2020年2月25日火曜日

乗船者死亡「感染者かどうか言えない」今度は死者数も隠蔽(LITERA)

 政府は25日に新型コロナウィルス感染問題に対する「基本政策」を発表するということです。24日、「国の専門家会議が示した見解のポイント」が公表されました。

国内の感染が急速に拡大しかねない状況にある。
これから1-2週間が、急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる。
感染症予防の観点からは、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることは、有効ではない。また、設備や人員の制約のため、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることはできない。
風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養を。ただし、目安の症状がある場合には、決して我慢せず相談を。▽・心配だからといって、すぐに医療機関を受診しないで。▽・これからとるべき対策の最大の目標は、感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡を減らすこと。▽・症状のない人も、それぞれが一日の行動パターンを見直し、リモートワーク、オンライン会議などのできうる限りの工夫を。

 全ての人のウィルス検査をすることは有効でないというのはどういう意味なのでしょうか。国民は全ての人に検査を行うことが無理なこと位は承知していて、感染の実態を知り、感染の拡大を防止するためにも、もっと大幅に対象を拡大する必要があると言っているのです。この期に及んでも、韓国の数十分の1しかない検査規模を拡大しようとしないのは、感染の実態を明らかにしたくないからに他なりません。
 結局「基本政策」には何も目新しいものはなく、政府は今後も何もしないから、現行の検査規模、医療規模のなかでやりくりしてくれということを宣言したに等しいといえます。

 24日、クルーズ船の乗客から新たな死者(80歳代の男性)が出ました。しかし政府は乗客か乗員かも、新型コロナウィルスの感染者か否かも「遺族の希望によって」公表できないとしました(何故か持病があったことだけは公表)。年齢から乗客と推定され、もしも遺族が公表を拒んだとすれば感染者だったからと考えられます。わざわざ持病があったことを公表したのは、ウィルス感染が原因でないことを示唆したかったからでしょう。
 いずれにしても政府のこの突然の方向転換には不明朗なものを感じます。韓国の対応とは明らかに違います。国際的に注目されている中でこの先もそんな手法で死者数の隠蔽が続くようであれば、当然信用は地に落ちます。
 LITERAが「 ~ 感染者に続き死亡者も隠蔽、対策本部も5日間開催せず」とする記事を出しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
クルーズ船死亡者「コロナ感染者かどうかも言えない」は安倍政権の失態隠しか 感染者に続き死亡者も隠蔽、対策本部も5日間開催せず
LITERA 2020.02.24
 やっぱりか。本日、厚生労働省が新たに、「ダイヤモンド・プリンセス」号に派遣されていた厚労省の職員1名と検疫官1名の感染が確認されたと公表した。
 本サイトの昨日の記事でも指摘していたように、厚労省は22日まで、クルーズ船で従事していた同省職員にウイルス検査をせず元の職場に復帰させていた。しかも、その理由は「陽性者が多く出た場合の業務への影響を懸念して」。ようするに、感染者数を増加させないように、あえて検査をさせなかったのである。
 しかし、この対応に批判が殺到したため、22日夜になって加藤勝信厚労相が船内で作業に当たった41人を対象に検査を実施すると発表。その結果、新たな感染者が見つかったというわけだ。
 まさに「感染者の隠蔽」がおこなわれていたことがはっきりしたわけだが、安倍政権の隠蔽行為はそれだけではない。
 昨日23日、厚労省は「ダイヤモンド・プリンセス」号に乗っていた80歳代の日本人男性が肺炎で亡くなったことを発表したが、この男性が乗員だったのか乗客だったのかのみならず、新型コロナウイルスに感染していたかどうかまでをも家族の同意を得られていないことを理由に公表しなかったのだ。
 新型コロナに感染しているかどうかも非公表にする──。これは異常な対応と言わざるを得ない。感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)16条では〈厚生大臣及び都道府県知事は(中略)収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の予防のための情報を積極的に公表しなければならない〉と規定されているからだ。たしかに同条の2では〈前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない〉とあるが、そのため政府は感染者が居住する市町村名などの公表は避けて都道府県名にとどめ、性別や年代、受診歴や検査日などの経過を公表してきた。
 プライバシーの問題ならそうした対応を徹底すれば十分なはずで、新型コロナに感染していたとすれば、その公表を控えることは、感染症法16条に違反していることになる。
 あるいは、20日時点で27名のクルーズ船乗客が重症で、感染していない人でも重症者がいると報じられており、亡くなったのは感染していない人だった可能性ももちろんある。だとすれば、何らかの疾患や体調不良があったにもかかわらず1週間以上船内に留め置かれるという非人道的措置によって命を落とした可能性も考えられ、やはり留め置き措置の妥当性含め政府の判断と対応が適切だったか検証がなされなければいけない。
 しかし、死亡した男性は、感染していたか否かを公表していないだけでなく、「2月5日以降に有症者として医療機関に搬送」「2月23日に死亡確認」という情報以外、経過がまったく明かされていない。年齢から考えて乗員ではなく乗客だった可能性が高いが、80歳以上の高齢者で基礎疾患があったというこの男性は、一体いつ医師の診察を受けたのか、いつ下船できたのか、それさえもはっきりしない。政府の判断・対応が適切だったのかを検証するには、感染者、とりわけ死亡者の経過の公表が重要となる。しかし、昨日亡くなった男性はそれを検証することもまったくできないのである。
 20日にもクルーズ船の乗客2名が新型コロナで死亡したことが公表されたが、2名のうち80代の女性については厚労省の後手後手の対応が完全に明らかになっている。厚労省は当初、この女性は5日に発熱し、6日に医師の診察を受け13日に感染確認されたと発表。この経過について診断から搬送まで時間がかかりすぎだと批判を浴びると、医師の診察を受けたのは6日ではなく10日で感染が確認されたのは12日だったと訂正したが、いずれにしても、政府の対応ミスが招いた死亡との非難は免れないだろう。
 こうした失態が明るみに出ないように、きのうの新たな死亡者発表については、一切の情報をシャットアウトしたのではないのか

