11日に開かれた憲法学者でつくる全国憲法研究会で、上智大の高見勝利教授が講演し、「首相には立憲主義の核心である権力分立の原理が欠落している」、「改憲しなければ対応できない深刻な事態が生じたというのではなく、『新しい憲法を書く精神こそが大切だ』と改憲それ自体が目的になっている」と指摘しました。
また代表を務める早稲田大の長谷部恭男教授は「憲法解釈の変更と安保法で、憲法九条の下で何ができて何ができないのかが不透明になった。最低限これをなくし元に戻す必要がある」と訴えました。
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「首相答弁は立憲主義の核心欠落」 長谷部教授らシンポで批判
東京新聞 2016年6月12日
参院選を控え、安全保障関連法や改憲論議の問題点を考えようと、憲法学者でつくる全国憲法研究会が十一日、東京都内でシンポジウムを開いた。代表を務める早稲田大の長谷部恭男教授は「憲法解釈の変更と安保法で、憲法九条の下で何ができて何ができないのかが不透明になった。最低限これをなくし元に戻す必要がある」と訴えた。
研究者や市民ら百人以上が参加。安倍晋三首相の憲法意識を探ろうと国会の議事録を分析した上智大の高見勝利教授が講演し「首相の答弁からは立憲主義の核心である権力分立の原理が欠落している」と指摘。
「改憲しなければ対応できない深刻な事態が生じたというのではなく『私たちの手で新しい憲法を書く精神こそが大切だ』という姿勢で、改憲それ自体が目的になっている」と批判した。
長谷部教授は「参院選は安倍政治にストップをかけられるかどうかという選挙だ」と述べ、関西大の高作正博教授は「自分の選択の結果がどういう影響を与えるのか、もっと想像力を働かせ、批判的思考力を持とう」と呼び掛けた。