2020年6月7日日曜日

07- 日本人の民度は低いことに・・・感染抑止と経済活動の両立が必要(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、最新(5日現在)の新型コロナウイルス感染症による人口100万人当たり死者数東アジア地域についてはPCR検査数)を紹介しました。
 死者数は東アジアの中では、日本はワーストのフィリピン(9人)に次いで2位(7人)です。
 ここで言えることは、死者数が少ないのは「日本固有の現象ではなく、東アジア固有の現象である」ということで、その中で日本は最悪レベルの国家ということです。
 その点を見落として、「欧米と比較して日本の人口当たり死者数は少ないから『日本コロナ対策は成功したと論評するのはあまりにもみっともない」と述べています。
 そして麻生太郎氏が、海外から日本はなぜ死者数が少ないのかと聞かれたときに、「日本人は民度が高いから」と答えたと公言していることに触れ、もしもそうであれば「日本の民度は東アジアのなかで最も低い国の一つということになる」と述べています。

 山中伸弥教授が指摘した、東アジア国で死者が少ない原因「ファクターX」の解明が望まれます。

 専門家会議はいまの段階で、クラスター解明(追跡)の活動は有効であったという総括をしているといわれています。しかし1日当たりの感染者数が僅か50人ほどで追跡が出来なくなるようなクラスター追跡が、感染拡大防止に有効な対策であるとはとても思えません。専門家会議は、医療崩壊が起きるからとPCR検査を抑制し、感染が拡大すると、クラスターの追跡が可能になるレベルまで引き下げるために、「営業を停止し、行動を自粛」して拡大を沈静化する必要があると述べました。まさに本末転倒の考え方です。
 感染が拡大する度に「営業停止・行動自粛」を繰り返すのでは、日本の経済は沈没し、生活が出来ない人たちがさらに激増していきます。
 
 まずはPCR検査(乃至はその他同等の検査)を拡大し、総力を挙げ感染者を見出して隔離することで第2波、第3波に対処するしかありません。そのための検査体制・隔離治療体制を充実(そのための財政的・技術的対策、医療機関への財政的支援等を含む)させることが必須です。
 植草一秀氏は、国は「感染抑止と経済活動維持を両立させる方策を示す必要がある」と述べています
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日本人民度は低いと解釈される麻生太郎発言
植草一秀の「知られざる真実」 2020年6月 5日
東アジア各国・地域の新型コロナウイルス感染症による人口100万人当たり死者数とPCR検査数は以下の通り。(データ出所は https://bit.ly/3cynEwY 
                    死者数       PCR検査数
1.フィリピン    9     3555
2.日本       7     2400
3.インドネシア   6     1345
4.韓国       5    19330
5.シンガポール   4    69864
6.マレーシア    4    17342
7.中国       3       NA
8.タイ       08    6026
9.香港       0   27084
10.台湾       3    3067
11.ミャンマー    1     583
12.モンゴル     0     4828
   カンボジア     0     1345
   ベトナム      0     2827
 ラオス       0     1077

欧米と比較して人口当たり死者数が圧倒的に少ない。
欧州各国の人口当たり死者数は
1.ベルギー     826
2.英国       588
3.スペイン     580
4.イタリア     557
5.スウェーデン   452
6.フランス     445
7.オランダ     350
8.アイルランド   337
9.スイス      222
10.スクセンブルク  176

米州では
1.米国       333
2.カナダ      202
2.エクアドル    198
4.ブラジル     160
5.ペルー      153
となっている(6月5日時点)

欧米と比較して日本の人口当たり死者数は少ないが、これは日本固有の現象ではなく、東アジア固有の現象である。
その東アジアの15の国・地域のなかで、日本はワースト2に位置している。
麻生太郎氏が死者数が少ない主因は「民度」と述べたが、この事実を踏まえると、日本の民度は東アジアのなかで最も低い国の一つということになる
テレビメディアが日本のコロナ死者数の少なさを懸命にアピールするが、大本営に同調する戦時下の御用メディアと変わらない。
東アジアのなかで日本の人口当たり死者数が少ないなら、「日本モデルの成功」、「日本の民度の高さ」などと発言しても、体裁が保たれるだろう。
しかし、日本の人口当たり死者数は東アジア15ヵ国・地域のなかで下から2番目なのだ。
この事実を押さえずに「日本コロナ対策は成功した」と論評するのはあまりにもみっともない
現実を直視することもできず、事実を歪めて自画自賛している状況では未来は暗い。

東アジア諸国・地域における人口当たり死者数が非常に低い原因を突き止める必要がある。
生活習慣が影響している可能性もあるだろう。
あるいは、流行したウイルスの種類が欧米とは異なっていたのかも知れない。ファクターXを明らかにすることは重要だ。

重要なことは、東アジア諸国・地域のなかで日本のパフォーマンスがワースト2であるという事実。
人口100万人あたり死者数がゼロの国さえ存在する。
日本の実態は東アジア諸国・地域のなかで突出して劣悪だ。
新型コロナウイルスによる感染は感染者との接触によって生じる。
したがって、人々が行動を抑制すれば感染拡大は鈍化する。
日本ではロックダウンという措置は取られなかったが、限りなくロックダウンに近い状況が生み出された。その結果として新規感染確認者数が減少した。
しかし、人々が行動抑制を緩和すれば感染者数が再び増加する。
ゴールデンウイークが終了するまで極端な行動抑制が取られたが、ゴールデンウイーク明け後に行動抑制が緩和された。その結果として新規感染者数の再拡大が生じている。

再び行動抑制を強化するべきかが議論の対象になる。
感染抑止と経済活動維持を両立させる方策を示す必要がある。
(以下は有料ブログのため非公開)