2016年6月15日水曜日

安倍首相の“反共”口撃の異常

 安倍首相はいま全国遊説で常軌を逸した共産党口撃と野党攻撃に奔っています。
 しかし総理大臣であり巨大与党の党首が、選挙演説で少数野党を繰り返し批判すること自体異常なことです。そのうえそれが時代錯誤の共産党批判とあっては、そのまま国民に受け入れられるとはとても考えられません。
 
 日刊ゲンダイが安倍首相のネガキャン“反共”演説を取り上げ、「口撃するほど却って票が逃げる」と批判しています。
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口撃するほど票が逃げる 安倍首相の“反共”ネガキャン演説
日刊ゲンダイ 2016年6月14日
 「民進党には、もれなく共産党がついてくる」─―。安倍首相が参院選の全国遊説で「野合批判」を強めている。とりわけ目立つのは共産党に対する“口撃”だ。安倍首相は国会質疑でいつも共産議員にコテンパンにやり込められている。だから「共産憎し」に力が入るのだろう。とはいえ、総理大臣であり、かつ巨大与党の党首が、選挙演説で少数野党を繰り返し批判するなんて前代未聞だ。
 
 「また共産批判だよ。ウンザリだね」
 12日、長野・飯田市で行われた安倍首相の街頭演説。「共産や民進の無責任な勢力に託すのか」と叫ぶ姿に市民のひとりは呆れた表情でつぶやいた。
 安倍首相の演説パターンはこうだ。最初に候補者を紹介した後、アベノミクスの“果実”とかいうインチキ数字を並べ立て、最後は野合批判で締めくくる。決まって批判の矛先は共産だ。
 
 そもそも安倍自民は、選挙前から共産を異様に“敵視”してきた。「野党共闘」の動きが現実味を帯びてきた3月、安倍政権は「共産党は破防法対象」なんて仰天の政府答弁書を閣議決定。公党をテロ組織扱いするなんて、マトモな政府の対応じゃないが、呼応するように自民も「民共合作」のビラを作製し、共産へのネガキャンを展開してきた。安倍首相の頭の中には、一昔前の有権者の共産アレルギーの印象が強く残っているのだろう。それで調子に乗ってネガキャン“口撃”を続けているワケだが、効果は全く期待できない。
 「野党で今、最も勢いのあるのが共産です。昨年の統一地方選では、県議がいなかった7県すべてで議席を獲得し、党史上初めて全国都道府県議会に議員が誕生しました。昨年1年間で、共産の地方議員は146議席も増え、議席占有率は8%強と過去最高です。参院選で野党統一候補の動きが加速したのも、共産が早々に独自候補擁立を見送るなどしたため。有権者はちゃんと理解していますよ。若い世代なんて、アレルギーどころかシンパシーを感じている人の方が多いくらいです」(野党クラブ担当記者)
 
 ジャーリストの横田一氏がこう言う。
 「4月末の衆院北海道5区の補選でも、与党は今と同じような共産ネガキャン“口撃”をしていました。しかし、結果は野党が票を伸ばし、ほとんど影響はありませんでした。参院選も同じだと思います。安倍首相が共産批判ばかりするのは、政策論争で勝つ自信がないからでしょう」
 安倍自民が共産批判に使う「民共合作」の造語は、戦前の国民党と中国共産党が大日本帝国に対抗して結成した「国共合作」を真似たのだろうが、大日本帝国はその後、敗北した。安倍政権も同じ運命をたどる可能性は大だ。