2020年6月1日月曜日

リーマン不況超えの消費税コロナ大不況/2次補正の真水は僅かに10兆円ほど

 経済学者の植草一秀氏が、「リーマン不況超えの消費税コロナ大不況」とする記事を出しました。
 529日発表の4月鉱工業生産統計によると、鉱工業生産指数は前月比で91%減少し鉱工業在庫率指数は前月比127%上昇しました。添付されているグラフのとおり、4月ひと月だけで恐るべき悪化を示しています。5月、6月とさらに進むものと見られます。
 製造業でこれだけの影響が表れているわけで、コロナの影響は製造業よりも非製造業で顕著であるとされているので、非製造業の現状がさらに深刻であるのは明らかです。

 記事の前半では、先に安倍首相が意気揚々と「日本はコロナ対策に成功した」と述べたものの実態は決してそうではないことを、人口100万人当たりのコロナ死者数で明らかにしています。国民にウソを吐いて政権の成果を偽装するのは安倍内閣の常套手段ですがいい加減にすべきです。

 日刊ゲンダイの記事「真の経済効果は28兆円 空前絶後の閉店招く粉飾コロナ対策」を合せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リーマン不況超えの消費税コロナ大不況
植草一秀の「知られざる真実」 2020年5月30日
安倍首相は5月25日の会見で「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」と述べた。メディアも「コロナ対策に成功した日本」をアピールするが典型的な台本営=大本営発表である。

5月30日現在の人口100万人当たりコロナ死者数は、

欧州では



米州では



東アジアでは

1
ベルギー
814

1
 
316

1
フィリピン
9
2
スペイン
580

2
エクアドル
189

2
 
7
3
 
562

3
カナダ
185

3
インドネシア
6
4
イタリア
550

4
 ブラジル
132

4
 
5
5
フランス
440

5
ペルー
128

5
 シンガポール
4
6
スウェーデン
431





6
マレーシア
4
7
オランダ
346





7
 
3
8
オランダ
333





8
タイ
08
9
スイス
222





9
ミャンマー
01
10
スクセンブルク
176





10
モンゴルetc
0
また、香港 5 台湾 3になっている。https://www.worldometers.info/coronavirus/ 

欧米と比べて東アジアでの人口当たり感染者数、死者数は圧倒的に少ない。
何らかの要因が存在する。遺伝子にかかわる要因、生活習慣、気候、体質、ウイルスの種類など、何らかの要因で感染が抑制されている。
その東アジアの中で日本の人口当たり死者数は上位から2番目安倍内閣の対応失敗がこの結果をもたらしたと考えられる。五輪と習近平来日を優先して対応が著しく遅れた上、PCR検査を徹底的に抑制したことが敗因であると考えらえる。
感染者数が減少したのは、日本の国民が行動を抑制したことが主因だ。
その結果として、日本の被害は欧米に比べれば相対的に軽微にとどまっている。

安倍内閣は4月7日に発出した緊急事態宣言を5月14日から25日にかけて解除した。
5月25日には安倍首相が「今回の流行をほぼ収束させることができました」と述べた。
全国で営業自粛要請が解除されて、各地の人出が急増し始めている。安倍内閣が誤ったメッセージを発した可能性がある。
新規感染者数の減少は国民の行動抑制が背景だ。とりわけゴールデンウィークの行動抑制は顕著だった。しかし、ゴールデンウィーク明け後は会社への通勤が再開された。
5月15日以降の緊急事態宣言解除に伴い外出が増加し、人と人の接触が拡大していることも想定される。このこと新規感染者数を再拡大させるリスクが残存する。

この段階で「流行を収束させることができた」と発言すべきでない。
人々が行動抑制を緩和し、感染再拡大がもたらされるリスクが存在する。
せっかく明確な抑制傾向を示した感染が再拡大するなら、その責任は安倍内閣の安易な楽観論提示にあるということになる。
「急がば回れ」という言葉をかみしめることが必要だ。

コロナウイルス感染拡大による経済への影響がいよいよ深刻化している。
5月29日発表の4月鉱工業生産統計が日本経済の急変を鮮明に示した。
鉱工業生産指数は前月比で1%減少した。
052920
他方、鉱工業在庫率指数は前月比127%上昇した。
052920_20200530162001

