安倍首相は、前法相の河井克行氏と19年1月以降、法相を辞任する10月までに官邸で12回も面会をしていたことがわかりました。そのうち9回は単独の面会です。首相補佐官は他の要人との面会に同席する場合が多く、単独の面会はあまりないということです。
中國新聞21日付の報道によると、自民党本部が、河井夫妻が代表を務める政党支部に資金提供を行ったのは、19年4月15日、5月20日、6月10日、同27日で、首相との面会はこれらの前後に行われており、資金提供との関連をうかがわせます。
LITERAは、安倍首相自身が票集めの動向を克行氏に逐一報告させ、それに合わせて合計1億5000万円もの選挙資金を党本部に投じさせたのではないかと疑われるとして、これだけ頻繁に2人きりで面談して、そのたびに選挙資金が投じられていた事実からは、首相自身が金で票をかき集める行為に発破をかけていた構図すら浮かび上がってくるとしています。
いずれにしても、河井夫妻に自民党の資金1億5000万円を投じたのは、「幹事長マターであり、使途はちゃんと党がチェックしている筈」などとしらばくれて済まされる問題ではありません。
関連して、広島県三原市の天満祥典市長(73)は25日、河井克行氏から現金計150万円を受け取ったとして辞意を表明しました。安芸高田市の児玉浩市長も26日に進退について表明する予定ということです(毎日新聞)。
また広島県安芸太田町の小坂真治町長は、克行氏から現金20万円が入った封筒を受け取ったことで、4月9日に辞職しています(時事通信)。
いずれも克行氏から強引に手渡された責任を取ったもので、そうした潔さが首相に全く見られないのはいつもながらのことです。
LITERA、しんぶん赤旗の「河井前法相と官邸面会及び自民党資金提供日一覧表」(24日)、毎日新聞、時事通信の記事を紹介します。
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「安倍さんからと言われた」河井前法相から現金を受け取った町議が証言!
安倍首相と河井克行は9回も単独面談、その度に金が…
LITERA 2020.06.25
河井克行・前法相と河井案里参院議員の買収事件をめぐり、とんでもない証言が飛び出した。案里容疑者の後援会長を務めた繁政秀子・広島県府中町議が、昨年5月に克行容疑者に白封筒に入った現金30万円を渡された際、克行容疑者から「安倍さんから」と言われた、と証言していることを中国新聞デジタルが報じたのだ。
繁政町議によると、参院選公示前の昨年5月、克行容疑者から案里容疑者が広島市中区に設けた事務所に呼ばれ、ふたりきりになった際に白封筒を渡された。繁政町議は〈気持ちの悪さを感じてすぐに「いただかれません。選挙できんくなる」〉と断ったが、そのとき、克行容疑者は「安倍さんから」と口にしたのだという。結局、繁政町議は封筒を受け取ったが、その理由について、〈自民党支部の女性部長に就いており「安倍さんの名前を聞き、断れなかった。すごく嫌だったが、聞いたから受けた」〉と述べているという。
河井夫妻の買収事件は、自民党本部から得ていた1億5000万円もの巨額の選挙資金が買収の原資として使われたのかどうかが焦点となっているが、克行容疑者が「安倍さんから」と言って金を握らせていたというこの証言からは、安倍首相が買収を容認していた可能性も高まったといえるだろう。
実際、この新たな証言にくわえ、安倍首相の関与を裏付けるような証拠も出てきた。というのも、自民党本部が河井夫妻それぞれが代表を務める政党支部に選挙資金を振り込む前後に、安倍首相と河井克行容疑者が繰り返し官邸でふたりきりで面談していた事実を、昨日24日付のしんぶん赤旗が報じたからだ。
首相動静によると、昨年、安倍首相と克行容疑者が面会をおこなった回数は計12回。そのうち9回は克行容疑者が自民党総裁補佐として単独で面会をおこなっている。そもそも首相補佐官の場合、首相と要人の面会に同席して立ち会うケースがほとんどで、単独で首相と面会するというのはあまりない。この点もあまりに不自然なのだが、さらに問題なのは、面会がおこなわれたそのタイミングだ。
たとえば、自民党が案里容疑者を公認したのは3月13日のことだが、その前後の2月28日と3月20日に安倍首相は克行容疑者と単独で面会。選挙をめぐって話し合いがおこなわれたことが推測されるだろう。
