2020年2月23日日曜日

23- 防衛相があ然とする答弁 辺野古新基地海底地盤強度

 辺野古新基地建設エリアのB27地点:海面下70m以深の海底地盤の強度については、既に業者が力学試験を行って「軟弱」であると判定されています。それに対して河野防衛相は「それは力学試験ではない」と必死に否定して、750mも離れた地点のデータを強引に当てはめて設計変更を進めようとしています。
 しかし「簡易であろうが、試験機を用いて土の強度を計っており、まぎれもなく力学試験である(鎌尾彰司准教授」上に、その後、同地点では「コーン貫入試験」ていて、上記の力学試験とほぼ一致していたことが分かりました

 防衛省があくまでもその信頼性を否定して、はるか離れた地点のデータを適用するという荒唐無稽なやり方をしているのは、海面下70m以深が軟弱地盤であることになれば地盤改良する手段がないからに他なりません。
 安倍内閣のデタラメさはこの問題でも発揮されているのですが、1兆円規模(実際にはそれ以上になります)を投じて建設した基地が地盤沈下で壊れるのですから、そんな国費の無駄遣いは絶対に許されません。
 しんぶん赤旗と東京新聞の記事を紹介します。
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防衛相 あ然答弁  辺野古新基地
しんぶん赤旗日曜版 2020年2月23日
 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、70メートル以深の地盤も「軟弱」であることを示すデータが存在していた-。日曜版(2月9日号)報道が国会でとりあげられました。追い込まれた河野太郎防衛相は「力学試験ではない」と荒唐無稽の答弁。専門家から「防衛相は勉強を」との批判がでています。今回さらに問題のデータの信頼性を裏付ける新たな事実が編集部の取材で判明しました。        取材班

 日曜版が明らかにしたのは、軟弱地盤が最大深度90メートルに達する、「B27」地点で採取した土の地盤強度を調べた力学試験データ。防衛省が設定した地盤強度を大きく下回っています。
 2月12日の衆院予算委員会。日本共産党の赤嶺政賢議員の追及に、河野防衛相は専門家も驚く答弁をました。「これは力学試験でも何でもない」
 判明データは業者が自主的に行った簡易的なもので信頼性が低いとして設計に反映させないと強弁しました。
 この答弁に専門家から批判が相次いでいます。
 日本大学の鎌尾彰司准教授は「簡易であろうが、試験機を用いて土の強度を計っており、データはまぎれもなく力学試験の結果です」と指摘します。
 元中堅ゼネコンの土木技術者もあきれます。「あ然として百科事典で調べたら力学試験は『地盤や土の圧縮性や強さなどを調べる』とある。今回のデータそのものだ」
 新潟大学の立石雅昭名誉教授も批判します「データは土の力学的特性を予測できるもの。大臣は、報告書の資料の意味や中身が分かっていないのでしょう。データが何を意味するのか、勉強された方がいい」
 今回新たな重大事実も判明しました。
 B27地点では、力学試験だけでなく、センサーを用いた「コーン貫入試験」を行ています。
 防衛省の報告書には、同試験で得られた土の強度を記すグラフが収録されています。このグラフには日曜版が明らかにしたデータも記載されています。(添付省略
 グラフを見た鎌尾氏は驚きます。コーン貫入試験と判明データの値は、ほ一致し信ぴょう性が高い。いずれも防衛省の設定値より低い強度です。そもそもコーン貫入試験は信頼性があり、設計に反映しないのは理解に苦しむ