「感染者数」だけでなく「死亡者数」も少なく見せるため原因を特定しない隠蔽工作
 いや、この情報遮断には、「検査をしない」問題と同様の動きがあるとの見方もある。本サイトで昨日伝えたように(既報参照→ https://lite-ra.com/2020/02/post-5272.html)、安倍首相は「18日から1日3000人の検査が可能」などと述べていたものの、そんな検査体制はまったく実現されておらず、韓国が23日16時発表で検査実施数がのべ2万件を超えている一方で、厚労省発表資料によると21日12時時点でのべ693人(チャーター便帰国者やクルーズ船乗船者のぞく)しかPCR検査がおこなわれていない。しかも、厚労省はこの連休中の検査実施数を公表していない有様だ。
 韓国の感染者が763人、死者が7人になったことを受けて、ネット上ではネトウヨが「中国・韓国の渡航を禁止しろ」と叫び、ワイドショーも「韓国の感染者が拡大」などと国内そっちのけで伝えているが、これは日本の約20倍も検査が実施されているからだ。
 日本も韓国並みに検査を実施すれば、感染者数が何倍にも増えるのは確実。にもかかわらず、一向に検査を拡大しようとしないのは、厚労省職員に検査させないのと同じで「検査をすれば感染者が増えるから、感染者数を少なくとどめておくため」ではないのか。
 そして、今回の死亡発表の情報シャットアウトを見ていると、安倍政権は「死者数」でも同じような隠蔽をやろうとしているとしか思えない。新型コロナが原因と疑われている死亡者でもいろんな理由をつけて断定せず、最終的に死亡者にカウントしないで済まそうとしているのではないか。
 また、日本には現在、症状がかなり重症化し、感染が疑われる場合でも、検査が受けることができない状態に置かれている人たちが数多くいるが、この先、検査を受けずに死亡する人が出てきても、新型コロナ感染の死亡者としてカウントされることはない。昨日発表された死亡者は、クルーズ船の乗客だったため、疑問の声があがったが、市中の感染の疑いのある人が検査を受けないままなくなった場合は、死亡の事実すら誰も知ることができないため、問題になることはない。そんなふうに考えているのではないか。
 これは決して陰謀論ではない。実際、安倍首相と政権の姿勢を見ていると、とにかく国民の生命や健康を守るより「事態を小さく見せる」ことしか考えていない。それは韓国との比較からも明らかだ。

韓国は警戒レベル4に引き上げたのに、安倍首相は対策本部会合すら5日間開催せず
 韓国では、感染拡大を受けて23日に韓国の文在寅大統領が感染症への警戒レベルを最高の「深刻」に引き上げた。しかし、安倍首相はいまだ悠長に「基本方針の策定」を指示しただけ。これだけ国民のあいだから検査の拡充が求められながら、なんの対応もしていないのである。
 しかも、安倍首相は感染者数や死亡者数だけでなく、もうひとつ隠そうとしているものがある。ほかでもない自分自身の存在だ。
 感染拡大がどんどん進み、国民が不安に陥るなか、安倍首相は5日間も新型コロナ対策本部の会合を開催していなかったのだ。23日になってようやく対策本部会合を開催し、公式Twitterも約1週間ぶりに更新したが、5日ぶりの開催だったのに〈本日も対策本部を開催し、こうした取組をさらに加速するよう指示しました〉と、あたかも連日対策本部を開いてきたような偽装をおこなう姑息ぶりだった。
 国民の不安は日増しに高まっているというのに、ここまで正式な会見を一度も開かず、「やってる感アピール」の格好の場である対策本部の開催さえも渋る……。ようするに、いま自分が露出を増やすと負のイメージが印象として残るため、それを避けようとして国民の前にはなるべく姿を現さないようにしているのだろう。
 最悪の事態を引き起こしているクルーズ船の対応をはじめ、ここまで感染を拡大させ、国民に不安を広げているのは、すべて安倍首相に責任がある。だが、本人は責任を引き受けるどころか、国民の前からも逃げている。だが、姑息な印象操作と検査実施数の問題を含め、国民が安倍首相の新型コロナ対応を監視・検証し、評価を下さなければならないのだ。(編集部)