2020年2月5日水曜日

カジノ利権浮き彫り 成長戦略打撃(東京新聞)

 日本に突如としてカジノができる「統合型リゾート(IR)」の構想が持ち込まれたのは、16年のアメリカ大統領選の際にトランプに約21億円を寄付したと言われているカジノ運営企業主・シェルドン・アデルソン氏に報いるために、大統領就任早々の17年2月の日米首脳会談でトランプから要求されたためと見られています(安倍首相は会談の翌日の朝食会でアデルソン氏と顔を合わせています)。
 18年7月国内で強いカジノ反対運動を押し切って強引に賭博禁止法に反する「統合型リゾート(IR)実施法」を成立させたのも、トランプから中間選挙までに成立させるようにと強く要求されたためといわれています。

 秋元司議員は中国のカジノ企業から収賄したとして立件されましたが、本命は上記の米国企業です。日本への働きかけはもっと大掛かりにおこなわれていると思われますが、内偵は行われているのでしょうか。いずれにしても日本へのカジノ導入は、すべてが安倍首相のトランプへの迎合に由来するもので、そこには合理性の欠片もありません。

 東京新聞の記事「カジノ利権浮き彫り 成長戦略打撃」を紹介します。
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カジノ利権浮き彫り 成長戦略打撃
東京新聞 2020年2月4日
 IR事業を巡る汚職事件は、衆院議員の秋元司被告を収賄罪で追起訴したことで、東京地検特捜部の捜査は事実上終結した。安倍政権が「成長戦略の柱」と位置づける重要施策に絡み、裏でカネが飛び交っていた疑いが浮上した今回の事件。「イメージが悪化した」との声が各方面から漏れるなど、成長戦略の柱は揺れている。
 「私たちカジノ事業者全体のイメージダウンにつながってしまった。やりにくくなったのは間違いない」。日本でのIR参入を目指す米国系企業の幹部が顔をしかめた。
 今回の事件では、スポーツくじを手掛けていた500ドットコムが、IR参入で便宜を図ってもらおうと、IR担当の副大臣だった秋元被告に賄賂を贈ったとされる。別の海外のカジノ事業者幹部は「500コムはもともとカジノ事業者ではないので、一緒にされても…。でも影響はあるでしょうね」と気をもんだ。
 安倍晋三首相は一月召集の通常国会で、「IRは観光先進国の実現を後押しするものだ。推進したい」と従来の答弁を繰り返している。政府は事件を受け、一月に予定していた事業者選定基準の基本方針の決定は先送りしたものの、「二〇二〇年代半ば」という開業時期は維持する方向だ。
 IRに詳しい静岡大の鳥畑与一教授(国際金融論)は「事件により、カジノは外国企業が何としてもつかみ取りたい利権だということが浮き彫りになった。外国企業の一部は、利用者の七~八割は日本人だと推計しており、吸い取られるのは日本人の資金。IRは外国企業を発展させるものでしかなく、政府は一度立ち止まるべきだ」と忠告する。
 事件後、IR誘致を検討していた千葉市は撤退を表明。事件の舞台となった北海道留寿都村も、一四年から温めてきたIR整備計画に終止符を打とうとしている。村の幹部は「悪いイメージばかりが付いてしまった」と言葉少なだ。
 村の観光関係者はため息をつく。「経済発展の起爆剤になると期待していた。でも結局は、村の名前が汚れただけ。やっぱり地道にやるしかないんだよ」 (山田雄之、山下葉月)