安倍政権になってからNHKが官邸の意向を忖度する姿勢を強めていることについては、LITERAや日刊ゲンダイをはじめ識者たちが度々指摘してきたところです。
しかし一向に改まらないどころか、ここにきて「持続化給付金」の給付作業(事務作業)受注者のサービスデザイン推進協議会問題(電通・パソナ問題)や黒川氏問題について、NHKはニュースをスルーするだけでなく、それがクローズアップされる可能性のある「野党を含めた日曜討論会」をずっと行わないでいるなど、目に余る状況になっています。
民放には最大広告代理店の「電通」タブーがあるので、なかなかトンネル会社の「サービスデザイン推進協議会」(背後に電通など)の問題に踏み込むことが出来ません。それに対してNHKにはそうした弱さはないので自由に取り上げられる筈なのですが、安倍官邸に忖度してか一向に取り上げようとしません。
また黒川氏問題(検察庁法改正案問題)についても、1000万件近くのSNS投稿があって一大政治的・社会的問題になったのにもかかわらずスルーして来ました。実に異常なことです。
仮にNHKが聞く耳を持たないのであれば、尚更その都度繰り返し追及するしかありません。
LITERAが取り上げました。
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NHKの安倍政権忖度が再びヒドい状況に! 持続化給付金の電通疑惑をスルーし続け『日曜討論』で野党排除、黒川検事長の問題でも…
LITERA 2020.06.02
中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業を、政府が実体の掴めない電通の“トンネル法人”に769億円で委託しているという問題。巨額の予算が電通やパソナといった安倍政権に近い大企業に流れているだけではなく、さらにはこのトンネル法人が“中抜き”した数億円もの金が経産省や政治家に還流しているのではないかという疑惑もあり、一大疑惑に発展する様相を呈している。
昨日6月1日、本サイトでも報じたように、“電通タブー”のせいか、この問題をワイドショーはほとんど報じず。一方、先週から取り上げていたTBSを除く局のニュース番組も、昨夕からようやく取り上げはじめたが(それでも電通とは名指しせず「大手広告代理店」などと伝えているが)、そんななかでも無視を決め込んでいたのが、「アベさまの」NHKだ。
実際、NHKの看板報道番組である『ニュース7』と『ニュースウオッチ9』(以下、『NW9』)は、昨晩、元AKB48の渡辺麻友が芸能界を引退したニュースは伝えたというのに、この「持続化給付金」問題を一切取り上げなかったのだ。
しかも、本日2日になって遅れに遅れるかたちで取り上げたものの、正午のニュースでは、梶山弘志経産相が電通に再委託されたことを「問題ない」と言い張ったことをメインにして伝えたのである。
民放のように電通に広告を依存していないというのに、なかなか取り上げなかった上、問題点を掘り下げることもなく政府の言い分を垂れ流す──。本日の『ニュース7』や『NW9』では詳しく報じるようになってはいたが、ここまで「持続化給付金」問題をNHKが取り上げなかったのは、新型コロナ対応で批判が高まっている安倍政権にさらなる大打撃を与えかねないため“忖度”してきた、ということだろう。
だが、こうしたNHKの政権擁護の姿勢が、もっと露骨なかたちで表れている例がある。じつは、与野党の議員が意見を戦わせてきた討論番組『NHK日曜討論』が、この1カ月間、西村康稔コロナ担当相と加藤勝信厚労相を出演させつづけている一方、野党議員を一度も出演させていないとしてSNS上で話題になっているのだ。
そして、本サイトでも確認してみたが、たしかに5月3日放送回で各党幹部が出演して以降、「政府と専門家による討論」「政府や経済界・労働界などが討論」などとし、加藤厚労相か西村コロナ担当相は毎週出演しながら、一度も野党議員が出演していなかった。
そもそも『日曜討論』は毎回、与野党の議員が出演する討論番組ではないが、政府の新型コロナ対応が問われるなかで1カ月にもわたって与野党討論がないのは、あきらかにおかしい。
