そんななか、三菱マテリアルは1日、戦後補償として被害者やその遺族約3700人余り(過去最多)を対象とした和解に合意しました。
北京で署名した関連文書によれば、三菱側は痛切な反省と深甚なる謝罪の意を表明し、被害者1人当たり10万元(約170万円)を支払うなどします。
民間企業が自主的に謝罪し金銭補償に応じた歴史的合意で、日本企業が絡む他の戦後補償問題の行方にも当然影響を与ることになります。
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三菱マテリアル 強制連行3000人超と和解 中国側に自主的謝罪
東京新聞 2016年6月1日
【北京=共同】第二次世界大戦中、日本国内の鉱山などで強制連行した労働者を働かせた問題を巡り、中国の被害者団体と三菱マテリアル(本社・東京)は一日午前、日本企業の戦後補償として過去最多の三千人以上を対象とした和解に合意し、北京で関連文書に署名した。三菱側が「謝罪」の表明と被害者一人当たり十万元(約百七十万円)を基金方式で支払うのが柱。被害者団体は一日午後、北京で正式発表する。関係者が明らかにした。
日本の最高裁が賠償請求を認めなかった中国人被害者に対し、民間企業が自主的に謝罪し金銭補償に応じた歴史的合意で、日本企業が絡む他の戦後補償問題の行方にも影響を与えそうだ。
被害者団体は昨年八月に和解受け入れを表明したが、その後、一部被害者団体が中国で提訴し交渉から離脱したことへの調整や基金の中国側受け皿の選定が難航し、和解案の受諾表明から約十カ月後の署名となった。
日本政府は一九七二年の日中共同声明で、中国は国家間と同様に個人の賠償請求権も放棄したとの立場。日本の最高裁が二〇〇七年、賠償請求を認めない判断を示した後、中国の被害者団体と三菱側が個別に交渉を進めていた。
和解合意によると、被害者側の対象者は三千七百六十五人。
三菱側は「中国人労働者の人権が侵害された歴史的事実を誠実に認める」とした上で、被害者と遺族に「痛切な反省」と「深甚なる謝罪」を表明。三菱側は補償金以外に記念碑建立費一億円、行方不明の被害者らの調査費二億円を支払う。
被害者側の全員を把握できた場合、支払総額は最大七十億円規模となる。
<中国人強制連行> 戦時中の労働力不足を補うため石炭、土建など日本の業界団体は中国人労働者の「移入」を要請。日本外務省の報告書によると、強制連行の被害者は約3万9000人で、全国の炭鉱や建設現場などで労働を強いられた。過酷な環境などのため、うち6830人が死亡。1990年代に入り、被害者らが日本の政府や企業を相手に賠償を求めて相次ぎ提訴したが、最高裁は2007年、賠償請求を認めない判断を示した。 (共同)