そして、このあと4月15日に自民党本部は案里容疑者が代表を務める政党支部に1500万円を振り込んでいるのだが、その2日後である4月17日にも、安倍首相は克行容疑者と単独で面会をおこなっているのだ。
しかも、その後5月20日に自民党本部は案里容疑者の政党支部に3000万円を投じているが、その3日後の23日にもまた安倍首相は克行容疑者と単独で面会。6月10日には案里容疑者の政党支部に3000万円、克行容疑者の政党支部にも4500万円が、さらに同月27日には克行容疑者の政党支部に3000万円が振り込まれているのだが、ちょうどその巨額の振り込みがなされた前後にあたる同月20日にも安倍首相は克行容疑者と単独で面会をおこなっていたのである。
首相が補佐官とふたりきりで面会すること自体がめずらしいというのに、安倍首相と克行容疑者が面談をおこなった直後や前後に、自民党本部は相場からかけ離れた巨額の選挙資金を投じていた──。しかも、安倍首相と克行容疑者が面談を重ねていたこの時期、まさに広島では河井夫妻による買収がおこなわれていたのである。
これはようするに、安倍首相自身が票集めの動向を克行容疑者に逐一報告させ、それに合わせて合計1億5000万円もの選挙資金を党本部に投じさせたのではないか。いや、これだけ頻繁にふたりきりで面談して、そのたびに選挙資金が投じられていた事実からは、安倍首相自身が金で票をかき集める行為に発破をかけていた構図すら浮かび上がってくるだろう。
1億5000万円の使途をめぐる安倍首相の説明は大嘘だった!
実際、本サイトでも繰り返し言及してきたように、安倍首相の地元事務所の筆頭秘書をはじめとする少なくとも4人の秘書が、案里容疑者の選対に投入されていたことがわかっている。そして、安倍事務所の秘書たちが「安倍晋三事務所」の名刺を持って広島県内の企業や創価学会の施設、公明党市議の自宅などを訪問し、現職の溝手顕正候補の支持票を切り崩しにかかっていたこともさまざまな証言から判明している。安倍首相自身が「私の指示により秘書が広島に入ったことは事実だ」と述べているとおり、こうした秘書の動きも安倍首相の指示によるものだったのである。
となれば、当然、選挙区を舞台に河井夫妻が繰り広げた露骨な買収も、指南役として入った安倍事務所の秘書たちが黙認、いや、積極的に関与していた可能性すら十分ある。
どんどんと濃厚になってゆく、安倍首相が買収に関与した疑い──。しかもここにきて、1億5000万円の使途をめぐって、安倍首相と自民党が嘘をついていたこともわかった。
1億5000万円問題について、18日におこなわれた総理会見で安倍首相はこう述べていた。
「自民党の政治資金につきましては、昨日、二階(俊博)幹事長より、党本部では公認会計士が厳格な基準に照らして、事後的に各支部の支出をチェックしているところであり、巷間言われているような使途に使うことができないことは当然でありますという説明をおこなわれたというふうに承知をしております」
また、20日に生出演した『NewsBAR橋下』(AbemaTV)でも、安倍首相は「政党助成金の使い道は自民党は相当厳しくやっている」「事後的にもちゃんとチェックしている」と胸を張っていた。
「政党助成金の使い道においては自民党は相当厳しくやっています。公認会計士を入れて、きっちりと使い道を限定して、出口のほうにおいてもですね、基本的には党本部から、たとえば広島の支部に(お金が)行ったら使い道をこちら(支部)で決めるんですが、どういうことに使ったかということを事後的にもちゃんとチェックをします。政党助成金の場合はですね。ですからこれについても、すでに党から説明があったと思いますが、党の機関紙を相当多くの方々に複数回配布したということが明らかになっているというお話をされておられたと」
だが、この二階幹事長による「合計1億5000万円は支部の立ち上げに伴う党勢拡大のための広報誌を配布した費用に充てられたと報告を受けている」という説明に対しては、自民党内からも「そんなもので1億5000万円もかからない」というツッコミが出る始末で、当初から疑問が呈されていた。
河井夫妻は1億5000万円の使途を報告書に記載していなかった!