実際、『日曜討論』では、WHOが「緊急事態」を宣言して以降、新型コロナの問題をテーマにして定期的に与野党討論を放送。たとえば、2月は4回の放送があったが、うち2回は加藤厚労相と専門家のみの出演だったものの、残り2回は与野党の政策責任者が顔を揃えていた。3月も5回の放送のうち、3.11を控えた8日放送回は新型コロナと東日本大震災の2本立てで加藤厚労相と田中和德復興相、専門家の出演だったが、ほかの4回はすべて与野党の議員で討論。4月も4回の放送のうち2回は与野党議員による討論がおこなわれていた。
それが5月3日放送回を最後に、野党議員を一切出演させず、新型コロナ対応にあたる大臣と専門家による討論だけを放送する──。野党の政府に対する対立意見や批判的検証が取り上げられないまま政権与党の大臣だけが一方的に主張するのは、「放送の不偏不党」「政治的公平」に欠けると言わざるを得ないだろう。
しかし、5月3日まではかろうじて野党議員の出演があったというのに、なぜNHKはそれ以降、なくしてしまったのか。ここでひとつ思い当たることといえば、この1カ月間は検察庁法改正案と黒川弘務・前東京地検検事長の“賭けマージャン”問題で野党による追及が強まり、世論の反発も高まっていったという事実だ。
検察庁法改正と黒川検事長賭け麻雀問題でNHKが見せた安倍政権への露骨なアシスト
そしてこの間、検察庁法改正案と黒川氏の定年延長問題についてのNHKの放送姿勢は、あまりにも酷いものだった。
たとえば、検察庁法改正案が衆院内閣委員会で審議入りした5月8日、『NW9』は審議入りしたことさえもスルー。『ニュース7』は法改正に反対する有志の弁護士でつくる団体がオンラインで記者会見を開いたこと、1500人もの弁護士が団体の活動に賛同していることを伝えたのだが、なぜかテロップは「“弁護士1500人が賛同”」という混乱を招くような表現になっていた。
だが、8日に審議入りしたことを受けて、有名人を含む多くの市民による「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた“Twitterデモ”が勃発。さすがにこれを無視することはできなかったのか、10、11日には『ニュース7』や『NW9』でも紹介。しかし12日の『ニュース7』では「“疑惑隠しで改正 指摘あたらず”」というテロップまで出して安倍首相の主張をメインに報道。『NW9』にいたっては問題を取り上げることさえしなかった。
また、翌13日は『ニュース7』も『NW9』も衆議院内閣委員会の審議を取り上げたが、野党が森雅子法相の出席を求めて質疑の途中で退席したことを伝える一方で、内閣委員会の委員で自民党所属の泉田裕彦衆院議員がTwitterに〈強行採決は自殺行為〉〈与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました〉と投稿したことで自民党が泉田議員を内閣委員から外すという暴挙に出たことは伝えられることはなかった。
さらに、15日には検察庁法改正に反対する松尾邦弘・元検事総長ら検察OBが意見書を法務省に提出したが、〈ルイ14世の言葉として伝えられる「朕は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせる〉などと安倍首相を痛烈に批判したことは報じられず、「改正案 きょうの採決見送り」「検察庁法改正案 与野党が対立」などと政局の話に矮小化させてしまったのだ。
無論、黒川氏の“賭けマージャン”問題での訓告という甘い処分が下された問題についても、安倍官邸が法務・検察の懲戒処分という提案を蹴ったという疑惑や、政権の責任を掘り下げるような報道は一切皆無。SNS上でこれまでにないほどに検察庁法改正案をめぐる安倍政権の対応に注目が注がれようと、NHKは“忖度”報道を繰り返したのである。
そして、同時にこの期間、『日曜討論』という野党が与党に対して追及をおこなう場から排除されているという事実──。ようするに、NHKはあらかじめ検察庁法改正案や黒川問題を追及する声が出ることを、野党議員を出演させないことで封じ込めたのではないか。
そもそもNHKは、新型コロナにかんする総理会見でも第1回目から、記者が挙手していても会見を打ち切って質問に答えるよう求める声が記者からあがる前に生放送を打ち切り、岩田明子記者の解説を垂れ流すという安倍首相のアシストをつづけている。その上、新型コロナ対応への不満が高まるなかで、野党が政府に対立意見をぶつけ検証する場さえなくしてしまうとは……。NHKがこの“忖度”をいつまでつづける気なのか。視聴者による監視が必要だ。(編集部)