新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」の給付事務を請け負った(社)サービスデザイン推進協議会(サ推協)は、発足以後一度も決算報告を公示していないと指摘されたことを受けて5日、過去3期分の決算を公告しました。
ところがその中身は全くスカスカのデタラメなもので、「貸借対照表の要旨」は下記の通り、僅かに4項目を表示するという異例なものでした。
かつてこんな内容の決算公告があったでしょうか。
日刊ゲンダイはこれこそ実態のない「トンネル法人」の証明だとしています。
そういえば先に行われたサ推協幹部の弁明の記者会見も、木で鼻を括ったような全く無内容なものでした。
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持続化給付金「サ推協」決算公告は中身スカスカのデタラメ
日刊ゲンダイ 2020/06/08
貸借対照表の要旨
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(平成31年3月31日現在)
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(単位:円)
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資産の部
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負債及び正味財産の部
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科目
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金額
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科目
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金額
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流動資産
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3,801,645,176
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流動資産
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3,788,951,462
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固定資産
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8,697,439
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固定資産
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ー0
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負債合計
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3,788,951,462
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基金
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―0
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一般正味財産
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21,391,153
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正味財産合計
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21,391,153
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資産合計
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3,810,342,615
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負債・正味財産合計
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3,810,342,615
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「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」が慌てて出した第3期の決算公告
これぞ実態のない「トンネル法人」の証明だ――。新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」事業をめぐり疑惑続出の委託先、一般社団法人「サービスデザイン推進協議会(サ推協)」。先週5日、過去3期分の決算を公告したが、これが中身スカスカのデタラメ。違法と指摘され、慌てて取り繕ったのが明らかだ。こんなフザけた法人が1次補正の769億円だけでなく、8日から審議入りした2次補正でも850億円の追加委託費を受け取るとされているのだから許されない。
サ推協は、法律で義務付けられている決算公告を過去に一度もしていないことが、3日の衆院経済産業委員会で発覚。すると5日、これまで存在しなかったホームページを公開し、決算公告をアップした。
上記が第3期(2018年度)の決算公告なのだが、資産の部には約38億円の流動資産と約869万円の固定資産のみ。明らかに科目が少なく、通常の「貸借対照表」とは違う。
税理士で立正大客員教授(税法)の浦野広明氏がこう言う。
「貸借対照表は全ての資産、負債及び正味財産を明瞭に表示するものでなければなりません。それが会計の原則です。資産の部なら、流動資産の中身として、普通預金なり、未収入金などの科目がなければおかしい。サ推協の決算公告は単なるメモみたいなもので、貸借対照表とは言えません。だから『要旨』と表記して逃げ道をつくっているのでしょう。しかし『決算公告』とうたっているからには要旨では許されません。これでは本当に貸借対照表を作っているのかも怪しい。到底納得できるものではありません」
決算公告は形だけのアリバイ作り。「世間がうるさいから出してやった。これでいいだろう」というナメくさった態度なのである。
疑惑払拭へ説明する気などまったくなし
サ推協は、1日に出した報道機関向けの文書でもフザけた対応だった。
<リモートワークを行っていること、一日も早く一件でも多く給付を行うために人員総出で給付作業に専念していることにより、十分な情報提供ができておらず、深くお詫び申し上げます>
<本事業は中小企業庁の委託事業であり、中小企業庁までお問い合わせいただきますよう>。そして、問い合わせ先の記載はメールのみで、電話番号は一切、明かさない。要は、疑惑を払拭すべく説明する気など、まったくないのだ。
「委託費を右から左に流すためにつくったいい加減な法人だということが、決算公告を見ても分かる。十分な公告をしていない法人に、政府の事業を発注するのはおかしい」(浦野広明氏)
安倍首相の盟友の自民党・甘利明税調会長は、7日出演したフジテレビ系の報道番組でサ推協から電通への再委託について「結論から言うとですね、今、迅速に行うシステムとしては最善だったと思います」と擁護していた。だったら直接、電通が請け負えばいいものを、違法トンネル法人を是とするのは、政府・自民党もこの件にズブズブだということだ。