日本の官僚が目指すものは「国益ではなく省益である」とは久しく言われてきました。省益の最大の主眼は天下り先の設置で、自分たちの老後を含めた安泰な仕組みの構築と言えます。
新型コロナ対策費の一環として、持続化給付金の給付事務事業や「Go Toキャンペーン」事業では、後者は社会問題化したために当初の構想は変更になったものの、それこそ省益・系列企業益(それに個人益?)を狙った企みであることが明らかになりました。
それらはたまたま見つかった氷山の一角に過ぎません。
安倍政権のデタラメさはいやというほど見てきましたが、そのもとでここまで不正が広がっているとは ・・・ です。
官僚経験があり経済にも官界にも精通している植草一秀氏が、「委託事業費と予備費が示す安倍内閣利権体質」とする記事を出しました。
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委託事業費と予備費が示す安倍内閣利権体質
植草一秀の「知られざる真実」 2020年6月 9日
安倍内閣は4月7日にコロナ経済対策を決定した。
16・7兆円の一般会計補正予算編成の方針を事業規模108兆円の経済対策だとして誇大宣伝したものだ。
「コロナ経済対策の基本を 迅速・簡素・直接 にするべきだ。
給付金の一律給付、消費税率ゼロ、生活保護給付基準の緩和 を軸に対応すべきだ。
しかし、自分たちの利益を優先する官僚機構と利権政治屋の塊である安倍内閣は、このような透明な財政支出を嫌う。
政治屋が介在して給付が行われる財政支出、官庁の天下り団体が介在する財政支出だけを選好する。」
「五つの区分のなかの
3.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
4.強靱な経済構造の構築
が利権の巣窟だ。
3.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 のメニューは以下のもの。
1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメン ト事業等に対する支援
2.地域経済の活性化
の見出しが掲げられるが、1には、「Go Toキャンペーン(仮称)として、官民一体型の消費喚起キャンペーンを実施する」が含まれる。
具体的には、
「キャンペーン期間中の旅行商品を購入した消費者や飲食店を予約・来店した消費者、飲食店で使える食事券を購入した消費者、イベント・エンターテインメントのチケットを購入した消費者に対し、割引・ポイント・クーポ ン券等を付与する。
その際、キャンペーン全体で統一的な事務局を設置の上、全国津々浦々から本事業に参加する事業者を募集する。
また、全国の商店街等において賑わいを回復するためのイベント開催等のキャンペーン実施を支援する。
この際、民間企業や自治体、商店街等と連携し、官民一体でわかりやすく周知するための広報を実施する。」
となっている。こんな施策を必要とする国民はほとんどいない。
政治と癒着する観光業界、全体で統一的な事務局(=天下り機関)を設置する官僚機構、自公とつながる企業団体、キャンペーンを実施するイベント実施企業、収入源に直面する広告代理店にだけ、利益を供与する仕組みなのだ。
政治屋への献金というキックバック、選挙の際の票の取りまとめ、政治を支援させるメディア関連事業、芸能興業社への利権支出を確保することが狙いなのだ。」
5月27日付メルマガ記事第2641号「選挙買収資金と化す第2次補正予備費10兆円」に次のように記述した。
「5月27日に閣議決定された第2次補正予算案の規模は31・9兆円。第1次補正予算の規模25・7兆円を上回る。
この規模の対策を打ち出すなら、消費税率ゼロを示すべきだ。
予備費が10兆円も計上されるとのことだが、憲法が規定する財政の原則を逸脱するものだ。
日本国憲法は財政について次のように定めている。
〔国費支出及び債務負担の要件〕
第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
予備費については次のように定める。
〔予備費〕
第八十七条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
予見し難い予算の不足に充てるために予備費を設けることが許されているが、10兆円は規模が大きすぎる。国費の支出は本来、国会の議決に基くことを必要とする。
10兆円もの金額が内閣の独断で支出されることを国会は容認するべきでない。」
持続化給付金の極めて不透明な委託事業。補正予算の10兆円もの予備費計上。
安倍内閣は国民の血税の結晶である予算を食いものにしている。
このような内閣の存続を許すわけにはいかない。
(以下は有料ブログのため非公開)