2020年6月15日月曜日

2次補正予算が成立 こんなにデタラメでいいのか

 2次補正予算は12日、日本共産党とれいわ新選党以外の政党が賛成して成立しました。
 政府は真水33兆円のものを117兆円の規模と称し、1次補正と合わせると200兆円を超す世界最大の対策費と謳いました。しかしその内容は、使途が政府に一任される予備費10兆円を含み、経産省と電通(やパソナ)との癒着疑惑が噴出した持続化給付金の事務委託費に、新たに850億円を計上するなど、問題満載のものです。

 肝心な持続化給付金の給付のための審査を行っているのは、大半が素人である派遣会社員であることも判明しています。
 時給は千〜二千円台勤務は昼と夜に分かれ机とパソコンが並ぶ部屋で百〜二百人の派遣社員が作業をしているということです(東京新聞 6月11日)。そうした実情には唖然としますが「それなりの実態」があるのはまだマシです。
 トンネル会社としか考えられないサービスデザイン推進協議会は、汚名挽回? のために9東京・築地の本部事務所を報道陣に公開しました。そのときはパソコン十数台や電話機8設置され、職員9人のうち5人が業務をこなし、不在者の机には飲みかけのお茶のペットボトルを置く等の偽装? までされていたということです。
 トコロが10日に野党議員が訪問すると、ナント呼び鈴は既に外され、内線電話も応答なしだったということです中はもぬけの殻というわけでサスペンスドラマそのものです。

「どうして立憲民主も国民民主も政権の腐敗と不正義を見過ごし2次補正に賛成したのか。せめて会期延長ぐらいは勝ち取るべきでこれでは安倍政権の国会閉会による批判封じと逃げ切りに手を貸すのと同じ。補正に反対すれば世論が離れるという損得勘定だけでは正義は貫けません」と、政治評論家森田実氏は批判しています。

 日刊ゲンダイと東京新聞の記事を紹介します。
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二次補正が成立 世にもふざけた国会審議に国民は唖然だ
 日刊ゲンダイ 2020/06/13
(阿修羅より転載)  
 企業から1億円の手形を詐取するため、とある会社の看板を付け替え、偽の支店長と社員が乗り込み、大企業の支店に成りすます。訪れた企業はすっかり信用して手形を渡し、後日、小切手の受け取りに訪れると、全くの別会社だった――。
 昭和時代の推理小説家・高木彬光氏のクライムサスペンス「白昼の死角」のワンシーンだ。1979年に映画化されたが、連日、野党の追及を受けるトンネル法人の“大仕掛け”は、このシーンをほうふつさせる。
 持続化給付金の事務事業を769億円で受託し、20億円を中抜き。残り97%を創設に関わった電通に丸投げした一般社団法人サービスデザイン推進協議会。実体なき“幽霊法人”との批判を払拭するため、9日に東京・築地の本部事務所を報道陣に公開した。
 パソコン十数台や電話機8台を設置。職員9人のうち5人が業務をこなし、不在者の机には、飲みかけのお茶のペットボトルを置くリアリティー。
 ところが、翌10日に野党議員が訪問すると一変、呼び鈴は外され、内線電話も応答なし。入り口の警備員は「中には誰もいない。外出している」と説明したという。
 たった1日で“もぬけの殻”。まさか電通と共に立ち上げに関わった人材派遣大手・パソナがエキストラを仕込んだわけではあるまい。まるで映画の撮影のような国民騙しを野党に追及された梶山経産相は「経理の担当が銀行とやりとりをしているが、リモートでもできる」「実態があるという前提で、われわれも契約をしている」とシドロモドロ。なぜ「前提」でなく、「実態はある」と断言できないのか。まさに「語るに落ちる」とはこのことである。

電話つながらず審査業務の大半は素人
 再委託を受けた電通は「管理・運営費」として103億円を抜き、5つの子会社に645億円で事業を再々委託。さらに子会社は417億円を外注に出し、パソナに170億円、ITサービスのトランスコスモスに29・8億円、大日本印刷に102億円、イベント会社のテー・オー・ダブリューに115億円で再々々委託した。
 下請け、孫請けどころか、一節には「8次請け」まで委託費が流れたという。血税に群がり、食い潰す構図は異様だ。

 給付金事業の民間委託に関し、安倍首相は「スピード感をもってこなす必要があることを踏まえた」と国会で言いながら、実際の給付は超スロー。9日時点で受付開始日(5月1日)と2日目に申請した計約28万6200件のうち、2万件以上が1カ月以上たっても入金されていなかった。
 その上、申請希望者が3日間で241回もコールセンターに電話してもつながらず、やっとつながってもマニュアル通りの対応で個別の質問には答えられない。おととい(11日)付の東京新聞によると、審査業務に当たる派遣社員は「経理の用語も何も分からない素人が大半」というから、デタラメが過ぎる。これでは「持続化」を求める企業をハナから救う気がないとしか思えない。
「協議会メンバーの電通は五輪組織委員会の専任代理店。パソナと再々々委託先の大日本印刷は五輪スポンサーです」と前置きし、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう続けた。
「うがった見方かもしれませんが、政府のコロナ対策には五輪延期に伴うスポンサーへの損失補填の意味合いが込められているのではないか。中止を心配して契約延長を渋るスポンサーをつなぎ留める意図もあるのかもしれません。でなければ、入札調書で『A』評価だったデロイトトーマツを押しのけて『C』評価の協議会が受注したり、入札前協議のエコひいきなどの不可解さは説明がつきません」

