2020年6月11日木曜日

伊藤詩織さん 漫画家はすみとしこ氏らを提訴


 ジャーナリストの伊藤詩織さんは8日午後、ツイッターに虚偽の内容を投稿され名誉を傷つけられたとして、漫画家のはすみとしこ氏ら3人を相手取り、慰謝料など計770万円の支払いと謝罪広告、投稿削除などを求めて東京地裁に提訴しました。

 はすみ氏は2017年6月〜2019年12月にかけて、自身のツイッターに「枕営業大失敗」と描かれた女性のイラストや「当時米国でキャバ嬢として働いてた詩織ちゃん」などと書いた5つのツイートを投稿しました。イラストは伊藤さんの名前を明示せず、「この作品はフィクション」と付記したものもありますが、マスコミ報道などを通して伊藤さんを知る人がみた場合は、「イラストに描かれた女性と伊藤さんとを同定することは容易に可能」だと主張し、ツイートが社会的評価を著しく低下させることは明らかで、名誉および名誉感情を毀損するとしています。
 他の2人は医師などで、はすみ氏のツイートをリツイートしました。コメントなしのリツイートは、「フォロワーに対し、ツイートの内容に賛同する意思を示しておこなう表現行為」として、社会的評価の低下や名誉感情の毀損について責任を負うべきとされています。
 伊藤さんは8日午後都内で会見を開きました。
 AERA dot.と弁護士ドットコムの記事を紹介します。
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伊藤詩織さん「誹謗中傷の苦しみを、誰にも経験してほしくない」漫画家らを提訴
AERA dot. 2020/6/8
「言葉は人を傷つけ、時に死に追いやってしまうこともあります。これ以上、言葉で人を傷つけることがないよう、何かアクションを起こさなければいけないと思っていました」
 ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)は8日午後、都内で会見を開き、静かにこう語った。伊藤さんは、この日、漫画家のはすみとしこさんら3人に、計770万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。
 2015年4月、伊藤さんは就職相談のため、元TBS記者の山口敬之氏と都内で食事をした。その際、意識を失い望まない性行為を強要された。17年5月、伊藤さんは名前と顔を出して山口氏からの性被害を訴えたが、その直後からネット上などで、第三者からの誹謗中傷が相次いだ。「死ね」、「首をはねてやりたい」など、命の危険を感じる言葉もあったという。
「夜眠れなくなり、警察に相談したものもあります」
 と伊藤さんは話す。その頃から、何らかの手を打たなければと考えていという。

 同じころ、山口氏自身に損害賠償を求めて提訴し、この裁判は昨年12月、山口氏に慰謝料など330万円の支払いを命じる判決が出たことで一つの区切りがついた。
 今年5月下旬には、プロレスラーの木村花さんがネットでの誹謗中傷が原因で自殺した。同じような苦しみを他の人に経験してほしくない、次の世代に引きついてほしくない――。その思いで今回、アクションを起こすことにしたという。

 訴状によれば、はすみさんは2017年6月から2019年12月にかけて、自身のツイッターに「枕営業大失敗」と描かれた女性のイラストや「当時米国でキャバ嬢として働いてた詩織ちゃん」などと書いた5本のツイートを投稿。イラストでは伊藤さんの名前を明示せず、「この作品はフィクション」と付記したものもあるが、イラストに描かれた女性を伊藤さんと同定することは容易に可能だと主張する。
 はすみさんは、「保守」を名乗る漫画家で、15年には難民の少女をモデルにして「他人の金で。そうだ 難民しよう!」との文言を添えたイラストをフェイスブックに投稿、その後、作品集「『そうだ難民しよう!』はすみとしこの世界」を出版し、物議をかもした。

 会見に同席した伊藤さんの代理人弁護士、山口元一弁護士は、はすみさんの投稿は、侮辱的で伊藤さんの名誉感情を深く傷つけるものだとして、 「非常に悪質性が高いと判断した」と話す。
 はすみさんには5月14日に内容証明郵便を送ったが、会見時点で連絡はないという。
 また今回は、はすみさんのほか二人に対しても提訴している。ほか二人の被告は、医師とクリエイターで、ともにはすみさんの投稿をリツイートすることで伊藤さんの名誉を傷つけたとして、「リツイートの行為主体としての責任を負うべき」(山口弁護士)と指摘する。

