共同通信社が20、21日行った世論調査によると、安倍内閣の支持率は5月末より2.7ポイント減の36.7%(過去ワースト2)、不支持率は49.7%でした。河井克行・案里両議員は「議員を辞職するべきだ」との回答は90.4%に達しました。
また安倍首相に「大いに責任がある」「ある程度責任がある」との回答は計75.9%でした。河井夫妻の買収等の選挙違反の元凶は安倍首相という構図は国民に知れ渡っているということです。
21日付の毎日新聞によると、河井案里氏が初当選した19年7月の参院選では、投票日直後の7月末に陣営の資金が底を突き、未払い金が約3500万円ありました(地元の金融機関から3000万円の融資を受けるなどして清算)。党本部から資金提供された1億5000万円は使い切っていたということです。
党本部は「交付罪」の適用を避けるため、1億5000万円は選挙費用以外に使われたと主張していますが、そうではなく資金は「案里氏を当選させる目的で」「自由に使ってよい金」として渡されたものと考えるしかありません。
それにしても1億5千万円という超潤沢な資金がありながら終盤で3500万円が未払いになるとは異常なことで、余程資金管理がデタラメであったかそれとも終盤で予期しなかった出費(金庫内の現金が持ち去られるなど)があったかです。もしも後者であれば政治家への還流につながるもので、これは選挙違反とは別の問題になります。
ところで河井克行議員は首相補補佐官を鼻に掛け周囲に対して横柄に対応するため、外務省や自民党内では大変に評判が悪かったということです。
当然河井事務所内でのパワハラはすさまじく、これまで数十人のスタッフが陣営を離れ、地元のタクシー会社が派遣する運転手は3日持たないため、最後は派遣する人がいなくなったとのことです。かつて似たような女性議員がいたことを思い出させます。
毎日新聞の該当記事は有料記事で一部しか公開されていないので、記事サイト「阿修羅」から転載させていただきました。
註)安倍首相は、19年7月の参院選で河井案里氏を当選させ溝手氏を落選させた論功行賞として河井克行議員を法相に抜擢しました。それは違法選挙の捜査を抑え込むために、あえて当事者の克行氏を法相に就けたと思われるのですが、10月末日発売の「週刊文春」にウグイス嬢「違法買収」疑惑が掲載されたことで辞任せざるを得なくなりました。
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河井陣営、参院選直後に未払い金3500万円 党提供資金、買収に使用か
毎日新聞 2020年6月21日
(阿修羅より転載 以下同)
自民党から立候補した参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区、離党=が初当選した2019年参院選を巡る選挙違反事件で、投開票日直後の7月末に陣営の資金が底を突き、未払い金が約3500万円あったことが、陣営関係者への取材で分かった。この当時、案里議員側に党本部から資金提供された1億5000万円は使い切っていたとみられている。地元議員らに現金提供されたのは主に4~6月とされており、東京地検特捜部は党本部からの資金が買収に使われた疑いもあるとみて裏付けを進めている。
特捜部は18日、票の取りまとめの趣旨で現金計約2570万円を後援会関係者や地元議員らに配ったとして、案里議員と夫で前法相の衆院議員、克行容疑者(57)=広島3区、同=を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。
案里議員が党の公認を得た後の19年4~6月、夫妻が支部長を務める政党支部に党本部から計1億5000万円が振り込まれたという。使途は、政党支部の政治資金収支報告書が公開されていないため詳細は分からない。ただ陣営関係者によると、広島県内の約120万世帯に複数回チラシを配った費用として1億円近くを支出したとみられるほか、党幹部の来県に備えて大量の看板やのぼりを設置するなどし、公示前に多額の資金を使った。
案里議員の選挙運動費用収支報告書によると、公示以降は自動でつながった電話の相手に案里議員の音声を流すオートコールと呼ばれるシステムや事務所費用などとして計約2700万円を支出。陣営の預金は投開票日の10日後の7月31日になくなった。
この日以降、印刷業者などへの支払いができなくなり、未払い金の総額は約3500万円に達したという。このため、案里議員は地元の金融機関に3000万円の融資を依頼。8月上旬、新設した案里議員名義の口座に入金され、そこから印刷業者2社に計約2700万円を支払うなどして未払い金を清算したという。
事件では、克行議員が後援会関係者や地元議員らに対し、逮捕容疑で買収資金とされた約2570万円のほぼ全てを配ったとされる。提供時期は主に4~6月に集中しているとみられ、党が1億5000万円を拠出した時期と重なる。
捜査当局によると、夫妻は党公認時、資金繰りに窮していた。こうした事情から、党資金が買収に使われた疑いもあるとみて、特捜部が実態解明を進めている。
一方、党本部は取材に対し、1億5000万円の使途について「支部の責任と判断で支出されたと認識している」とのコメントを出した。【山本康介、賀有勇】
参院選後、未払い3500万円 案里議員側、1・5億円使い切る?
