2020年6月7日日曜日

“Go Toキャンペーン”はいったん公募中止

 そもそも「Go Toキャンペーン事業」(など)は緊急性に乏しいというよりも、全く関係のない予算をコロナ対策費として計上したものでした。
 政府は5日、「Go Toキャンペーン事業」の事務委託業者の公募(今月8日が期限)をいったん中止すると発表しました。
 これは「Go Toキャンペーン」総事業費約17兆円のうち、総額の約20%に当たる3095億円を事務事業に充てるとした委託費が余りにも過大だとする野党の批判を受けたことと、応募の説明会が6月1日なのに締め切りが6月8日と、たった1週間で1兆5000億円規模の事業計画を作成しなくてはならないという「非常識」なスケジュールになっていること等を見直すためです。

 もしも期限に間に合わせられる業者がいるとすれば、それは予め説明を受けていたとしか考えられないし、逆に全ての業者が期限までに計画書・見積書の提出が出来なければ、「入札不調」ということで、経産省は堂々と意中の業者との随意契約に移行できるわけで、いずれにしても公共事業の入札が持つべき透明性とは全く無縁のものです。
 また「Go Toキャンペーン事業」経産省だけでなく、農水省や国交省も関与するので3省がそれぞれ運営事務局(業者)を公募するのが当然です。

 野党(国民)の目が及ばなければ、如何に好き勝手に莫大な「Go Toキャンペーン事業費を扱おうとしてきたのかがよく分かります。ここで暴露された不明朗さ(官製談合)は当然「氷山の一角」に過ぎません。

 毎日新聞の記事を紹介します。

 日刊ゲンダイの記事「3000億円『Go To 利権』にちらつくパソナと竹中平蔵氏の影」を併せて紹介します。
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経産省、“GoToキャンペーン”はいったん公募中止 委託費圧縮の方向で検討
毎日新聞 2020年6月5日
 政府は5日、新型コロナウイルスで影響を受けて需要が落ち込んだ観光や飲食産業を支援する「Go Toキャンペーン事業」について、「いったん公募を中止する」と発表した。今月8日が公募の期限だったが、上限を3095億円とした委託費が過大だとする野党の批判などに配慮し、公募方法などを根本から見直すことにした。キャンペーンの開始時期は当初予定していた7月から大幅に遅れることになりそうだ。

 同キャンペーンは経済産業省、農林水産省、国土交通省の3省が共同で手掛ける事業で、4月末に成立した第1次補正予算に約1・7兆円を計上。旅行、飲食、イベント、商店街への支援策が柱となる。国内旅行の代金を半額補助するほか、飲食店や土産物屋などで使えるクーポン券などを発行する。しかし、事務委託費の上限が予算の約2割にあたる3095億円と巨額だったことから大きな批判を浴びた。
 一連の批判を踏まえ、政府は委託費を圧縮する方向で検討する。これまで事業のとりまとめ役は経産省だったが、今後は経産、農水、国交の3省がそれぞれ運営事務局を公募する形に見直す。菅義偉官房長官は5日の記者会見で、再公募の時期について「可能な限り早いタイミングで」と明言を避けた。

 一方、中小企業などに現金を支給する経産省の「持続化給付金」事業を巡り、受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が広告大手の電通に再委託した約749億円の内訳について、同省が同日の野党ヒアリングで明らかにした。
 同省の説明によると、電通は「電通ライブ」などグループ5社に給付金支給や申請サポートなどの業務を合計約645億円で外注している。また、電通ライブはさらにパソナなどに業務の一部を外注しているが、その詳細は明らかにしなかった。経産省幹部は「経費は業務完了後にしっかり検査した上で支払うので、無駄な費用が発生しないようにチェックする」としている。
 持続化給付金業務は、電通などが関わって設立したサービスデザイン推進協議会が約769億円で受託し、電通に業務の大部分を約749億円で再委託している。2016年の協議会設立以来、受注した経産省の他の事業でも、電通に再委託するケースが多いことを野党は問題視。立憲民主党の川内博史氏は同日のヒアリングで「協議会は電通に巨額のカネを丸投げして、『後はお願いね』というトンネル団体だ」と追及した。【工藤昭久、高橋祐貴、藤渕志保】


