2020年2月17日月曜日

17- 世界に蔓延していく武漢ウイルス(田中宇氏)

 田中宇氏がブログ「田中宇の国際ニュース解説」で、「214日は、世界的に武漢ウイルスの蔓延が悪化の方向に大転換した日だった。中国、米国、日本の順に分析していく」として、各国の蔓延の状況を解説しています。

 その中で、「当初から極めて厳しい水際作戦を取っ米国でもウイルスが蔓延する可能性が高まっている。しかも、蔓延が来年まで続くかもしれないという予測だ。これは衝撃だ」と述べ、「日本や中国ではウイルス問題は3月に終息していくとの楽観論が流布し、米国でもトランプ大統領が同様の楽観論を発しているが、これらは政治的な目的を持った甘すぎる予測・プロパガンダ」であると述べています。
 米国でも蔓延すると見られるというのは衝撃的です。
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世界に蔓延していく武漢ウイルス
田中宇 2020 年2月16日
2月14日は、世界的に武漢ウイルスの蔓延が悪化の方向に大転換した日だった。中国、米国、日本の順に分析していく。
中国では、北京への他の地域からの人の流入に対する規制が開始された。北京市民で市外に出た人は、市内に戻ったら2週間の検疫(自宅?からの外出禁止)を義務づけられる。中国の党と国家にとって最も重要な首都の北京を中国の他の地域から隔離することで、北京でのウイルス感染の拡大を少しでも減らそうとする試みだろう。

上海でも同日、市の境界線に検問所を作って自宅や勤務先が市内にない人や車の流入を禁止し始めたという情報がツイッターで流れたが、これは「誤報だった」という指摘もでており不確定だ。中国政府は国内を、最も大事な北京(と上海?)、あまり大事でない残りの地域、ウイルス発祥地で見捨てられた武漢と湖北省、という3種類にわける政策を始めたことになる。中共が、他の地域を見捨てても北京(と上海?)だけは絶対に守る政策をとりはじめたことは、それだけ中共が国内のウイルス蔓延に手こずり、苦戦し、追い詰められていることを示している。習近平は、ウイルスとの総力戦争を宣言し、2月10日には「膠着状態だ」と表明したが、2月14日の事態は中共とウイルスとの膠着状態の戦争で、中共が負けていることを示している。武漢ウイルスは大変な脅威なのだ。

中国政府は、米国など、国民に中国への渡航を禁じたり、中国との間の旅客機の定期便を止めたりしている諸国に対し「ウイルス問題は解決されつつある。渡航禁止や定期便中止は間違っている。早く復旧すべきだ」と提案・要求している。実のところ、中国のウイルス問題は解決どころか逆に急速に悪化しており、中共の要求は世界に脅威を与えるものになっている。今になってわかったのは、米国が1月末に早々と中国との人的交流を断ったのは正しい政策であり、中共の要求を受け入れて中国との人的交流を止めなかった日本など媚中諸国の方が決定的に間違っていたということだ。

2月14日には、上海市当局が300人の発症と1人の死亡を隠していたことも発表された。中国政府はまた、これまで毎日発表してきた感染者数の統計数字の中に未発症者を含まず、発症者だけの数字であることも認めた。中国では検査薬が足りないので、発症しないと検査してもらえない。未発症の感染者の数は今後も不明ということになる。また中国政府は、国内の47万人が発症者と濃厚接触したと発表し、これから感染が急増しそうなことも認めた。2月9日に在米の亡命中国人(郭文貴)が「武漢でのウイルス感染の実数は150万人、死者は5万人だ」と発表し、その時は中共敵視派による誇張策かと思われたが、1週間後の今になると150万人説は誇張でなく「現実的な数字」だ。武漢ウイルスに関する楽観論は間違っており、悲観論が正しいという、前回記事に書いたことがほぼ妥当な感じだ。

中共はこれまで、発表数字のごまかしを全く認めてこなかったが、それがここにきて突然、ごまかしを認め、被害がもっと拡大しそうなことを認め始めた。これは中共が、これまでの感染抑止策がうまくいかなかったと認め、もっと強硬な新戦略に移行したことを意味している。新戦略の一つが、北京と上海だけは感染を最小限に抑える策だ。新戦略のもうひとつは、習近平が2月13日に武漢や湖北省のトップを更迭し、新たに湖北省の共産党書記になった応勇・前上海市長が、すべての発症者を強制的に収容施設(名ばかりの病院)に入れて隔離する政策に踏み切ったことだ。

これは、発症者を積極的に排除して残った人々の感染や発症を防ごうとする策なのだろうが、武漢ウイルスは未発症の感染者から他人に感染するので、発症者だけを目の敵にするのは意味が薄い。検査キットが徹底的に足りないので未発症者の感染を見分ける方法がなく、意味が薄くても強制隔離の徹底しか方法がないと中共は考えたのだろう。発症者の強制収容は人権侵害なので欧米や日本でやるのは無理だが、一党独裁の中国ならやれる。しかし効果は薄い。

