2020年2月12日水曜日

IMFが2030年までの消費税率15%提言(植草一秀氏)

 IMF(国際通貨基金)が210日、日本経済に関する年次審査報告書を発表し高齢化に伴う社会保障費拡大に対応するため、消費税率を段階的に引き上げる必要があると指摘しました。そして2030年までに15%、50年までに20%への引き上げを提言したということです

 経済学者で旧大蔵省勤務経験もある植草一秀氏が、IMFOECDも、日本担当者は日本の官庁からの出向者で、消費税についての提言をまとめるのは、日本の財務省からの出向者なのだと明らかにしました。
 IMFやOECDが云々 というのは単なるこけおどしであって、実態は財務省の主張であるということです。
 そして消費税が導入された1989年度から2019年度までの31年間の消費税収累計が397兆円に対して、法人三税減収累計額が298兆円、所得税・住民税減収が275兆円で、消費税がすべて法人税・所得税の減税分の穴埋めに使われたことを最新の資料で明らかにしました。消費税率10%で沈没しようとしている日本で、それ以上に税率を上げようとするとは正気の沙汰ではありません。
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IMFが2030年までの消費税率15%提言

植草一秀の「知られざる真実」 2020年 2月11日
IMF(国際通貨基金)が2月10日、日本経済に関する年次審査報告書を発表した。
IMFはこのなかで、高齢化に伴う社会保障費拡大に対応するため、消費税率を段階的に引き上げる必要があると指摘した。
2030年までに15%、50年までに20%への引き上げを提言した。
IMFは少子高齢化で今後40年間に日本の人口が25%以上減ると予測。
生産性が抑制される一方、社会保障費が膨らむため、財政面での課題がより困難になるとした。
日本の消費税率は昨年10月に10%に引き上げられたばかりだ。
このなかで国際機関から15%、20%への税率引き上げが提言された。
馬鹿も休み休みにしてくれの声が聞えてくる。
誰が日本の消費税増税を後押しするのか、との怨嗟(えんさ)の声も聞えてくる。
しかし、これにはからくりがある。

IMFもOECDも、日本担当者は日本の官庁からの出向者である。
消費税についての提言をまとめるのは、日本の財務省からの出向者なのだ。
財務省が言うより、国民の耳に入りやすい。浅はかな財務省はそう考える。
私は1985年に中曽根内閣が売上税を導入しようとしたときに、当時の大蔵省で税制改革の経済効果政府試算を担当した。
上司の命令は、「税制改革を行ったときに日本経済に良好な影響が生じる試算をしろ」というものだった。上司と私の2名がこの仕事を命じられた。
マクロ計量モデルを構築して「税制改革を行ったときに日本経済に良好な影響が生じる」結果をでっち上げた。
そして、大蔵省はこの試算結果を大蔵省からではなく、経済企画庁から発表させた
大蔵省発表では信用力が落ちるから、経済企画庁から発表させるとのことだった。
大蔵省は経済企画庁の枢要ポストを握っていた。

大蔵省出向者がスパイとなって暗躍し、経済企画庁から試算結果を公表させた。
試算結果も極めていかがわしいものだ。
結論が先に決められていて、その結論に合うプロセスをねつ造したわけだ。
OECDやIMFが対日報告書を発表して、日本の消費税増税を提言するが、これらは日本の財務省の出向者が本省の指令を受けて取りまとめているものだ。
日本はOECDやIMFの資金負担をしているから、OECDもIMFも日本政府の意向をそのまま受け入れる。
IMFやOECDというのは単なるこけおどしで、実態は財務省の主張である。

政策連合=オールジャパン平和と共生は、昨年11月17日に
「いま消費税を問う! -専門家・国会議員・市民による緊急院内集会-」
https://bit.ly/37g1nBs  を開催した。
この院内集会で講演くださった「不公平な税制をただす会」の湖東京至氏、荒川俊之氏から、極めて分かりやすいご説明をいただいた。
消費税が導入された1989年度から2019年度までの31年間の税収推移を見ると消費税収累計が397兆円である。
これに対して、法人三税減収累計額が298兆円、所得税・住民税減収が275兆円なのだ。
消費税収累計額397兆円に対して法人三税および所得税・住民税減収累計額合計値は573兆円に達する。この数値が消費税増税の真相=深層を鮮明に物語っている

消費税大増税は法人税減税と所得税減税を実現するために実行されてきたものなのだ。
消費税で400兆円の増税が実施された。
しかし、他方で570兆円もの法人税減税、所得税減税が実施されてきたのだ。
消費税増税が財政健全化と社会保障拡充にまったくつながっていないことは明白なのだ。
財務省と安倍内閣による悪政をこれ以上放置してはならない。
日本の主権者が立ち上がるべきときなのだ。
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