中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業(事務作業)を769億円で受注したのは「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」でした。しかし実際は殆ど実体のないトンネル会社で、その実務を749億円で電通に再委託(丸投げ)したことは以前に紹介しました。
4年前にそのサービスデザイン推進協議会の設立に関与した企業が電通とパソナ(人材派遣業)それにトランスコスモス(ITサービス業)と言われています。
その後推進協議会は4年間で「持続化給付金」を含めて14事業を計1576億円で経産省から委託され、うち9件を電通や人パソナなどに再委託していたほか、残りの5件も事業の大半を外注していたことが分かりました。
また給付金事業では業務を協議会から再委託された電通が、パソナとトランスコスモスに再々委託していたことも判明しました(朝日新聞)。
要するに経産省発注の事業を協議会が受注した後に、電通とパソナ、トランスコスモスが自由に分け合っていたという構造です。税金がこういう形で、経産省と結託した大企業にかすめ取られるという構造です。
東京新聞の記事を紹介します。
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「給付金」法人に14件1576億円 経産省が委託 7件は電通などに再委託
東京新聞 2020年6月1日
国の持続化給付金事業を担う一般社団法人サービスデザイン推進協議会が設立から四年で、同事業を含め十四事業を計千五百七十六億円で経済産業省から委託されていた。うち九件を、広告大手の電通や人材派遣のパソナなどに再委託していたことも判明。残りの五件でも事業の大半を外注していた例があり、法人本体の実体の乏しさがより浮き彫りになった。 (森本智之)
過去の再委託の事例は経産省が国会議員に示した資料で明らかとなった。法人が再委託をした事業九件のうち、電通グループに七件、パソナには二件と法人の設立に関与した企業を中心に事業を回していた。
法人の不透明さが発覚する発端となった持続化給付金では、委託費の97%に当たる七百四十九億円が再委託費として電通に流れている。電通が設立に関与した法人から電通に事業が再委託される経緯について、両者はこれまで「回答を控える」としている。経産省は現時点で、持続化給付金以外の事業に関しては再委託費を明らかにしていない。
ただ、税金の使い道を検証する政府の行政事業レビューによると、電通など五法人が再委託を受けた中小企業などへのIT導入支援事業(二〇一七年度)では、四百九十九億円の予算から、法人にひとまず入った金額の96%に当たる三十七億円が外部に流れていた。過去の再委託でも同様に、法人が事業の大部分を外部に回す手法が目立つ。
さらに「再委託先はない」と経産省が説明する五件でも、レビューによると法人が事業を外注していた例があった。例えば外注割合はおもてなし規格の事業(一六年度)で68%相当、IT導入補助金(一七年度)では96%に上った。
再委託と外注は契約形態が違うが、法人が自前で業務の大半を行わず外部に任せるという点では同じ。過去の事業でも法人が税金から得た金額が問題視されそうだ。
<持続化給付金事業の再委託> 経済産業省中小企業庁は中小企業などに最大200万円を給付する持続化給付金で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で事業を委託。この法人はサービス業の生産性向上を図る目的で2016年5月、電通、パソナ、トランスコスモス、日本生産性本部などによって設立された。委託費の97%に当たる749億円が、法人からの再委託で電通に流れることが判明。実質的な給付事業は電通が担っているといえ、法人の実体の乏しさが鮮明となった。一方、法人の代表理事は6月8日付で辞職するとしている。