1950年に始まった朝鮮戦争で、朝鮮の外相は2年後、米軍が細菌兵器を使ったと国連に強硬に抗議しました。米軍はその後も一貫して細菌兵器の研究を続け、2013年にはウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアで細菌兵器の研究施設を米軍が建設していることが話題になりました。
いま問題になっている新型コロナウィルス感染症(新型肺炎)については、米国防省国防高等研究計画局と関係の深い米国のデューク大学が、中国の武漢大学と提携して2018年にデューク崑山大学を開設していることとの関係が注目されています。
櫻井ジャーナルが伝えました。
日本でついに新型肺炎による死者が出ました。国内での経路が不明な感染例が3件明らかになり、外科医1名が含まれていました。明らかにフェーズが変わりました。
中国の病院では新型肺炎の院内感染が多発しているということです。
東京新聞が伝えました。
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アメリカ軍はロシアを囲むように細菌戦の研究施設を建設してきた
櫻井ジャーナル 2020.02.13
病原体を兵器として使おうと研究している人びとがいる。日本では軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部などの下で兵器の研究開発が進められ、生体実験を行うために関東軍防疫給水部本部、いわゆる第七三一部隊が編成される。
日本軍の降伏が間近に迫っていた1945年8月に部隊は関連施設を破壊、貴重な資料や菌株は運び出す。監獄に残っていた捕虜は皆殺しになった。
この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めたのは石井四郎中将、1942年から45年2月までは北野政次少将。日本へ逃げ延びた石井たちは1946年に入るとアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けているが、厳しいものではなかった。その過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と親しくなる。
アメリカ軍は日本で細菌戦に関する活動を開始するが、その中心になったのが「406医療一般研究所」。アメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な存在であるキャンプ・デトリック(55年からフォート・デトリックに格上げされた)へ406部隊は定期的に報告書を提出していた。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, "The United States And Biological Warfare", Indiana University Press, 1998)
そのキャンプ・デトリックから1947年4月にノーバート・フェルという研究者が来日し、第731部隊の幹部を尋問している。
1950年6月に朝鮮半島で戦争が始まるが、その2年後に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に対して強硬に抗議している。また戦争で捕虜となった約30名のアメリカ人パイロットが生物兵器を投下したと告白するが、アメリカ政府はプロパガンダだとして全面的に否定。パイロットたちは帰国すると国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消したが、実際に使われた可能性は高い。使用した細菌兵器には炭疽菌や腺ペストが含まれていたと見られている。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)
21世紀に入り、炭疽菌が注目される事件が引き起こされた。トム・ダシュル上院議員とパトリック・リーヒー上院議員を含む人びとに炭疽菌で汚染された手紙が送られてきたのである。
炭疽菌の付着した手紙は世界貿易センターや国防総省本部庁舎が攻撃された(9/11)直後の2001年9月18日から送られ始め、5名が死亡、約20名が病気になっている。後に菌の出所はフォート・デトリックだということが突き止められた。容疑者とされた学者は何も語らないまま「自殺」している。
9/11を利用してジョージ・W・ブッシュ政権は「愛国者法(テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化する2001年法)」を成立させるが、これはアメリカ憲法の機能を停止させるものだった。
大半の議員は法律案を読まずに賛成するが、ダシュル議員とリーヒー議員はこの法律に疑問を持ち、反対していた。そうした両議員の立場を炭疽菌付きの手紙は変えさせることになる。
2013年になると、アメリカがウクライナ、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、ジョージアで細菌兵器の研究施設を建設していると話題になった。
現在、新型コロナウィルスの感染が話題になっているが、この件ではアメリカ国防省のDARPA(国防高等研究計画局)やDTRA(国防脅威削減局)が注目され始めている。DARPAやDTRAは2018年からコロナウィルスのコウモリからヒトへの感染に関する研究を進めてきた。DARPAと関係の深いアメリカのデューク大学が中国の武漢大学と提携、2018年にデューク崑山大学を開設していることも注目されている。
新型肺炎 中国、院内感染深刻 別の疾患患者らに
東京新聞 2020年2月13日
【北京=坪井千隼】新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大が続く中国で、病院内での集団感染が深刻になっている。医療スタッフのほか、別の病気で入院した患者が感染する事例も多数報告されており、専門家は「抵抗力が弱っている入院患者にとって院内感染は脅威だ」と指摘する。
湖北省武漢市にある武漢大学中南医院のチームが米医学誌に掲載した論文によると、一月二十八日までに同病院で五十七人の院内感染が確認され、うち四十人が医師や看護師、十七人は別の疾患で入院していた患者だった。これはこの病院で新型肺炎の診断を受けた患者(百三十八人)の四割に当たる。
また八日付中国誌「中国新聞週刊」によると、武漢市精神衛生センターでも医療スタッフと患者ら計八十人の院内感染が確認された。
新型肺炎の流行にいち早く警鐘を鳴らし、七日に亡くなった同市の眼科医、李文亮(りぶんりょう)さん(33)も、院内感染したとみられる。
北京市の北京復興医院では、重い心臓疾患の入院患者ら五人と医療スタッフ十人が相次いで感染する事例が発生。緊急調査に入った北京市衛生当局は「病棟の外から来た感染者により広がった」と結論付け、病棟を外部から完全に遮断するなどの対策を取る。
ただ、武漢市のある医師は本紙の電話取材に「他の患者に感染を広げる恐れもあり対策を徹底したいが、防護服などが不足し、簡単ではない」と苦境を語った。