さらに、1億5000万円の使途について、河井夫妻が代表の政党支部が今年5月までに広島県選挙管理委員会に提出した政党交付金使途等報告書と政治資金収支報告書に記載していなかったことも判明。報道によると、河井夫妻側は「家宅捜索で領収書を押収されたことが理由」で使途を記載しなかったと説明しているという(東京新聞20日付)。
当の河井夫妻が捜査で領収書を押収されたことを理由に使途を報告できなかったと主張しているというのに、自民党はどうやって「事後的にちゃんとチェック」したのか。こうした説明の食い違い、矛盾が露呈すると、23日になって、なんと二階幹事長はこれまでの説明を平然と覆したのだ。
〈二階氏は、夫妻の関係先が家宅捜索され、関係書類が検察当局に押収される中でどうやって党支部の支出を確認したのかを問われると、「党として支出した先がどうなったか細かく追及しておらず、承知していない」と話した。〉(中国新聞デジタル23日付)
二階幹事長はもちろん、安倍首相も前述したように「公認会計士を入れて、きっちりと使い道を限定して、どういうことに使ったかということを事後的にちゃんとチェックしている」と述べていたというのに、矛盾が露呈すると、「細かく追及していない」と言い出したのだ。
これは自民党自身が安倍首相の説明が嘘だったと認めたようなものだが、またも安倍首相は嘘を国民についていたのである。そして、こんなすぐにバレるような嘘をついたのは、この事件と自分の接点をなんとしても覆い隠そうとした結果だろう。
本サイトでは既報でお伝えしたように、検察はこの安倍首相の関与についても捜査で踏み込もうとしている。18日発売の「週刊文春」(文藝春秋)も〈司直のメスは安倍首相周辺にまで向かおうとしている〉とし、捜査関係者がこう述べている。
「河井夫妻の捜査で、いま検察が重大関心を寄せているのが、安倍秘書軍団の動き。彼らがどこをどのように回ったのか、入念に調べているのです。安倍秘書軍団に関する調書も作っています」
果たして、捜査は安倍首相の足元まで及ぶことになるのか。ともかく、平気で国民に嘘をついて追及から逃れようとする安倍首相の姑息な態度に対して、もっと批判・検証が必要であることは言うまでもない。(編集部)
しんぶん赤旗記事「首相 河井前法相と官邸面会12回 肩入れ際立つ 資金提供前後も 昨年 単独9回」(2020年6月24日)より
広島・三原市長が辞任 河井克行容疑者からの現金150万円受領、一転認め
毎日新聞 2020年6月25日
参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区、自民党を離党=が初当選した2019年7月の参院選を巡る選挙違反事件で、広島県三原市の天満祥典市長(73)は25日、案里議員と共に逮捕された夫で前法相の衆院議員、克行容疑者(57)=広島3区、同=から現金計150万円を受け取ったとして辞意を表明した。県内の首長の辞意表明は安芸太田町の小坂真治前町長(辞職)に続き2人目。安芸高田市の児玉浩市長も26日に進退について表明する予定で、「ドミノ辞職」を懸念する声も出始めている。
天満市長は25日に記者会見を開き、克行議員から19年3月に三原市内の会議室で50万円、同6月に広島市内で100万円を受け取ったと明らかにした。いずれも克行議員と2人になった際に「取っておけ」などと言われ、現金入りの封筒を渡された。「(克行議員は)大ベテランの国会議員で、受け取らないのは失礼だと思ったが、脇が甘かった」と釈明した。
天満市長はこれまで現金授受を認めておらず、23日の市議会本会議でも「現金の授受はない」と明言していた。一転して認めた理由について「(克行議員との)約束で2人の秘密を守ろうとした。虚偽だと思われても仕方ない」と述べた。 (後 略)
広島・安芸太田町長が辞職 河井前法相から現金受領
時事通信 2020年04月09日
自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=陣営の選挙違反事件をめぐり、夫の河井克行前法相(57)から広島県安芸太田町の小坂真治町長が現金を受け取っていた問題で、同町議会は9日、臨時会を開き、小坂町長の辞職に同意した。辞職は同日付。
【点描・永田町】河井夫妻「進退」が政局の火種に
小坂町長は議会で、「いわれのないお金を安易に受け取ったことをじくじたる思いで悔やんでいる。信頼を損ねた責任を果たさなくてはならないと判断した」と述べ、今後も検察の事情聴取に全面的に協力していく考えを示した。
小坂町長によると、前法相は昨年4月下旬に町長宅を訪れ、現金20万円が入った封筒を手渡した。町長は押し問答の末に受け取ったが、中身を確認せず保管。先月末に確認し、自身の政治団体への寄付として処理する手続きを取ったという。