2020年2月8日土曜日

08- ウィルス分離で豪州の後塵、検査キット開発で米国に落後 (世に倦む日々)

 日本の新型コロナウィルス感染者は7日の段階で25人、クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号の乗客・乗員の検査(7日時点で444人が終了)結果は感染者61人で、合計は86人です(クルーズ船には3711人が乗っているので、全部終了した時点ではかなりの感染者が出るのは明らか)。
 日本はクルーズ船の分を除外して発表していますが、除外した25人でも中国に次いで世界第2位です。
 日本ではPCR検査の対象375度以上の発熱とせきなどの呼吸器症状、肺炎があり、発症前2週間以内に中国・武漢市への訪問歴があるか、武漢市に訪問歴があり、発熱と呼吸症状がある人との接触歴がある人」だけとされてきました。
PCR検査:ウイルス遺伝子をPCR法という方法で増やす遺伝子検査法
 5日になって「肺炎があり」の項目が削除されましたが、検査自体を抑制的に行っていることは明らかで、対外的に感染者数を抑えようという意図があるのではという疑いがぬぐい切れません(簡易検査キットが開発されていない現時点における日本の検査能力は1日7000件)

 クルーズ乗客のアメリカ人夫婦は「新型コロナウイルスがこの船の中で空気とともに循環している可能性が高いここは安全ではないと思う。アメリカの医療関連企業が私たちを迎えに来る手はずを整えてくれたが、日本政府がそれを許可しないようだ。各国政府は自国の国民がこの船を離れられるようにしてほしいNHK)と訴えているということです
 感染源と見られている香港男性は1月10日に香港から中国広東省深圳市に入り、数時間滞在香港に戻った後、1月17日に飛行機で東京へ移動し、その後1月20日に横浜でクルーズ1月25日に香港で下船しています。その間に日本国内で不特定多数に濃厚接触した可能性もあります。
 いずれにしても、一刻も早く簡易検査キットを開発し普及させなければならないのですが、日本は後発の米や豪に後れを取っているということです。全体的な流行対策でも政府は「極端に怖れる必要はない」と言う口実の下に明確でなく、総合的な対策を来週発表するということです。

「世に倦む日々」氏が、「無能で怠慢な日本 - ウィルス分離で豪州の後塵、検査キット開発で米国に落後」とするブログで警鐘を鳴らしています。以下に紹介します。
 同氏は3日にもブログを出しています。↓
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無能で怠慢な日本 - 
ウィルス分離で豪州の後塵、検査キット開発で米国に落後 
世に倦む日々 |2020-02-07
昨夜(6日)のNHK-NW9では、日本での新型コロナウィルスの検査の対象が狭すぎて、十分な対策ができていない問題が報道されていた。千葉の診療所の医師が登場し、成田空港で働いている患者の例が紹介された。肺炎と診断して治療したが、投薬効果が全く現れず症状が悪化する一方なので、新型コロナウィルスの感染を疑って保健所に照会したところ、厚労省の基準条件に合わないので拒否された。そう告発し、政府の現在の対策を批判した。前回の記事で指摘した「検査を受けさせない日本政府」の問題がマスコミ報道にも浮上、世論として一般に定着しつつある。厚労省の電話窓口と保健所の間で、検査を要望して問い合わせた者をたらい回しにし、狡猾に検査受付を拒否している実態も暴露された。予想したとおりだった。政府の言う「検査体制」とは、検査希望者を拒絶する体制の意味だったのであり、検査をしないことで国内感染者の発生数を小さく抑える不作為の行政措置だった

福島原発事故のときと同じことを政府はやっている。一昨日、2月5日のツイートで、「それにしても、日本は検体検査のスピードが遅い。パフォーマンスが異常に悪い。中国では毎日3000人以上感染者が増えている。その分、検体検査をしているということだ。陽性の数倍数十倍の陰性がある。一日3万件以上の検査を実施している」と書いた。この認識と指摘も、昨日くらいからネットで多く声が上がるようになり、政府の無能と怠慢を批判する有力な根拠となり始めている。中国では、毎日3万件とか10万件の検体検査が全土で行われているのだ。遠く離れた黒竜江省でも実施されていて、当局は感染の疑いのある者を目の色を変えて探し出し、おそらく半強制的に検査させ、有無を言わせず隔離させ、そうすることで都市・地域でのウィルス拡散を抑えている。市や省の共産党書記は必死だろう。日本では、マスコミが、検査キットがPCR機器がと言い、検査体制の物理的な能力不足を井戸端で悠長に論議している