次々と噴出する信じがたい腐った癒着構造
 不適切な関係は尽きない。「週刊文春」は最新号で、給付金を所管する経産省中小企業庁トップの前田泰宏長官と協議会の癒着を暴いた。前田氏が米テキサス州への視察旅行の際、現地で借り上げたアパートを「前田ハウス」と称し、知人らを集めたパーティーに協議会の業務執行理事で元電通マンの平川健司氏を招いていたというのだ。
 NHKで中継されたおとといの参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫副代表に責め立てられると、前田氏は明らかにろうばいした様子。「たまたま現地ホテルのコーヒーバーで会い、たまたま一度だけパーティーで会った」旨を説明する目は終始、落ち着かずキョロキョロ。
 蓮舫に「国民が納得しますか」と畳みかけられると、「事実は事実でございます」と答えるのが、やっと。まるで漫画のような国会中継にマトモな国民は唖然としたはずだ。

「国家公務員倫理法は1条で『職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為』の防止を定めています。だから、学者でも各省庁の審議会入りの際、利益相反を疑われる関係がないことを申告させられます。利害関係者と食事を共にするだけで法に抵触するのに、なぜ前田氏と電通マンの会食は不問なのでしょう。メディアの“電通タブー”を幸いに、以前から癒着していたのではないか。いずれにしろ、これだけ腐敗が可視化されるのは、政権末期の様相です」(五野井郁夫氏=前出)

幕引きに手を貸す野党の裏切り行為
 さらに「しんぶん赤旗 日曜版」(14日号)は、2009年の「家電エコポイント」事業が〈電通の給付事業利権の“原点”〉と伝えた。当時、電通側の中心が平川氏、経産省の申請サイト・管理システム担当が前田氏だったと指摘している。
 実に11年前から続くズブズブ関係。協議会は16年の設立以来、経産省から計14件、総額約1600億円の事務事業を請け負い、うち9件は電通に丸投げ。もぬけの殻となった協議会の入居ビルには、電通が経産省から受託した事業の事務局が他に6つも入居。6事業の電通への支払額は約16億円に上るのだ。

 持続化給付金を巡り、経産省と電通の癒着疑惑が次々噴出しているのに、政府は2次補正予算でも事務委託費に約850億円を計上。再び協議会に丸投げの可能性が高い
 安倍が国会で「真に必要となった経費のみを支払うもので、不正な利益を得る余地はない」とし、適正だと強弁する厚顔に、国民は自身の頬をつねりたくなる気分である。
「どうして立憲民主も国民民主も政権の腐敗と不正義を見過ごし、2次補正に賛成したのか。いち早く困っている人に給付を届けたいとの気持ちは理解できるにしても、せめて会期延長ぐらいは勝ち取るべきでした。これでは、安倍政権の国会閉会による批判封じと逃げ切りに手を貸すのと同じ。補正に反対すれば世論が離れるという損得勘定だけでは正義は貫けません。もはや腰抜けを通り越し、国民への裏切り行為。両野党の執行部は全員更迭モノです」(政治評論家・森田実氏)
 これは現実なのか、白日夢ではないのか。にわかには信じがたい政治状況の鬱憤をどこにブツけたらいいのか。


給付金の審査現場は「素人が大半」 下請け派遣社員が証言 
東京新聞 2020年6月11日 
 国の持続化給付金事業は、実体に乏しい一般社団法人を経由して委託・外注が重ねられ、業務の運営が不透明だとの批判が上がっている。「ひ孫請け」にあたる企業の子会社で給付金審査を担当する派遣社員は、無駄の多さや目まぐるしく変わる審査基準など現場の実態を語った。(嶋村光希子)

 「『資料を読んでください』と指示され、ほぼ一日、何もしなかった」。東京都北区にある審査現場で働いていた男性は、五月一日の申請初日から数日間のことを振り返った。後に、初日は申請が殺到したことで経産省中小企業庁のホームページにアクセスしにくくなっていたことが分かった。初日と二日の申請分のうち、一万件超の未入金があることが六月十日、明らかになった。 
 審査は次から次へと回ってくるのではなく、待ち時間の方が長い日もあったという。「時給が付いているのに居眠りする人もいて無駄が多い」と業務の進め方に疑問を持った。 
 男性は大日本印刷の子会社「DNPデータテクノ」への派遣社員。大日本印刷は元請けの一般社団法人サービスデザイン推進協議会から数えて、三次下請けとなるいわば「ひ孫請け」企業だ。広告大手の電通などとともに、法人の構成企業でもある。男性がいた北区以外にも、複数の審査拠点があるが、法人は一切公表していない。 
 男性ら関係者によると、審査を担当する人たちは複数の派遣会社に所属している。勤務は昼と夜に分かれ、時給は千〜二千円台。机とパソコンが並ぶ部屋では百〜二百人の派遣社員が作業をしている。作業内容は、全国各地から送られた確定申告書の控えや売り上げ台帳を照合し、本人確認書類などをチェックする。持続化給付金にちなみ、業務のことを「JK」と呼ぶそうだ。