、その特効薬や治療方法を一日も早く見つけ出し、それを国民に提供する必要がなる。
 ところが25日発表の基本政策では、そのいずれも教えてくれない。
 国民はどうすればいいのか。ますます不安が高まるばかりだ。
 政府の医療専門家は、ここ1-2週間が感染症拡大を抑える瀬戸際だと警鐘を鳴らした。
 しかし、この言葉は意味不明で不気味なことばだ。
 彼はここ1-2週間で、感染症がこれ以上拡大しない、あるいは沈静化するとでも思っているのだろうか。
 ひょっとして感染が抑え込めないから、日本ががけっぷちに立たされる瀬戸際にあると前もって予告したのか。
 そして、感染が抑え込めなかったのは国民の協力、努力が足りなかったからだと脅かすつもりで言ったのか。
 こんなことを言う暇があれば、国民を救うための政府の対応策を示すべきだ。
 すなわち、自分が感染したかどうかを誰でもすぐに、何度でも、確認できるようにし、感染していることが分かった患者には重症化しない対策を講じ、重症化した者に対しては最優先で治療方法を与え、死亡者を最小化する。
 これこそが政府の基本方針でなけばいけないのだ
 ところが25日に発表された内容は、そのいずれにも応えていない。
 国民の自助努力を促すばかりで、政府が国民に果たすべき義務がない。
 私は安倍政権を批判するために基本対策を批判しているのではない。
 こんな危機感のない対策を発表して、やった振りをしているようなら、日本はつぶれると警鐘を鳴らしているのだ。
 もはやコロナ対策は、与野党を超えて、行政と医療関係者が一体となって、いや政府、医療従事者と国民が一体となって、文字通り国家総動員体制で取り組まなければいけない段階に来ていると言いたいのだ。私の、この大げさな警鐘が、後になって笑い物になるなら、これ以上の喜びはない(了)

政府・厚労省は国民に「新型コロナウィルスと丸腰で自宅で戦え」というのか。
日々雑感 2020/02/26
 徳島県藍住町に住む60代の女性1人が四国で初めて新型コロナウイルスに感染したことがわかりました。女性は集団感染が確認されたクルーズ船の乗客で、船内の検査では陰性だったため下船していました。これまでに発熱などの症状は出ていないということです。
(中 略)
徳島県の飯泉知事は25日夜、記者会見し、「手洗いやマスクなどの感染予防策を徹底したうえで体調に異変がある場合には医療機関を直接、受診するのではなく24時間対応の電話窓口に相談してほしい」と呼びかけました
(以上「NHK NEWS WEBB」より引用)

 大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から「陰性」として下船し、故郷の徳島県へ帰っていた60代女性が新型コロナウィルスに感染していたことが判ったという。四国から初の新型コロナウィルス感染患者だそうだ。
 彼女が徳島県へ帰るのに公共交通機関を利用していたことが判明している。帰宅後は自宅から出掛けていないというが、濃厚接触者を含めて接触したと思われる人たちの検査が必要ではないか。
 政府・厚労省の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員・乗客に対する対応は間違っていた。なぜ早急に全員の検査を実施して、新型コロナウィルス感染患者と判明した者を速やかに下船させて病院に隔離しなかったのか
 そして陰性だった乗客・乗員は完成しているオリンピック選手村などに収容して、経過観察すべきだった。そうすれば感染地獄のような事態を招かないで済んだはずだ。
 徳島県の飯泉知事は25日夜、記者会見し「手洗いやマスクなどの感染予防策を徹底したうえで体調に異変がある場合には医療機関を直接、受診するのではなく24時間対応の電話窓口に相談してほしい」と「政府の対応指針」通りに呼びかけた、という。
 これまで政府・厚労省が推進して来た「予防医療」という観念と相反する「体調に異変がある場合には医療機関を直接、受診するのではなく24時間対応の電話窓口に相談してほしい」という姿勢が「新型コロナウィルス感染」の拡大を防ぐ方法として正しいのだろうか。それとも単に検査キットがなく、検査能力が一日当たり千体ほどにも満たないために、やむを得ずそうした措置を取らざるを得ないのだろうか。