中共は、2月10日から経済を再開すると宣言した。米国のアップル社は、2月14-15日から北京と上海の店舗を再開すると発表された。それだけ見ると中国経済が再開されつつある印象だ。しかし、これはおそらく中共が世界に事態の改善を宣伝するためのプロパガンダ策で、中共はアップルに頼んで店を開ける演技をさせただけだ。北京でも上海でも、市民の多くは外出を禁じられ、繁華街の店はほぼすべて閉まっている。中共はせめて北京と上海だけでも感染拡大を防ごうと必死で、外部からの人の流入を断絶している。市民が楽しくアップルの店でiフォンをいじれる状況でない。

中国は今、経済の70-80%が止まっている。大幅なマイナス成長だ。世界の株価上昇は全く頓珍漢だ。米連銀や中国人民銀行が市場に資金を注入し、株価上昇を演出している。通販の世界的大手である中国のアリババは2月14日、中国と世界の金融市場のブラックスワン(驚くべき大暴落)が起きそうだと警告した。アリババの物流機能の2割しか機能していない。

米国では2月14日、米政府のウイルス対策担当部署であるCDC(疾病予防管理センター)の所長(Robert Redfield)が「米国は今、新型ウイルスの国内での蔓延を必死で封じ込めている段階だが、ウイルスが米国内に感染拡大の根を下ろしてしまった可能性もある。ウイルスは米国でも蔓延し、感染問題は今年じゅうに終わらず、来年まで続くかもしれない」と警告した。米政府は、全米の11か所の米軍基地内の既存施設をウイルス感染者の隔離用に用意し、感染者の拡大に備えている。米国ではまだ15人の感染者しか出ていないが、今後は感染者がかなり増えるかもしれないとCDCは考えている。米軍も、感染が急拡大した場合の対応策を発表した。米国は、中国からの武漢ウイルスの流入に対して世界で最も厳しい措置をとってきた国の一つだ。

その米国でさえ、ウイルスが蔓延する可能性が高まっている。しかも、蔓延が来年まで続くかもしれないという予測だ。これは衝撃だ。日本や中国では「ウイルス問題は3月に終息していく」との楽観論が流布し、米国でもトランプ大統領が同様の楽観論を発しているが、これらは政治的な目的を持った甘すぎる予測・プロパガンダなのだ。北半球が春になって気温が上がるとウイルスが死ぬと、トランプやその他の人々が言っているが、年中気温が高いシンガポールやタイで感染が広がっているのでそれは違うぞと専門家が米議会で証言している。

世界で最も優秀だと喧伝されるCDCの長官が「来年まで続くかもしれない」と言っている。これが一番正しい予測だと考えるのが自然だ。中国でのここ数日の自体の悪化を見ても、簡単に終息しないことがわかる。早めに終息したらありがたいが、そうならない可能性がかなり高いと、全人類が肝に銘じるべきだ。長く厳しい戦いが続く。驚くほど多くの人が発症し、死者も多く出る。私自身も含まれる可能性がかなりある。こうした予測が大外れになって私がネットで嘲笑されることを祈る。

11か所の米軍基地に合計1000人分の隔離施設を設ける話は2月11日に最初に報じられ、その時はまだこれほどの大惨事が予測されていなかったので、また軍産の大げさ話か思ったが、そのわずか3日後、この隔離施設の設置が当然だと思える事態になった。

ゼロヘッジによると、米保健福祉省のアレックス・アザー長官は2月14日に出演したCNNテレビで、米政府が中国だけでなく、日本やシンガポール、香港など、感染が拡大している中国以外のアジアからの外国人の入国も禁止する規制拡大を検討していると表明した(それらの地域から帰国した米国人は米軍基地内で2週間の検疫)。ゼロヘッジからたどれるアザーの発言のCNNの動画にはそのくだりが出てこないのでゼロヘッジが誇張した疑いもあるが、むしろ動画に収録されていない部分で発言したとも考えられる。

日本やシンガポールの事態は急速に悪化しているので、CDCが入国規制の拡大を検討するのは自然だ。規制拡大が実施されると、日本人は米国に行けなくなる。日本にとって経済的、政治的に大打撃だ。日本は、ウイルス対策の初動が媚中的で甘すぎたため、唯一絶対の同盟国・従属先だった大好きな米国から入国禁止の縁切りをされてしまう。日米同盟の行く末として象徴的だ。トランプは以前からすべての同盟関係に懐疑的だ。ドゥテルテのフィリピンはすでに先日米国との縁切りを決めた。

刻々と状況が変わっているので、とりあえずここまでで配信し、続きはまた書く。とても悪い話ばかりなので書き続けるのがしんどい。今後しばらく、武漢ウイルスの記事は非常の重要なので全て無料配信にして、それ以外のテーマの記事を有料配信していこうと思う。