2020年6月13日土曜日

13- 神社本庁激震!“こんぴらさん”が離脱

 神社本庁全国8万社の神社を包括する宗教法人で、「日本会議」より先鋭的な思想を持つとされ、それが安倍政権になってから政治性が非常に強くなってきたと言われます。
 その関連団体である「神道政治連盟国会議員懇談会」には300人ほどの自民党を中心とする国会議員が加盟しています。勿論 安倍政権の閣僚のほとんどが加盟しています。
 議員懇の母体である「神政連」のウェブサイトには、〈誇りの持てる新憲法の制定〉、〈靖国の英霊に対する国家儀礼の確立〉などの取り組みが掲げられ、天皇男系維持、女性宮家創設反対、東京裁判の否定、夫婦別姓反対などの主張を展開しています。思想的に安倍政権と高い親和性を持っています

 香川県の金刀比羅宮が、全国8万社の神社を包括する宗教法人神社本庁の傘下からの離脱を決めたことをダイヤモンドオンラインが報じました。
 金刀比羅宮は全国各地におよそ600社ある金刀比羅神社(琴平神社、事比羅神社、金比羅神社)の総本宮です。
 他にも、今年3月には愛知県神社庁が「神社本庁内における一連の疑惑は、もはや看過できない」という決議書を神社本庁に提出したほか、4月には神奈川県神社庁と福島県神社庁が、不動産売買疑惑や幹部職員の不倫疑惑に対し、「包括下の全国神社の名誉を著しく損ねる」とする決議書を出し、さらに九州地区の6県の神社庁が連名で、神社本庁の新型コロナへの危機管理対応を激しく非難する緊急提案書を提出しています。

 この調子で、もしも熱田神宮や出雲大社が金刀比羅宮に続けば神社本庁は瓦解しかねない」といわれています。

 すべて神社本庁続出する数々の不祥事や疑惑への反発からで、とても宗教法人とは言えない醜態です。
 どこかの政権と同様に自浄能力がないのであれば潔く瓦解すべきでしょう。
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神社本庁激震!“こんぴらさん”が離脱、「本庁は天皇陛下に不敬極まる」
宮原啓彰 ダイヤモンドオンライン 2020.6.12
ダイヤモンド編集部
「こんぴらさん」の呼び名と参道の785段(奥社まで1368段)もの石段で有名な、香川県の金刀比羅宮が、全国8万社の神社を包括する宗教法人神社本庁の傘下からの離脱を決めたことが12日、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。背景には、不祥事や疑惑が続出する神社本庁への反発がある。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

全国約600社の総本宮が離脱の衝撃
「明治神宮(東京都)が2004年、神社本庁を離脱(10年に復帰)したとき以来の衝撃だ」と、神社本庁関係者は嘆く。
 それもそのはず。金刀比羅宮は全国各地におよそ600社ある金刀比羅神社(琴平神社、事比羅神社、金比羅神社)の総本宮。海上安全の守り神として江戸時代にお伊勢参りと並んで「こんぴら参り」が盛んとなるなど、現代にいたるまで多くの信仰を集めている。
 そんな讃岐の大神社が神社本庁からの離脱を決めた理由は、本編集部が報じた、神社本庁の不動産売買を巡る神社界上層部と業者の癒着疑惑を始め、神社本庁で相次いで発覚する不祥事への嫌悪感がある

 さらに、昨年の天皇陛下の即位に伴う大嘗祭当日祭にお供えする臨時の神社本庁幣帛(へいはく)料が、金刀比羅宮に届けられなかったことがダメ押しになったという。金刀比羅宮は「決して許されない無礼な行いであり、天皇陛下に対して不敬極まりない行為である」と憤りを隠さない。
 金刀比羅宮は5日付で神社本庁に離脱の通知書を送付。宗教法人法に基づく認証手続きを経て、早ければ今秋にも離脱が認められる運びだ。
 問題は、近年、金刀比羅宮と同じく神社本庁への反発から離脱する大神社が続出していることだ。
 昨年、織田信長を主祭神とする京都市の別表神社、建勲神社が離脱。また、2017年には本編集部が神社本庁からの離脱をスクープした大相撲の前身発祥の地、富岡八幡宮(東京都)において、離脱を決めた女性宮司が実弟から日本刀で惨殺されるという事件も起きた。
 殺害された女性宮司は事件の直前、本編集部の取材に応じ、神社本庁の腐敗を訴え、「(神社本庁の実質的トップである)田中恆清氏が神社本庁総長になったころから組織が急激におかしくなった」ことなどが離脱の理由と明かしていた

 このほか、全国4万社という神社界の最大勢力、「八幡宮」の総本宮、宇佐神宮(大分県)でも、神社本庁執行部が送り込んだ子飼いの宮司と地元神社関係者や住民らが対立し、18年には市民団体が宮司退任を求める署名活動を始めた。
 さらにここにきて、各地の下部組織である各県神社庁からも神社本庁への非難の声がにわかに高まっている。
 今年3月、熱田神宮を抱く愛知県神社庁が「神社本庁内における一連の疑惑は、(中略)もはや看過できない」という決議書を神社本庁に提出したほか、4月には神奈川県神社庁福島県神社庁が、不動産売買疑惑や幹部職員の不倫疑惑(関連記事:安倍応援団の神社幹部が不倫か、神社界揺るがす裁判に影響もに対し、「包括下の全国神社の名誉を著しく損ねる」とする決議書を出し、さらに九州地区の6県の神社庁が連名で、神社本庁が新型コロナへの危機管理対応を激しく非難する緊急提案書を提出した。