生産が急減した。それにもかかわらず在庫率が急激な上昇を示した。
生産が激減したのに在庫率が急上昇したのは出荷の落ち込みが生産抑制のペースをはるかに上回ったことを意味する。売れ残りが大量発生したのだ。在庫率上昇は次の生産抑制をもたらす。

コロナの影響は製造業よりも非製造業で顕著である。製造業でこれだけの影響が表れている。非製造業の現状はこれよりも深刻だ。
安倍内閣は国民生活を支えるために全力を注ぐべきだが、対応が驚くほど遅い。
(以下は有料ブログのため非公開)

真の経済効果は28兆円 空前絶後の閉店招く粉飾コロナ対策
 日刊ゲンダ 2020/05/30
 事業規模200兆円超のコロナ対策について安倍首相は「GDPの4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策」と自画自賛。芸人のサンシャイン池崎を連想させるフレーズで自ら酔いしれているが、2次補正予算案の事業規模117・1兆円のうち一般会計の歳出増加額は約32兆円。さらに精査するとGDP押し上げ効果のある本当の「真水」と呼べるのは10兆円ソコソコだ。水増しの「粉飾」対策に自民党内でも異論が出ている。
◇  ◇  ◇
「2次補正予算案では『資金繰り対応の強化』に11兆6390億円を充てますが、中身は日本政策金融公庫や民間金融機関が既に実施中の『無利子・無担保融資』の拡充過ぎません。『融資』の効果は極めて限られるのに政府はなぜ、理解できないのか」と憤るのは、自民党の若手議員のひとりだ。こう続ける。
「コロナ禍で需要が消えた今、無利子・無担保とはいえ、『融資を受けろ』と言われても、返済のめどが立たなければ受けられません。だから、堅実な経営者ほど『余力のあるうちに』と廃業を選ぶ。『融資はする、補償はしない』の方針を変えない限り、本当に困っている人を救えません
 約32兆円から融資枠の約11・7兆円を差し引けば20・3兆円。安倍首相が「もう答弁に立ちたくない」とサッサと国会を閉じるために積んだとされる10兆円もの法外な予備費も除けば、10・3兆円しか残らない。

2次補正予算案の本当の「真水」は10兆円余り
 1次補正の歳出増加額は25・6兆円。大マスコミはこの分を「真水」と伝えるが、2次補正予算案と同様に融資メインの「資金繰り対策」(約3・8兆円)や「予備費」(1・5兆円)、不要不急な「Go Toキャンペーン事業」(約1・7兆円)を排除すれば、「本当の真水」と呼べるのは約18・6兆円になる。
 1、2次合わせて本当の真水28・9兆円は、事業規模約234兆円の12%、GDP比20分の1だ。“サンシャイン安倍”が「空前絶後」とハイテンションで誇れるシロモノではないのだ。

支給は8月末まで待たされる家賃支援
 しかも2次補正予算案の柱である「家賃支援給付金の創設」(約2兆円)も見掛け倒し。賃料の3分の2を支給と言いながら、複数の店を持つ事業者でも月100万円の上限付き。こんなチンケな額では都市部の家賃は補えないし、支給条件もメチャクチャ。売上高が前年同月比50%以上減が1カ月、あるいは連続3カ月の合計で30%以上減が条件だが、起算月はナント5月以降。4月7日からの緊急事態宣言で営業自粛を強いられた先月分は含まれていないのだ。
「せめて感染が拡大した3月分の家賃から支援すべきです。3割減で給付を申請するには7月まで待ち、給付は早くても8月末。気の遠くなるような話で、その前に閉店・廃業が相次いでしまう。一事が万事で安倍政権のコロナ対策はやることなすこと遅すぎます。見た目を繕うだけの『やってる感』のアピールはもうやめてほしい」(経済評論家・斎藤満氏)

 居酒屋チェーン大手のワタミは、今年度中に国内店舗の1割に当たる65店を閉店すると発表。このままだと、閉店ラッシュで雇用が失われ、コロナ不況へと一直線だ。