日本では、PCR検査のキャパは1日7000件だそうだ。中国では、1日数万件から数十万件の検体検査が行われている。この数のこなし方から推測すれば、すでに簡易検査キットが開発済みで、全土の保健医療機関に配布され、フルに活用されているのに違いない。いま香港で停泊中の「ワールドドリーム号」は乗員乗客数が3700人で、横浜の「ダイヤモンド・プリンセス号」と同規模である。ということは、乗員の数が約1000人と推定できる。実は、この船、どうやらすでに乗員分の検体検査を終えているのだ。朝日の6日の記事に、乗員の中に日本人が2人いて、検査を受けて陰性反応だったとある。検査開始は5日で、横浜より1日遅い。が、1000人分の検査が終えているとすれば、本国で開発された簡易検査キットを用いたのだろう。その検査キットについては、2月3日の国会で安倍晋三が「すでに着手をしたところです」と答弁している。それから5日が経ったが、まだ開発されたという情報がない。

この3日の国会答弁は、岸田文雄に質問させて安倍晋三が答弁した内容を短く編集して夜のテレビ報道で流していて、いかにも「やってる感」を見せ、対策をしているぞというアピールで国民の不安除去を図っている政治的思惑が丸見えだ。野党には、ぜひ、完成と利用の日程と計画を問い質してもらいたい。

米国はすでに検査キットを開発して配布した。6日のNHKがその事実を報道しているので引用しよう。「アメリカのCDC=疾病対策センターは5日、感染しているかどうかの確認作業をより迅速に行うため、全米各地の研究所に検査キットを配布し、CDCに代わって検査を実施できるようにすると発表しました。新型のコロナウイルスの検査は現在、医療機関などが患者の検体を採取してCDCに送り、CDCが感染しているかどうかを調べているため、確認作業に時間がかかっています。このためCDC以外にも検査を行える機関を増やすことにしたもので、全米の100以上の研究所に今週中にも検査キットを配布するとしています。CDCは、これまでに217人から採取された検体を検査し、このうち11人が新型のコロナウイルスに感染していることを確認しています」。米国では検査キットが開発され、今週中に全米100のラボに届くのだ。米国で初の感染が確認されたのは1月21日で、日本で最初に確認された15日よりも6日も遅い

そして採取したウィルスの検体数も少ないのに、15日間で簡易検査キット開発に成功している。日本は、23日経ってもまだ開発できておらず、11日経った時点で政府が「開発に着手した」などと宣伝口上を言っただけだ。何をやっているのだろう。国立感染症研で作業しているのは小保方晴子か。米国のCDC(疾病対策センター)は、きちんと検体検査数も公表している。日本はこれを全くやっておらず、国民と世界に隠蔽したままだ。検体検査をいつどれだけやったのか、武漢帰りの帰国者とクルーズ船以外は隠している。検査キットの開発は、ウィルスの分離から作業が始まる。日本では、1月31日にウィルスの分離に成功したと感染症研が発表、その夜のマスコミで大々的に報道し、まるで日中戦争の南京陥落を伝えるような騒ぎ方だった。このウィルス分離だが、豪州は1月29日に成功して発表している。中国の国外では初の快挙達成だった。日本よりも2日も早い。豪州で新型コロナウィルスの感染が確認されたのは1月25日。日本よりも10日も遅い。

つまり、豪州は日本よりも10日も遅く検体を採取して分析と研究を始めたのに、日本よりも2日も早くウィルス分離に成功したのだった。日豪のウィルス分離のスピードは、比較して12日間も差がある。豪州の記事にこう書いている。「同研究チームは連日1日10時間から12時間、研究室で働き、午前2時に仕事を終えるというパターンで文字通り昼夜を分かたず働き、この快挙を成し遂げた」。日本の科学者は何をやっているのだろう。午後5時になったら働き方改革して、ヒラメのように厚労官僚と官邸の方を見て忖度業務に邁進しているのだろうか。その上司は京都に不倫旅行。最近のノーベル賞はよく日本人が受賞しているし、感染時期が早く、感染者数も多く、中国と交流が深く情報も多く取れる日本が、真っ先にウィルス分離に成功するだろうと世界の人々は予想しただろう。今回の問題は、世界の科学者たちにとって協力と連帯の機会であると同時に、競争して能力の高さを証明する場でもある。日本はすべてにおいて落後した。御用学者がテレビで安心理論の説得をしているだけだ。

ルーズでスローな日本。隠蔽と欺瞞の中で技官が無責任にヘラヘラ笑っている日本。日本の政府と誤用学者が誇るスキルの高さは、「やってる感」の演出とウソの吹き込みと不作為の言い訳だけだ。国民の健康を守る責務のサボタージュを、詭弁で正当化する技術だけだ。