黒川弘務東京高検検事長の勤務延長を政府が決めたことについて、野党側は検察庁の人事を安倍政権が政治的な意図を持って決めたのであれば看過できないとして、追及する方針を確認しました。
安倍首相は衆院予算委で、法相から黒川人事の閣議決定を要請されたとして、「法務省において人事を決定するわけで、その中身は法務大臣が答弁させていただいたとおりであり、われわれはその考え方を了としている」としらばくれました。
森法相は黒川氏続行の理由を「管内で遂行している、重大かつ複雑、困難な事件の捜査や公判に対応するため、~ 指揮監督が不可欠であると判断した」と述べています。
それに対して東京地検特捜部元検事の郷原信郎弁護士は、
「 ~ 表向きの理由は、『政府関係者によると、業務遂行上の必要性とは、保釈中に逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の事件の捜査を指す』(朝日)とのことだが、高検検事長が、レバノンに逃亡したゴーン氏の事件で一体何をやると言うのか。捜査の実務は東京地検が行い、外国との交渉は法務省で行えばよいのであり、高検が関与する必要はないはずだ」
と明確にその必要性を否定しています。
黒川氏が、余人をもって代えがたい特別の能力を持っているとはとても思えず、ゴマカシの理由であることは明らかです。
立憲民主党の枝野代表は、「検察という、場合によっては総理大臣を逮捕するかもしれない機関の人事に官邸が介入するのは法治国家の破壊行為であり、法務大臣は職を賭してとめてほしい」と述べています。
検事総長の人事に官邸が介入することはあってはならないことです。徹底的に追及して欲しいものです。
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東京高検検事長の勤務延長 野党側 追及の方針確認
NHK NEWS WEB 2020年2月3日
東京高等検察庁の検事長の勤務延長を政府が決めたことについて、野党側は検察庁の人事を安倍政権が政治的な意図を持って決めたのであれば看過できないとして、問題がないか追及する方針を確認しました。
今月、定年を迎える東京高等検察庁の黒川検事長について、政府は先月末、国家公務員法の規定に基づいて、勤務を8月まで延長することを閣議決定し、極めて異例の措置であることから、次の検事総長に起用するためではないかという見方も出ています。
立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党の野党4党の国会対策委員長らが国会内で会談し、検察庁の人事を安倍政権が政治的な意図を持って決めたのであれば看過できないという認識で一致しました。
そのうえで、総理大臣官邸や法務省などに対し、黒川検事長の勤務を延長した理由などを確認し、問題がないか追及する方針を確認しました。
立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「権力を行使する側と監視する側の非常に微妙な話で、安倍政権の本質がかいま見える。さまざまな臆測を呼んでいるので、事実関係をつまびらかにしたい」と述べました。
法相「勤務延長は事件対応のため」
森法務大臣は衆議院予算委員会で「管内で遂行している、重大かつ複雑、困難な事件の捜査や公判に対応するため、黒川検事長の豊富な経験知識などに基づく部下への指揮監督が不可欠であると判断し、当分の間、勤務させることとした。これ以上の詳細については捜査機関の活動内容などに関わる事柄でもあり、お答えを差し控えさせていただきたい」と述べました。
また安倍総理大臣は「法務省において人事を決定するわけで、その中身は法務大臣が答弁させていただいたとおりであり、われわれはその考え方を了としている」と述べました。
官房長官「人事プロセスの詳細は差し控えたい」
菅官房長官は3日午後の記者会見で、東京高等検察庁の検事長の勤務延長を決めたことについて「検察官も一般職の国家公務員で、国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されたと聞いている」と述べました。
また記者団が「次の検事総長への起用を見据えた人事ではないのか」と質問したのに対し、菅官房長官は「検察庁の業務遂行上の必要に基づいて、検察庁を所管する法務大臣から内閣総理大臣宛ての閣議請議があり、先月31日に閣議決定をされた。それ以上の人事プロセスの詳細は差し控えたい」と述べました。
国民 原口氏「『安倍政権の守護神』残すためか」
国民民主党の原口国会対策委員長は記者会見で、「法務省と人事院の担当者から聞き取りも行ったが、勤務を延長した理由が全くわからない。黒川氏本人は立派で、見識のある人だと思うが、『安倍政権の守護神』を残し、自分たちに都合の悪いことを隠蔽するための対応ではないか」と述べました。
共産 小池氏「検察の独立性脅かす政治介入の疑い」
共産党の小池書記局長は記者会見で「検察という組織は、政治権力から独立していることが大原則で、だからこそ検察庁法で定年退官について独自の規定が設けられている。勤務延長の閣議決定は検察の独立性を脅かすもので、政治介入の疑いがあると言わざるを得ず、引き続き追及していく」と述べました。
法相「重大事件を捜査」 東京高検検事長の勤務延長
日経新聞 2020/2/3
森雅子法相は3日の衆院予算委員会で、7日に定年を迎える黒川弘務東京高検検事長の勤務延長の閣議決定について「管内で遂行している重大かつ複雑・困難事件の捜査、公判に対応するため」と説明した。安倍晋三首相は「法務省で人事を決定し、我々は考え方を了としている」と述べた。
法相は「様々な複雑な事件がある。高度な判断が必要なものが複数ある」と理解を求めた。
立憲民主党などの野党は3日、黒川氏の人事に関して国会で追及すると決めた。共産党の小池晃書記局長は記者会見で「検察組織は政治権力からの独立が大原則だ。検察の独立性を脅かす政治介入の疑いがあると言わざるを得ない」と語った。
政府は1月31日の閣議で、黒川氏の勤務を今年8月まで延長すると決めた。検察庁法は検察官の定年を原則63歳、検事総長は65歳と定め、検事長の勤務延長は異例だ。
立民 枝野代表 「東京高検検事長勤務延長は明確な脱法行為」
NHK NEWS WEB 2020年2月2日
(前 略)立憲民主党の枝野代表は、さいたま市で記者団に対し「明確な脱法行為であり、官邸が恣意的(しいてき)に人事を動かしてはならない。間違っても黒川検事長を検事総長にしてはいけない」と述べ、批判しました。
そして「検察という、場合によっては総理大臣を逮捕するかもしれない機関の人事に官邸が介入するのは法治国家の破壊行為であり、法務大臣は職を賭してとめてほしい」と述べました。(後 略)