2020年6月19日金曜日

河井夫妻逮捕 検察当局の“本当の狙い”は(日刊ゲンダイ)

 河井克行・案里夫妻18日に逮捕されました。
 河井夫妻は逮捕が必至となった段階で自民党を離党しましたが、それについて記者に問われた首相は、「国会議員はかけられた疑惑についてしっかり説明を果たしていく責任を負っている」と述べました。一体どの口が言うのかです。

 河井夫妻の事案は、すべて安倍首相が画策したものでした。
 安倍氏は恨みを持つ溝手顕正前参院議員(自民)を蹴落とすために、当時県議であった案里氏を急遽擁立し、選挙費用として極めて異例の1億5千万円を夫妻に送金し、彼らが買収行為をせざるを得ない立場に追い込みました。克行氏が買収相手と金額をパソコンに克明に記録していたのも、1億5千万円の使途を明らかにする必要があったためと思われます。

 2人による買収額は分かっているだけで2600万円弱に達しています。その他の費用を見積もっても1億円以上が余った筈なので、その金は政治家に還流したのではないかと言われています。
 この事案では、安倍首相以外の政治家が関与できることはあり得ません。事実、あるメディアは、選挙時に応援に来た山口県の安倍事務所の人たちが回収していったと伝えています。その辺は取り調べの中で明らかにされる筈ですが、安倍氏に忠義立てして明らかにしない可能性も勿論あります。
 しかし河井夫妻は離党したのですから、その金銭問題は「自民党対河井夫妻」の関係になるので有耶無耶には出来ない筈です。
 もしも捜査が安倍首相・安倍官邸乃至安倍秘書団との関係に波及しないのであれば、「大山鳴動してネズミ一匹」ということになります。

 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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河井夫妻逮捕のその先 検察当局“本当の狙い”は安倍官邸か
 日刊ゲンダイ 2020/06/18
 いよいよ安倍政権の終わりの始まりになるかもしれない。自民党を離党した河井案里参院議員(46)=広島選挙区=をめぐる公選法違反事件(買収)のことだ。
 検察当局は18日、同法違反の容疑で案里議員と夫の衆院議員河井克行前法相(57)=広島3区、自民離党=を逮捕した。ウグイス嬢と呼ばれる車上運動員に対する違法報酬に端を発した一連の疑惑の捜査は、新たな局面に入った。
 報道によると、配られた現金は2000万円を超え、多くは前法相が配布。一部は案里議員自身が配っていたといい、検察当局はすでに配布先をまとめた「買収リスト」を押収。リストの記載内容や、事情聴取に現金受領を認めた地元議員側の供述を精査した結果、2019年7月投開票の参院選で案里議員への票の取りまとめを依頼した買収での立件が可能と判断したもようだ。

 衆参両院の現職国会議員夫妻が公選法違反で逮捕されるという憲政史上、初となる汚職事件だが、検察当局の狙いは河井夫妻だけではないという。地元記者がこう明かす。
「公選法違反事件はふつう、地元警察が動くもので、地検特捜部がわざわざ捜査に乗り出すのは極めて異例。つまり、この事件に対する検察当局の並々ならぬ意欲を感じます。検察はすでに前法相のスマートフォンの全地球測位システム(GPS)情報を利用し、前法相と県議らが面会した場所や日時を特定。県議らの供述も得ている。公選法違反事件の証拠は十分そろっており、本来であれば在宅起訴でお茶を濁してオシマイでしょう。それなのに2人を逮捕して身柄を抑えるというのは、“その先”があるということ。ささやかれているのは、ズバリ、『本丸は安倍官邸ではないか』というのです」

 地元記者が続ける。
「というのも、事件の舞台となった昨夏の参院選では、首相官邸から案里議員の応援に駆け付けた『官砲射撃』と評された部隊のほか、安倍首相の地元・山口県の事務所からも秘書数人が広島入りし、首相の名刺を配っていました。さらに党本部からは破格の15億円もの選挙資金です。検察当局は、このカネを秘書らがどう使ったのかに最大の関心を寄せています。首相秘書がカネの使途を全く知らない、関与していない、ことはあり得ませんからね。
 そもそも、半年も1年も前から選挙準備している候補者であればともかく、案里議員のように間際に出馬を決意した候補者が1億円を超えるカネを使い切るのは難しい。いくら、裏でコッソリと思っても、公選法で定められた法定費用があるわけですから。そのため、15億円のうち、使い切れなかった残りのカネがどこに流れたのか。一部が政治家に還流したのではないか。これが今回の事件の核心です。おそらく、カネの流れについて河井夫妻も知っているでしょう。だから、『私たちが話したら政権終わるよ』と妙に強気なのではないか。

 検察は今後、司法取引をちらつかせ、河井夫妻や安倍首相の秘書を揺さぶり、全容解明に全力を挙げる。安倍首相の地元秘書であれば、桜疑惑についても把握しているとみられるため、検察は桜疑惑についても聴取する可能性が高いと言われているのです」
「国会議員は与党であろうと野党であろうと、かけられた疑惑についてしっかり説明を果たしていく責任を負っている」
 河井夫妻が離党の意向を固めたことを問われた安倍首相はこう言っていた。首相が「説明責任を果たせ」と言ってるのだから、河井夫妻は、自身の疑惑はもちろん、あらゆる疑惑について洗いざらい説明するべきだろう。