 ネット上の誹謗中傷は近年激しさを増している。今も相手の人格を否定し尊厳を傷つける、むき出しの悪意の言葉が飛び交う。伊藤さんは、法整備など何らかの受け皿が必要とし、今この瞬間にもネットでの誹謗中傷で苦しんでいる人に、こう呼びかけた。
「一人でいると追いつめられるので、なるべく一人でいないでほしい。私もそうでしたが、オンラインでいいので誰かと話をしてください。きっと誰かが手を差しのべてくれます」
(編集部・野村昌二)

伊藤詩織さん会見動画  https://youtu.be/LSrhjQIE544  (1時間20分)


伊藤詩織さん、はすみとしこさんらを提訴 「ツイッターで虚偽の内容を投稿された」
弁護士ドットコム 2020年06月08日
ジャーナリストの伊藤詩織さんが6月8日、元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えた事件を巡り、ツイッターに虚偽の内容を投稿され名誉を傷つけられたとして、漫画家のはすみとしこさんら3人を相手取り、慰謝料など計770万円の支払いと謝罪広告、投稿削除などを求めて東京地裁に提訴した。
東京地裁は2019年12月18日、伊藤さんが元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えた訴訟の判決で、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定し、330万円の支払いを命じている(山口さんが控訴中)。

●「ツイートが社会的評価を著しく低下させることは明らか」
訴状によると、はすみさんは2017年6月〜2019年12月にかけて、自身のツイッターに「枕営業大失敗」と描かれた女性のイラストや「当時米国でキャバ嬢として働いてた詩織ちゃん」などと書いた5つのツイートを投稿。
イラストは伊藤さんの名前を明示せず、「この作品はフィクション」と付記したものもあるが、風貌や「伊藤さんと面識がある者、書籍の読者や、マスコミ報道を通して伊藤さんの属性または経験を知る人がイラストをみた場合は、イラストに描かれた女性と伊藤さんとを同定することは容易に可能」だと主張。
ツイートが社会的評価を著しく低下させることは明らかで、名誉および名誉感情を毀損するとしている。
他2人は、はすみさんのツイートをリツイートした。「フォロワーに対し、ツイートの内容に賛同する意思を示しておこなう表現行為と解するのが相当」として、社会的評価の低下や名誉感情の毀損について、責任を負うべきとしている。
伊藤さんは2020年5月14日、はすみさんに対し内容証明郵便を送付。はすみさんは5月28日、自身のツイッターに「もしあなたが自意識過剰な性格なら、風刺画を見るといい。500万円ゲット出来るかもよ!」と投稿している。

●これまでの経緯
2015年4月3日 伊藤さんが山口さんと恵比寿で食事後、ホテルで性的暴行を受ける
2015年4月 伊藤さんが山口さんを準強姦容疑で警視庁に被害届を提出
2015年8月 警視庁が準強姦罪(当時)の容疑で山口さんを書類送検
2016年7月 山口さんが嫌疑不十分のため不起訴処分となる

2017年5月10日 『週刊新潮』の報道(5月18日号)
2017年5月10日 山口さんが自身のFacebookで週刊新潮の報道に反論
2017年5月29日 伊藤さんが姓を伏せて名前と顔を公開し、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開く。検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てたと発表
2017年9月22日 検察審査会が「不起訴を覆すだけの理由がないとして「不起訴相当」と議決

2017年9月28日 伊藤さんが「望まない性行為で精神的苦痛を受けた」として山口さんを相手に1100万円の損害賠償を求めて提訴
2017年10月18日 伊藤さんが体験を綴った著書『Black Box』を出版
2019年2月 山口さんが伊藤さんを相手に慰謝料1億3000万円と謝罪広告の掲載を求めて反訴

2017年12月5日 第1回口頭弁論
2019年7月8日 伊藤さんと山口さんの本人尋問が行われる
2019年10月7日 結審
2019年12月18日 伊藤さん勝訴、山口さんに330万円の支払い命じる判決
2020年1月6日 山口さんが東京地裁の判決を不服として東京高裁に控訴

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