29日に第一便で帰国した人たちのなかにはインスタントラーメンや菓子で食いつないできた人もいたのに、帰路の機内で出された食事はコーンピラフ・野菜ジュース・パン・菓子という非常に簡素なものでした。
帰国後ホテルに一時滞在を希望した人は191人いましたが、ホテルの部屋は140室しか用意されていませんでした。そのため一人部屋に泊れたのは89人だけで、残りの102人は2人ずつ相部屋に泊ることになりました。
これでは「隔離」にはならないので帰国者たちから当然クレームがでましたが、厚労省の担当課長は「現段階で無症状の人から感染が拡大することを決定づけるのは時期尚早」などと、認識不足の発言で対応したということです。
また発症を知るために少なくとも朝夕体温を測る必要があったのに、体温計が各人に届いたのは翌日の15時過ぎでした。
これが安倍首相が「迅速な対応」が取れたと自慢した、武漢からの帰国第一陣の受け入れ体制の実態でした。
外面を取り繕うために、急遽 付け焼刃的に対応した結果としか思えません。それにしても官僚はそうした点で遺漏はない筈と思われているのですが、どうもその認識は正しくなく事実はこんなお粗末さなのでした。
上が上なら下も下で、安倍政権のお粗末さが官僚にも伝染したというのでしょうか。
LITERAの記事を紹介します。
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安倍政権の新型肺炎対応が杜撰すぎる! 帰国者を隔離用ホテルでまさかの「相部屋」強要、経過観察のための体温計も用意せず…
LITERA 2020.01.31
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が懸念されるなか、唖然とするような政府の杜撰な対応が問題になっている。今月29日に第一便のチャーター機で中国・武漢から帰国した人のうち3人が新型コロナウイルスに感染していたことが昨日30日わかったが、そのうち2人は国が用意したホテルで「相部屋」を強要され、それぞれがほかの帰国した人と同じ部屋に宿泊していたというのだ。
第一便のチャーター機で帰国した人は206人いたが、そのうち経過観察のためホテルへの一時滞在を選んだ人は191人いた。だが、政府はそもそも帰国者のための部屋を140部屋しか用意していなかったのである。
帰国者の証言によると、政府は千葉県の「勝浦ホテル三日月」を用意したが、厚労省の担当者が部屋数が不足しているとして「相部屋で泊まってくれる人がいないか」と要請。帰国者のあいだからは「“隔離”という名目で来ているのに同じ部屋になるのは意味ないんじゃないか」「それはおかしいんじゃないか」と批判が起こったが、厚労省の担当者は「ご協力お願いします」と言うだけ。この政府の対応に帰国者の怒号が飛び交ったという。
帰国者たちが怒るのは当たり前だ。帰国者が206人いるのだから、念のためその人数と同じかそれ以上の部屋を確保しておくのが普通の対応だ。しかも、経過観察のためにホテルへの一時滞在を選んだのに、あろうことか相部屋で過ごさせるとは、いらぬ感染拡大を招く可能性がある行為だ。
そして、実際に相部屋を強要された人のなかに感染が確認されるという、誰もが懸念していたことが起こってしまった。政府は感染した人と同部屋だった人を「濃厚接触者」として経過観察をつづけるというが、普通の対応をおこなっていたならば起こらなかった無用な不安や心配を帰国者に与えてしまったことの責任を、政府はどうやってとるというのか。
しかも、政府はびっくりするようなことまで言ってのけた。感染が確認されたホテル滞在者の2人は症状がなかったというが、厚労省の担当者は30日におこなわれた会見で「症状がない人にもウイルスが含まれていることは想定していなかった」と述べたのだ。中国では症状が見られない患者が確認されたとして、すでに注意が呼びかけられていたのに、である。
その上、会見に同席していた地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は「(無症状でも)ほかの人に感染する可能性は否定できないし、可能性はあり得る」と指摘したのに対し、厚労省結核感染症課の日下英司課長は「現段階で無症状の人から感染が拡大することを決定づけるのは時期尚早」などと発言。無症状でも感染の可能性があるのに相部屋で帰国者を過ごさせたことの責任から逃れようとしているのではないかとみられても不思議はないだろう。
しかし、政府の準備や対応策は十分なのかという懸念は、最初からあったものだ。
そもそも、安倍首相が26日、日曜にわざわざ緊急会見を開き、武漢に在留する日本人を帰国させるチャーター機を手配する方針だと打ち出したが、これは他国の動きに遅れないよう急遽決定したもの。「あらゆる手段を追求して希望者全員を帰国させる」などと勇ましく宣言したが、結果はこの有様で、感染可能性がある人を「相部屋で経過観察する」という信じがたい暴挙にまで出たのだ。
この「相部屋」問題はまったくの論外だが、政府対応の杜撰さはこれだけではない。
「相部屋」だけじゃない!経過観察用の体温計不足、チャーター機内の質素すぎる食事…
たとえば、昨日30日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、ホテル滞在者用の体温計が不足していたと伝え、電話取材に応じたホテルに滞在中の帰国者のひとりは「朝夕の1日2回体温を測るよう言われているのに、病院で測っただけ」と証言。体温計は昨日15時すぎに届いたという。
ホテルに滞在する帰国者は部屋の鍵も渡されずに閉じ込められ、不自由な生活を余儀なくされている。それは体調に変化がないか経過を観察するためだというのに、重要なデータとなる体温を測定するための体温計が行き届いていなかったとは……。唖然とするしかない。
いや、帰国時も酷かった。最初のチャーター便の機内で軽食として用意されたのは、レトルトパウチに入ったコーンピラフと野菜ジュース、水とパンと菓子といった、いかにも簡素かつ質素なもの。封鎖状態の武漢市で駐留していた日本人のある会社員はインスタントラーメンやお菓子で食いつないでいるとメディアでも紹介されていたが、そういう環境に追い込まれていた帰国者に少しは配慮することはできなかったのだろうか。
帰国対応を勇ましく宣言してリーダーシップをアピールした安倍首相だが、実際の対応は配慮のかけらもない上、危機管理意識がまったく欠如していると言わざるを得ない。
だいたい、安倍首相が今回の新型コロナウイルス感染症対策本部を設置したのは、なんと昨日のこと。昨日おこなわれた初会合で安倍首相は「これまで実施してきた水際対策などのフェーズをもう一段引き上げる必要がある」などと述べたが、あまりに遅すぎるだろう。
先日本サイトでお伝えしたように、安倍応援団は必死になって「野党はこんなときに予算委員会で『桜を見る会』のことを言っている」などと喧伝し批判の矛先を野党に向けているが、国の危機管理を担っているのは安倍政権であり、その肝心の危機管理が後手後手であるばかりか、「相部屋」問題が物語るように感染の広がりを助長するような逆対応をとる始末なのだ。批判すべきは、国民の命を本気で守る気が感じられない、安倍政権のやる気のなさのほうであることは言うまでもない。(編集部)