2020年6月13日土曜日

臨時国会召集は「憲法上の義務」 野党が会期延長要求の構え

 安倍政権は野党からの追及を逃れるために17日に国会を閉じようとしています。しかしコロナ対策をはじめ問題は山積なので、野党の要求通り国会の会期を延長して審議を尽くすべきです。
 国会を強引に閉じた場合の野党の対抗手段として、憲法は臨時国会の開催を要求する権利を認めています。
 憲法53条は衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば、臨時国会を開かなければならないと定めています。
 野党はこれまで15年と17年(森友加計学園疑惑問題の時期)に2度この権利を行使しましたが、安倍政権は15年には完全に無視し、17年には一応3か月後に臨時国会を開きましたがそれは国会を冒頭解散するためでした。
 17年に安倍内閣が3月間応じなかったことが憲法違反にあたるかが問われた訴訟の判決が10日、那覇地裁であり、沖縄県選出議員らの損害賠償を認めず、また安倍内閣の対応が違憲か否かの結論は出さなかったものの、「内閣は召集する法的義務を負うとの判断を示しました。
 もしも臨時国会開催の要求が出されれば、如何に遵法精神が乏しい安倍政権であっても今度は無視できない筈です。
 東京新聞と沖縄タイムスの記事を紹介します。
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臨時国会召集は「憲法上の義務」
那覇地裁判決を受け、野党が会期延長要求の構え 
東京新聞 2020年6月12日
 野党は十一日、憲法五三条に基づく臨時国会召集の要求を受けた内閣には召集義務があると指摘した那覇地裁判決を受け、今国会が十七日の会期末で閉会となった場合は臨時国会の召集を求める構えを示した。安倍政権が応じなかった場合は「違憲」との批判を強める方針だ。(大野暢子、村上一樹) 


 那覇地裁の訴訟では、安倍内閣が二〇一七年に野党の臨時国会召集の要求に約三カ月応じなかったことが違憲かどうかが問われた。山口和宏裁判長は十日の判決で、野党議員らの損害賠償請求を棄却し、安倍内閣の対応に関する憲法判断も示さなかった。 
 その上で、憲法五三条に関し「少数派の国会議員の主導による議会の開催を可能にする」目的があると指摘。内閣には「要求を受けた場合、臨時国会を召集すべき憲法上の義務がある」と言明した。「単なる政治的な義務にとどまらず、法的義務があると解される。(召集しなければ)違憲と評価される余地はあるといえる」と述べた。 
 立憲民主党の辻元清美幹事長代行は十一日、本紙の取材に「安倍政権が臨時国会を三カ月召集しなかったことは実質的に憲法違反だと判断されたに等しい」と強調。「この判決により安倍政権は召集から逃げにくくなった。召集要求を無視し、国会を閉じておくことに対する抑止力になった」と評価した。 
 野党は、新型コロナウイルス感染拡大の第二波に継続的に対応し、コロナ対策予算の使われ方をチェックするためにも、今国会の会期延長を求めているが、政府・与党は応じない姿勢を示している。 
 辻元氏は九日の衆院予算委員会で、今国会が閉会した場合は憲法五三条に基づいて臨時国会の召集を求める考えを示し、安倍晋三首相に召集の確約を迫った。これに対し、首相は「仮定の質問に答えるのは差し控える」と明言を避けた。

 早稲田大法学学術院の水島朝穂教授(憲法学)は「判決が指摘するように、召集は法的義務だ。安倍内閣は一五年には臨時国会を開かず、一七年には召集したものの、冒頭で衆院を解散してしまった。今回も安倍内閣が政権のほころびを国民に知られたくないという戦略で国会を開かないとすれば、これ以上の憲法への反逆はない」と語った。 


社説[国会不召集訴訟]なぜ違憲に踏み込まぬ
沖縄タイムス 2020年6月12日
 2017年6月に野党が要求した臨時国会の召集を安倍内閣が3カ月以上放置したのは憲法違反だとして、当時の県選出国会議員4人が損害賠償を求めた国賠訴訟の判決が、那覇地裁であった。
 4人が国に求めた1人当たり1万円の損害賠償について「金銭補(ほ)填(てん)で回復する性質のものとは考えにくい」として請求を棄却した。
 だが判決の肝はそこではない。「内閣に臨時会を召集するべき憲法上の義務がある」との初判断を示したからだ。
 憲法53条は臨時会について「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めている。少数派の国会議員の意見を国会に反映させるという趣旨が込められているのだという。

 判決は「単なる政治的義務ではなく憲法上の法的義務」と明示した。内閣が臨時会を召集しないという判断は原則できず、「違憲と評価される余地はある」とまで言及している。憲法上の法的義務があると明確にした流れからすると、安倍内閣が臨時国会を召集しなかったのは違憲という結論に至るはずだが、安倍内閣の違憲性については具体的な判断を避けた。
 首尾一貫しない判決と言わざるを得ない。
 内閣による臨時会の召集決定は司法審査の対象である、としながら「違憲判断をした場合には、国政に与える事実上の影響が少なくないことは否定できない」とも述べている。国政に与える影響を考慮し、政治的配慮をした上での妥協的判決なら司法の責務を自ら放棄するに等しい。
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 菅義偉官房長官は判決を受け、「国の主張が認められたと考えている」と述べた。
 損害賠償請求が棄却され、訴訟は形式上、確かに原告の敗訴、国側の勝訴となったが、臨時国会召集は「憲法上の法的義務」との指摘こそ重く受け止めるべきだ。
 国側は臨時国会について「召集要求は高度に政治性を有する行為であるから、臨時国会の召集決定も高度の政治性を有しているので司法審査権は及ばない」などと主張していた。だが判決は「憲法に基づく召集義務であり、内閣の裁量は限られる。召集が合理的な期間内かは裁判所が判断できる」などとして、国側の主張を退けた。
 自民党の改憲草案には「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」と期限を区切っている。これとも矛盾する。
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 臨時国会の召集は、野党が森友・加計学園問題の疑惑解明を求め17年6月22日に要求した。だが98日が経過した9月28日に召集された臨時国会で安倍晋三首相は冒頭解散し審議はできずに終わった。
 新型コロナウイルスの第2波、第3波が懸念される中、政府、与党は今国会を第2次補正予算案を成立させ、予定通り17日に閉会する方針だ。
 野党は会期の大幅延長を求める考えだ。仮に閉会後に不測の事態が生じ、野党が国会召集を要求した場合、安倍首相は憲法上の義務として要求に応じなければならない