2020年6月5日金曜日

05- 大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い 吉村知事も賛成と

 2日、高須クリニックの高須克弥院長らが「大村秀章・愛知県知事のリコール」を求める団体を設立、署名を募りはじめました。
 設立のメンバーは高須院長百田尚樹有本香、竹田恒泰それに中部大学の武田邦彦の各氏でいずれも極右論客たちです。
 ことの起こりは「あいトリエンナーレ展」をめぐり、名古屋市が当初約束していた補助金を支払わないことで、大村・愛知県知事から訴訟を起こされている河村たかし名古屋市長が高須氏に「こんなこと許されてええかね!」と電話したことでした。
 それに対して高須氏が「じゃあ僕が先駆けてリコール運動の声をあげましょう」と応じ、河村市長は2夕方に「市民のために応援せにゃいけん」と高須院長を支援すると表明ました。まさに河村氏による完全な「マッチポンプ」でした

 高須氏は「あいトリエンナーレ展について、「天皇陛下の写真に火をつけてそれを踏みにじったり、我々を守るために亡くなられた英霊をはずかしめるような作品を、芸術作品として我々が払った税金から補助を与えるということ、それが一番許せないことです」と語っています。
 しかしそれらの作品を制作した側には、当時の絶対主義的天皇制下の悲劇を表現する、あるいは批判するという発想があったのであり、その一方でそれを鑑賞した人たちの中には高須氏と同じ感想を抱く人たちもいたということです。
 問題はそこではなく、そうした作品に対する評価や批判はそれを鑑賞したのちに自由に行えばいいのであって、「作品を展示すること自体が許されない」としてきたことが果たして正当であったのか、表現の自由を否定するものではなかったのかを、改めて世に問うたのが「表現の不自由展・その後」の趣旨でした。

 文化庁は当時、展示品目に韓国の少女像などが明記されていなかったという奇妙は口実をつけて約束していた補助金を全額不交付にしました。
 しかし美術評論家連盟や国際美術館会議(CIMAM)など数多くの組織が不交付に対して反対声明を発表し、10万筆もの撤回を求める署名が集まりました。愛知県も昨年10月24日に補助金不交付に対して不服申出をしました。
 結果的に、文化庁は今年3月、展示品目の連絡不備を瑕疵として一部減額して6700万円を補助金として交付しました。

 そういうことで既に政治的に決着した事柄がここでまた蒸し返されたのでした。
 世上では3日9時の時点で、「#大村知事リコールに反対」ツイート10数万件に達し、大村知事リコール賛成のツイートを上回ったということです。
 リコール運動について記者から聞かれた大村知事は、「法律に触れなければ、それはご随意にということではないか」と答えたということです。彼の応対は常に冷静で的確です。
 それに反してミソを付けたのが吉村・大阪府知事で、2日、記者に対して、大村秀知事のリコール運動について「取り組みには賛成だ。応援する」と述べました。
 吉村氏は高須氏とは懇意な関係にあったようですが、他府県の知事が県知事のリコール運動に賛意を表するというのは前代未聞のことで、その言動に批判が出るのは当然です。馬脚を現わしました。

 LITERAの記事を紹介します。
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大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い…
「桜を見る会」出席or擁護しながら“税金の無駄遣い”呼ばわりのお笑い
LITERA 2020.06.04
 いったい、この人たちの頭の中はどうなっているのだろう──。高須クリニックの高須克弥院長らが「大村秀章・愛知県知事のリコール」を求める団体を設立、署名を募りはじめた件だ。
 周知のように、昨年の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる問題以降、高須院長ら極右安倍応援団はネット右翼と一緒になって“大村知事バッシング”を展開。「不自由展」をめぐる極右政治家らの攻撃のトンデモっぷりについては、昨年来、本サイトでも繰り返し指摘してきたのでそちらを読んでいただきたいが、高須院長らはついに団体まで立ち上げ、大々的にキャンペーンを張ろうというつもりらしい。

 2日、高須院長らが名古屋市内で会見を開き、「お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会」なる政治団体設立を発表、あらためて大村知事のリコール運動を始めると大見得を切ったのだが、呆れたのは集まった面々。百田尚樹氏に有本香氏、竹田恒泰氏に加えて中部大学特任教授の武田邦彦氏という、ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)でもおなじみ、中国や朝鮮半島の人たちへのヘイトを日々拡散・煽動する極右ネトウヨ論客ばかりだ。もう、この時点で胸焼けするレベルだが、連中は会見のなかで言いたい放題ぶちまけていた。
「天皇陛下の写真に火をつけてそれを踏みにじったり、我々を守るために亡くなられた英霊をはずかしめるような作品を、芸術作品として我々が払った税金から補助を与えるということ、それが一番許せないことです」(高須院長)
「昭和天皇の写真を焼いて踏みにじる作品を公金で展示したということはですね、しっかりと責任を追及しなくてはいけないと思っています」(竹田恒泰)
「(「不自由展」の)実行委員会が企画展の内容を隠して出すと言って、作者にも出品の際にはそういうことを言っていたと。補助金を申請しておこなう企画展としては非常に不適切ではないか。非常に強い言葉で言えばですね、補助金の詐取にあたるものではないか」(有本香)
「民間で勝手にやるぶんは、一応、表現の自由ということでなんでもありかなあと、品がないけどありかなあというところがありますが、しかしながら、これを税金でこういう展示物をおこなったと。国の税金、県の税金、あるいは市の税金ですね。税金でおこなわれる場合はですね、あくまで公共物、つまり国民、県民、市民のために資するものでないとダメですよね。ところが、まさにそのことと正反対のことがおこなわれて。これは税金詐取、一種の詐欺事件じゃないかという見方もあります」(百田尚樹)