「現在の神社本庁執行部への不信感が強い、熱田神宮や出雲大社が金刀比羅宮に続けば、神社本庁は文字通り瓦解しかねない」と前出の神社本庁関係者。一方、神社本庁教化広報部は、金刀比羅宮の離脱理由について「分からない」とした。神社界の自浄が求められている。


安倍内閣の閣僚20人中19人がメンバー 神道政治連盟とは?
『NEWSポストセブン』 SAPIO 2016年11月号
 いま、「神社本庁」の存在感が急激に増している。安倍政権と密接な「日本会議」より先鋭的な思想を持つとされ、その関連団体「神道政治連盟国会議員懇談会」には300人以上の国会議員が加盟している。その組織とパワーの源泉を、ジャーナリストの武冨薫氏が解説する。
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 この8月の内閣改造で安倍政権の背後にある一つの“宗教イデオロギー”の存在がくっきり浮かび上がった。神社本庁を母体とする「神道政治連盟」は、なぜ永田町に大きな影響力を持つようになったのか。
 皇居での認証式を終えて官邸のひな壇に並んだ大臣たち。安倍首相を含む大臣20人中19人が「神道政治連盟国会議員懇談会」(神道議連)のメンバーなのである。例外は創価学会を支持基盤とする公明党の石井啓一・国土交通相だけだ。
 神道政治連盟(神政連)は全国約8万社の神社を傘下に置く包括宗教法人「神社本庁」を母体とする団体。同連盟のウェブサイトには、〈誇りの持てる新憲法の制定〉、〈靖国の英霊に対する国家儀礼の確立〉などの取り組みが掲げられ、天皇男系維持、女性宮家創設反対、東京裁判の否定、夫婦別姓反対などの主張を展開している。思想的に安倍政権と親和性が高い。
 それもそのはずで、安倍首相は若手議員時代から神政連に賛同する議員団体・神道議連の事務局長などを歴任し、現在は自ら会長を務めている。毎年、都内のホテルで開かれる総会にもほとんど出席してきた。まさに首相が手塩にかけて拡大してきた議連であり、いまや自民党を中心に301人の国会議員が参加する政界の一大勢力となっている。

 今年の正月、全国の神社の初詣に“異変”が起きた。
 有力な神社の境内に〈憲法は私たちのもの〉などと書かれた幟が立てられ、憲法改正に賛同する署名活動が行われたのだ。神社本庁や日本会議などが推進する憲法改正のための「1000万人ネットワーク」運動の一環で、署名用紙の紹介者の欄には神社の名前があった。地方では宮司が氏子らに「GHQに押しつけられた憲法を今こそ変えなければならない」と署名への協力を要請し、総代が地域を回って署名を集めたケースもある。
 地域の神社が改憲運動の“先頭”に立つという大きな変化だった。その中心が神政連だ。神社本庁の前身は戦前の内務省神社局(後の神祇院)で国家機関だった。明治期には、いわゆる「国家神道」化が行われた
 戦後は宗教法人の神社本庁となり、国家機関ではなくなったが、地方機関である都道府県の神社庁を通じて全国約8万社の神社を包括し、宮司など神職約2万人、信者約8000万人を擁するネットワークはそのまま残っている。全国各地の祭りも神社の行事(神事)が中心にあり、氏子総代会、保存会が担い手となっている。
 神政連の中核はそうした神職たちで、各県の神社庁ごとに地方組織が置かれ、地方議員連盟も組織されている。
 国家神道時代の組織力、ネットワークを引き継いだ神道政治連盟が長い“眠り”から覚めて政治力を発揮すれば、その潜在的パワーは他の教団の比ではない。実際、前述の憲法改正署名運動は今年5月の憲法記念日時点で700万筆を超えたと発表されている。

 神職の中にはそうした変化に戸惑いもある。東京のある神社の宮司が語る。
「いまは戦前の国家神道の時代とは違う。神社の祭りは様々な宗教を信じる氏子や地域の住民がボランティアで担ってくれるし、参拝者の宗教も思想も様々です。だから神社本庁としての政治的立場、主張はあっても、各神社は参拝者に声高に叫ぶことはしなかった。
 それが安倍政権になって、とくにこの1~2年、政治性が非常に強くなってきた。神社のネットワークは全国に張り巡らされているだけに、あまり政治色が強くなると反発を招くのではないかと心配している」
 宗教界の“眠れる巨人”とも言える神社本庁と神道政治連盟が政治活動を活発化させたきっかけとして見逃せないのは、安倍首相の強力なバックボーンとして発言力を強めている前述の保守系国民運動団体「日本会議」との密接な関係だろう。
 日本会議では神社本庁統理の北白川道久氏(旧皇族)、伊勢神宮大宮司の鷹司尚武氏が顧問を務め、神社本庁総長の田中恆清氏が副会長を務めているほか、神政連会長などが代表委員を務めている。神社本庁は日本会議の中核構成メンバーの一つと言える。
 日本会議にも神政連とは別に国会議員懇談会があり、こちらも安倍首相が特別顧問を務め、メンバーの重複も多い。