 防衛省は、B27地点でデータが二つあるのに、わざわざ最大750メートルも離れた他の3地点の力学試験をもとに地盤強度を設定しています。なぜか
 理由は、70メートル以深も「軟弱」となれば沖縄県への変更申請に向け進めている現在の設計が成り立たなくなる可能性があるからです。
 新基地建設を独自に検証する立石名誉教授らの専門家チームも、判明データを基に護岸の安定性を試算すると国の基準を満たさなくなるとの結果を公表しています。
 鎌尾氏は指摘します。「判明データだけでなくコーン貫入試験のデータを設計にあてはめても、安定性が国の基準を満たさなくなる恐れがある。技術検討会で対策等を議論しなくてはいけない問題だろう」
 判明データの調査は「業者が自主的に行った」とする河野防衛相の答弁にも疑問が  
 編集部の取材にB27地点を調査した多目的調査船を所有する業者の担当者は「一般論だが、下請けなので調査は(発注者の)指示に従てやる」と回答しています。

このまま強行すれば護岸崩壊の恐れ 新潟大学名誉教授立石雅昭さん
 日曜版が明らかにしたデータは、「非排水せん断度」という、土の強度示すものです。設計の、構造物の安定性が確保されるかどうかを計算’するための最も基本的で重要なものの一つです。
 防衛省はこのデータを設計に使用しない理由として、簡易な試験で試料が乱れていると言い訳しています。
 理解に苦しむのは、それならばなぜ、B27で試料を取って再調査をやらないのか、ということです。
 発覚したデータ通り70メートル以深が軟弱な地盤だった場合、このまま工事を進めれば、護岸が崩壊する恐れもあります。
 危険性を示すデータが出たら、再調査して本当はどうなのかを確かめる。これが安全サイドに物事を考える基本です。やらないのは異常です
 自分たちに都合のいいようにデータを解釈しており、防衛省の姿勢は、あまりにも恣意(しい)的です。
 再調査をすれば設計も成り立たなくなる不都合な数字が出てくるから拒否せざるを得ないのでしょう。防衛省は相当追い込まれていると思います。


辺野古「軟弱」 検出3度 防衛省、採用せず 70メートル超地盤
東京新聞 2020年2月22日
 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡り、海面下七十メートルより深い地点に軟弱地盤があることを示すデータが見つかった問題で、防衛省が実施した別の試験でも「軟弱」をうかがわせるデータが検出されたことが分かった。「七十メートルより深い地盤は非常に固い」とする防衛省の想定に反するデータが明らかになるのは今回で三度目。建設に不利なデータを排除して工事を強引に進める防衛省の姿勢がいっそう鮮明になった。(中沢誠)

 防衛省は新たに判明したデータについて「地層構成を確認する参考にした」とし設計に反映していない。
 新たな「軟弱」データは粘土層が海面下九十メートルまで達している「B27」地点の試験結果から算出された。円すい形の機器を地中に突き刺し、土の抵抗力を測る「コーン貫入試験」によるもので、国の基準でも「データの信頼度が高い」とされている。土の抵抗力から「非排水せん断強さ」という強度を算出できる
 コーン貫入試験は、受注業者が二〇一七年にB27地点を含め、埋め立て予定地の十五カ所で実施。そのデータによると、B27地点では、学会が定める六段階の強度区分のうち、深さ七十~八十メートルの地盤は二番目や三番目に軟らかい値を推移。防衛省が想定した「非常に固い」の基準値に届くのは九十メートル近くになってからだった。

 だが、防衛省はこのデータを設計に反映せず、有識者から工事の助言を得る技術検討会にも報告していなかった。防衛省は、B27地点から百五十~七百五十メートル離れた三地点で採取した試料の室内試験データから、海面七十メートル以深は「非常に固い」と結論づけていた。
 防衛省整備計画局は別地点のデータを採用した理由を「一般的にコーン貫入試験から求めた『非排水せん断強さ』を設計に使うことはあるが、我々は採取した試料を用いた室内試験から設計に使う強度を確認した」と説明する。
 防衛省はこれまで「B27地点で強度試験はやっていない」と説明してきたが、今月になってB27地点で強度試験をした実測データの存在が判明。防衛省は「簡易的な試験」との理由で設計に反映していない。
 B27地点ではこれら二つのデータの他、別の試験でも「軟弱」なデータが検出されていたが、防衛省はこれも採用していない。

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