 ようするに、「平和の少女像」(いわゆる慰安婦像)の展示などに不満タラタラな極右文化人たちが、「不自由展」に「我々の税金を使った」ことを理由に「大村知事は辞めろ!」と息巻いているわけだが、いやはや、コレって何かのジョークなのだろうか? 
 というのも、百田も有本も竹田も武田も、例の安倍首相主宰「桜を見る会」の招待を受けて嬉々として出席、記念撮影までしていた。それこそ、“安倍首相のお仲間”というだけで「我々の税金」を勝手に使って飲み食いするなど、大はしゃぎだったわけだ。高須院長も出席こそしていないが、正真正銘の「血税の無駄遣い」に何の批判もせず、逆に野党攻撃を展開していた。それを、大村知事に対して「我々の税金を使うな!」とは、まったく“お笑い草”としか言いようがないだろう。

大村知事リコール賛同で完全にわかった吉村知事の歴史修正主義と表現の自由否定
 実際、高須院長らが乗り出した「大村知事リコール運動」は、支持者のネトウヨをのぞき失笑を買っており、Twitterではこのトンデモ解職運動に対抗する「#大村知事を支持します」「#大村知事のリコールに反対します」などのハッシュタグが多数投稿されている。ようは、連中のトンデモっぷりは、もはや本サイトが指摘するまでもなく広く認識されているというわけだ。
 しかし、驚くのは、こんなイチャモンとしか言いようがないトンデモに、一部の政治家たちが諸手をあげて賛同していることだ。そもそも高須院長によれば、この「大村知事リコール運動」は、「あいトリ」をめぐる補助金不払いの件で大村知事から訴訟を起こされている河村たかし名古屋市長から「『こんなこと許されてええかね!』と電話を受け」て、「じゃあ僕が先駆けてリコール運動の声をあげましょう」というやりとりがきっかけだったという。朝日新聞によれば、河村市長は同日夕方に「市民のために応援せにゃいけん」と高須院長を支援すると表明したというが、これって、完全にマッチポンプ以外の何モノでもないだろう。

 いや、河村市長だけではない。あの吉村洋文・大阪府知事も同日、「公金を使って開催したことに強い違和感を感じる。賛成です」と記者団に語り、リコール運動への「賛同」を表明。会見の前日には、高須院長の〈吉村知事のご臨席の栄を賜れれば克弥望外の喜びであります〉なるツイートに、公務があるので出席は難しいとしつつ〈リコールは簡単にはいかないと思いますが、応援してます、なう。行政が税金であの『表現の不自由展』はさすがにおかしいですよね〉と返信していた。
 吉村知事と大村知事をめぐっては、新型コロナウイルスによる「東京・大阪での医療崩壊」をめぐって応酬を繰り広げているが、本サイトでも先日の記事で詳細に検証した( https://lite-ra.com/2020/06/post-5448.html)ように、“バトル”の実質的な中身はどう見ても大村知事のほうに理があった。
 もともと吉村知事は、松井一郎・大阪市長とともに「あいトリ」問題で大村知事を攻撃してきたが、「医療崩壊」論争での詭弁に続いてネトウヨ文化人たちによるトンデモリコール運動に同調するとは、これが大都市の首長のやることだろうか。コロナを機に、詭弁やスケープゴート戦術による“イメージアップ”にまんまと成功した吉村知事だが、完全にメッキが剥がれ、“ネトウヨとの親和性”の本性が丸出しになったということだろう。

 いずれにしても、極右文化人とネトウヨ、吉村洋文知事や河村たかし市長といった政治家たちが束になって仕掛けている「大村知事リコール運動」は、なにからなにまでトンデモだ。行政の介入や圧力から「表現の自由」を守り、(すり替えばかりの吉村知事とは違って)コロナ対策でも堅実な結果を出している大村知事が、一部のネトウヨ連中の攻撃によって潰されるようなら、それこそ“民主主義の終わり”と言える。日本でいかに歴史修正主義が浸透しているか、国際的に大恥を晒すことにもなるだろう。結局、連中が破壊しようとしているのは、大村知事だけでなく、表現の自由と生活者の安全だからだ。そのことを忘れてはならない。 (編集部)