毎日新聞 2020年6月21日
自民党から立候補した参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区、離党=が初当選した2019年参院選を巡る選挙違反事件で、投開票日直後の7月末に陣営の資金が底を突き、未払い金が約3500万円あったことが、陣営関係者への取材で分かった。この当時、案里議員側に党本部から資金提供された1億5000万円は使い切っていたとみられている。地元議員らに現金提供されたのは主に4~6月とされており、東京地検特捜部は党本部からの資金が買収に使われた疑いもあるとみて裏付けを進めている。
特捜部は18日、票の取りまとめの趣旨で現金計約2570万円を後援会関係者や地元議員らに配ったとして、案里議員と夫で前法相の衆院議員、克行容疑者(57)=広島3区、同=を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。
案里議員が党の公認を得た後の19年4~6月、夫妻が支部長を務める政党支部に党本部から計1億5000万円が振り込まれたという。
使途は、政党支部の政治資金収支報告書が公開されていないため詳細は分からない。ただ陣営関係者によると、広島県内の約120万世帯に複数回チラシを配った費用として1億円近くを支出したとみられるほか、党幹部の来県に備えて大量の看板やのぼりを設置するなどし、公示前に多額の資金を使った。
案里議員の選挙運動費用収支報告書によると、公示以降は自動でつながった電話の相手に案里議員の音声を流すオートコールと呼ばれるシステムや事務所費用などとして計約2700万円を支出。陣営の預金は投開票日の10日後の7月31日になくなった。
この日以降、印刷業者などへの支払いができなくなり、未払い金の総額は約3500万円に達したという。このため、案里議員は地元の金融機関に3000万円の融資を依頼。8月上旬、新設した案里議員名義の口座に入金され、そこから印刷業者2社に計約2700万円を支払うなどして未払い金を清算したという。
事件では、克行議員が後援会関係者や地元議員らに対し、逮捕容疑で買収資金とされた約2570万円のほぼ全てを配ったとされる。提供時期は主に4~6月に集中しているとみられ、党が1億5000万円を拠出した時期と重なる。
捜査当局によると、夫妻は党公認時、資金繰りに窮していた。こうした事情から、党資金が買収に使われた疑いもあるとみて特捜部が実態解明を進めている。
一方、党本部は取材に対し、1億5000万円の使途について「支部の責任と判断で支出されたと認識している」とのコメントを出した。【山本康介、賀有勇】
震撼・河井夫妻逮捕 /下 パワハラでスタッフ離反
毎日新聞 2020年6月21日
「このサンドイッチにミルクティーの量が多すぎるだろ」「歯を見せて笑うな」。2019年9月、法相に就任したばかりの河井克行容疑者(57)が広島空港のラウンジで事務所のスタッフを叱責した。大臣警護の警察官の前では静かだが、警護が離れた途端に態度が変わるという。このスタッフには約束された給料が支払われず、1カ月後に事務所を去った。
参院選が迫った19年6月には、気が高ぶっていたせいか事務所で「土下座しろ」と運転手を怒鳴ったことも。「皆があなたのために頑張ろうとしている」と、別のベテランスタッフがたしなめたが、克行議員は気にも留めない様子だった。
「返事がない」「報告をするべきだろう」。妻の案里容疑者(46)の陣営で共有していた無料通信アプリ「LINE(ライン)」でも、こうした厳しい言葉を繰り返した。克行議員は細かいことが気になる性格で、ある陣営関係者は「いつ怒り出すか分からず、皆がビクビクしていた」と打ち明ける。その言動が嫌になり、これまでに数十人のスタッフが陣営を離れたといい、経験豊富な支援者は少なかった。
「事務員募集。月給40万円、ボーナス2カ月」。参院選の4カ月前、インターネットの求人サイトに克行議員が支部長を務める政党支部の求人情報が載った。人材不足だった。車上運動員の確保も難航し、夫妻は知人を通じて協力を依頼。法定上限額の倍に当たる日当3万円の違法な報酬を約束して何とか集めた。車上運動員のグループでは克行議員のパワハラや高圧的な言動が知られており、運動員の女性は「河井さんの所に行きたいという人はいない」と言い切るほどだ。
克行議員は松下政経塾を経て28歳で広島県議に初当選。当時は短パンにランニング姿で選挙活動し、若さを前面に押し出して支持を集めた。33歳で衆院議員に転身したが、この時期から秘書をどう喝するなどと悪評が広まり始めた。
当時秘書を務めた男性は、高速道路を運転中に「150キロで飛ばせ」と迫られたことがある。道を間違えると「この野郎」と言われ、後部座席から何度も左肘を蹴られた。克行議員に運転手を派遣していた地元のタクシー会社の幹部は「どんな乗務員でも3日持たない。最後は派遣する人がいなくなった」と明かす。克行議員の振る舞いに業を煮やした元スタッフが、議員のポスターを破って現行犯逮捕される事件も起きた。
逮捕前日となった通常国会閉会日の17日、多くの報道陣に囲まれた夫妻は詳細を語らないまま姿を消した。車上運動員への違法な報酬を巡る疑惑が発覚してから8カ月。身内からの「告発」が相次いだ夫妻は、自ら孤立を招いた末に逮捕された。「結局は自分を守りたいだけだったのか」「これまでの支援は一体何?」。元秘書の女性は天を仰いだ。
(この連載は賀有勇、中島昭浩、手呂内朱梨、山本康介、森口沙織、沼田亮が担当しました)