 「発熱や倦怠感など容体がおかしいにも拘らず、四日ほどは自宅などで経過観察」してから電話窓口に相談する、というのは感染症対策としては間違っている。感染拡大を抑え込む手法としても、有効とはいえない。ましてや国民の健康と命を守る手法としては明らかに間違いだ。それは重篤な患者を増やすことでしかない。軽症の内にこそ検査を行って感染症治療を行うべきだ。
 治療薬がないから病院に入院しても同じだ、というコメンテータや評論家がいるが自宅には「人工呼吸器」はもちろん、普通には「酸素ボンベ」など常備していない。そして感染拡大を防ぐには物理的な「隔離」こそが有効なのは論を俟たない。
 なぜ大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から陰性として下船させた乗員・乗客をオリンピック村などの大規模宿泊施設に二週間程度滞在させて、経過観察しなかったのだろうか。もはやこの夏の東京オリンピック開催は不可能だ。
 この状態で開催を強行しても、選手や役員を東京に派遣する国は極めて少数ではないか。新型コロナウィルス感染のピークが三月末で、夏までには下火になるだろう、というのは政府に忖度した「専門家」の発言に過ぎない。今後は自宅待機した「軽症」感染患者がスーパー・スプレッダーとなって集団感染する事態が全国各地で起きるだろう。その前例は韓国で起きている。
 政府・厚労省の大甘でヌルイ対応方針がこの夏開催予定の東京オリンピックを不可能にするだろう。そして多くの国民が感染する事態を招くだろう。
 感染力ではこれまで経験したインフルエンザとは比較にならない。そして潜伏期間内でも感染力を持つというのも、これまでのインフルエンザには見られなかった現象だ。インフルエンザでは治癒してから五日程度の隔離だったのとは、同じコロナウィルスでも今回の新型コロナウィルス感染は治癒後の隔離期間が二週間と明らかに異なる。それでもワンシーズンのインフルエンザ患者数よりも少ない患者数で終息する、とする根拠は何だろうか
 さらに温かくなれば新型コロナウィルス感染は収まる、と麻生氏などが発言したようだが、温暖の地のシンガポールやタイでも新型コロナウィルス感染が起きている事態をどう説明するのか。だから夏前に終息する、というのは願望に過ぎない。
 私たちは新型コロナウィルス感染に武器を持たないで「自己責任」で自宅で戦えと政府・厚労省によって宣告された。身を守るべき最低限のマスクスら市中の店頭から姿を消している。これほど感染症対策で無能な政府・厚労省を私たちが持っていることに深く失望する。その責任の一端は政府・厚労省の尻を叩かないマスメディアにも大いにある。

安倍内閣が検査を忌避する「特殊な事情」
植草一秀の「知られざる真実」 2020年2月26日
TBSNews23」で上昌広・医療ガバナンス研究所理事長が的確なコメントを提示した。
詳細を水島宏明氏が紹介してくれているのでご参照賜りたい。⇒ https://bit.ly/3ccejf2 
新型コロナウイルス感染拡大に対して、真っ先に全力を投入するべきことは検査体制の拡充である

この点について、上氏は次のように指摘した。
「軽い症状の人がふだん通り働いて周囲に(ウイルスを)まき散らす。したがって、そういう方々に正確に診断することは本当に大切なこと。」「高齢の持病をもった方で亡くなっている。弱い患者さんがわかっている。そういう人には早く診断して、早く治療しないといけない。最近になって、効く薬がわかってきている。どうして入院を要する肺炎まで待たなきゃいけないのか。これは医療倫理にかかわる問題。常識ではありえない。」
極めて当たり前の、当然のことを理路整然と指摘した。

コロナウイルス感染は国内で確実に拡大している。安倍内閣はPCR検査に巨大な障壁を設置して、検査による感染者数確認を阻止している。しかし、そのことによって感染拡大阻止が阻止されている。自分の利益しか考えない悪魔のような内閣である。

小川彩佳キャスターが、日韓の検査累計数の差について事実を説明した。
1日あたり100件が最大の日本と1万人が最大の韓国の相違が存在する。
韓国の累計検査数は2月25日16時時点で40304件。
日本の累計検査数は913件(厚労省は一部、地方の数字が反映されていないと説明)。
この点について、上氏は
「PCR検査というのは古い検査で実は非常に簡単。ウイルス感染を診断するのに必須の検査。韓国と比べてここまで少ないというのは何かウラがあるというのか・・・。厚生労働省がよほど(検査を)やりやくないのだなあというニュアンスを感じる。」
民間の検査会社は国内に約100社あって、全体で900くらいラボを持っている。
その1つで100個検査をすると、1日で9万件、検査できる。
本当にプロの人たちで精度の管理もしっかりしている。そういうところに頼めば本当に簡単に検査ができる。それをなぜしないのか。やはり特殊な事情があるのだと思う。」
「中国の場合は、スイスの製薬企業が即座に検査に入って無償で試薬を提供した。それを使ってやったから大量に検査ができた。」
日本はできるのにやらない。

上氏はこう述べた。
「一つは予算の問題と、もう一つは感染者を多く見せたくないんじゃないかというウラがあるような気がする。」
安倍内閣が2月25日に決定した対策基本方針では、検査について、
「感染症法に基づいて医師の届け出で感染の疑いがある人を把握し、ウイルス検査を行う」
とした。この点について上氏は、「これはもうメチャクチャ」
「政府の基本方針」の「入院を要する肺炎患者の確定診断のためのPCR検査に移行」では、迅速で正確な診断は不可能になる

安倍内閣は発表される感染者数を少なく見せることだけを優先し、早期発見・早期治療が必要な高齢者の感染拡大を先送りし、これらの人々を死に追いやるとともに、軽症の感染者を野放しにして感染拡大を推進している。狂気の内閣と言うほかない。
私たちは世界の人々に対して、安倍内閣が感染者数を隠ぺいし、国内での感染拡大を推進している事実を告発する必要がある
(以下は有料ブログのため非公開)