3000億円「Go To 利権」にちらつくパソナと竹中平蔵氏の影
日刊ゲンダイ 2020/06/05 
 とにかく腐臭の漂う「空前絶後」のコロナ対策。中でもキナ臭いのは、収束後の消費喚起策としてブチ上げた「Go Toキャンペーン」だ。事業費1.7兆円の約2割、破格の事務委託費3095億円を上限に充てられた事業者の公募期間は、先月26日から今月8日までという短さ。委託先がすでに決まっているような怪しい背景には、またしてもアノ人のアノ企業の影がちらつく。

 まず問題は、3095億円もの血税はどこに流れていくのかだ。
 持続化給付金事業を巡り、広告大手「電通」と人材派遣「パソナ」など3社が設立した「サービスデザイン推進協議会」が、国からの委託費769億円のうち20億円を事実上、中抜き。残りの749億円で電通に再委託したことも国会で大問題となったばかり。公募締め切り間近の「Go Toキャンペーン」にも疑惑の目が向けられている。

 なぜなら、国交省(観光庁)、経産省、農水省にまたがる「Go Toキャンペーン」のスキームは持続化給付金事業とソックリ。国がまず民間事業者などに業務を委託、契約した事業者が別の事業者に再委託するという流れだ。しかも、持続化給付金事業を転がしている間に肝心の給付対応が遅れ、大炎上中の電通・パソナ両社の関わる法人が「Go Toキャンペーン」関係でも受託する可能性は捨てきれない。類似する国の地方創生事業で実績を上げているからだ。
「Go Toキャンペーン」の目玉は、1泊1人当たり最大2万円分を補助する「Go To TRAVEL」。新型コロナウイルスの影響で低迷した観光需要や旅先での消費を促す狙いだが、観光庁が呼び掛けている「観光地域づくり法人」(DMO)への登録事業とウリ二つ。
 観光庁によると、DMOとは〈地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役〉だ。パソナは各市町村のDMO設立や観光プロモーションなどを手掛け、その一例として、2017年から一般社団法人「宮城インバウンドDMO」とパートナーシップを提携している。

野党議員は「出来レース」を指摘
 電通も同じく、DMOの推進派だ。一般社団法人「DMO日光」の連携企業に名を連ねている上、関連会社の「電通国際情報サービス」が提供しているサービスのひとつはズバリ、「DMO立ち上げ支援」である。ちなみに、「Go Toキャンペーン」は、各自治体のDMOでも「要件を満たしていれば、応募はあり得る」(観光庁観光地域振興課)という。つまり、両社のイキがかかった法人が委託先となる可能性もあるのだ。
 関連企業が応募しているか電通とパソナ両社に問い合わせると、電通は「個別案件につきましては、回答は控えさせていただきたく存じます」と回答。パソナからは、担当者不在のため回答を得られなかった。
 決定的に怪しいのは、「Go Toキャンペーン」の公募期間の短さだ。立憲民主党の矢上雅義衆院議員は3日の衆院国交委員会で、こう追及した。
「(応募の)説明会が6月1日、締め切りが6月8日。たった1週間で1兆5000億円規模の事業計画を作成できるのか
仕様書を事前に知り得る立場にある事業者でなければ対応不可能
 事業者を公募する経産省は「法令上求められた十分な期間を確保した」とお茶を濁すのみだった。改めて矢上雅義議員が指摘する。
「巨大で複雑な企画書を1週間で作るのは無理です。競争性を排除した“出来レース”の公募だと疑われても仕方ありません。もし今後、公募が不調に終わり、政府が特定の事業者にお願いする『不落随契』ということになれば、ますます競争性を排除する結果になります」

 パソナの会長と言えば、政府の未来投資会議メンバーでもある竹中平蔵東洋大教授。自ら政府の政策決定に関わりながら、パソナは国から多くの事業を受注。税金を原資とする巨額の委託費を手にしてきた。
 今回も濡れ手でアワなのか。竹中氏の“Go To利権”には要注意だ。