2016年6月6日月曜日

06- 自民の現場が公明候補推薦に不満 参院選で自公に不協和音

 自民党が国会で多数を占めることができているのは、多くの選挙区で公明党の固定票がそっくり自民党に流れ込んでいるためです。そのことは何よりも当選した議員と自民党本部がよく認識しています。その見返りとして、公明党が候補を立てる選挙区には当然自民党に支持や推薦を出すことを求めることになります。
 公明党は今度の参院選では過去最多の7選挙区で後任候補を立て、そのうちの5選挙区で自民に推薦を求めました。自民党本部はそれを了承して各県連に伝えたのですが、現場には簡単には応じられないというそれなりの事情があるということです。
 しかし、先の衆院北海道5区の補選で自民に協力する見返りとして選挙区」での推薦を求めていた公明党が、そんなことでおさまる筈はありません。
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
地元から怒り 参院選「自公分裂」の“火ダネ”抱える選挙区
日刊ゲンダイ 2016年6月5日
 夏の参院選(6月22日公示、7月10日投開票)で、与野党一騎打ちとなる「1人区」と同様、注目を集めているのが、自民党本部が公明候補の推薦を決めた兵庫、神奈川、埼玉、愛知、福岡の5選挙区だ。自民幹部は「安定政権を築くために自公協力が欠かせない」などと言っているが、どこも自民県連が「冗談じゃない」と反発し、一枚岩には程遠い状況だ。選挙の結果次第では、今後の「自公分裂」の“火ダネ”になる可能性もある。
 
  公明党は今回、過去最多の7選挙区で公認候補を擁立した。うち、激戦必至の5選挙区を「最重要区」と位置付け、自民に推薦を要請。これを自民が了承し、各県連に伝えた。ところが、この決定に不満を募らせているのが現場だ。とりわけ、反対の姿勢を鮮明にしているのが兵庫選挙区(改選数3)。兵庫は自民、民進の現職に加え、共産、おおさか維新、公明が立つ大激戦区だ。そのため、県連幹部は5月末の会見で、「公明を支援する余裕はない」と怒りを爆発させ、党本部の対応を真っ向から批判した。
 自民、民進など現職4人を含む11人が立候補を予定している神奈川選挙区(改選数4)もグダグダ。自民は現職を公認した上、無所属の現職も推薦している。さらに公明も推薦というから、党員にとっては何が何だか分からないだろう。
 
  愛知選挙区(改選数4)や埼玉選挙区(改選数3)、福岡選挙区(同)では、安倍首相と公明の候補が顔写真を並べた「二連ポスター」に対し、党員から「どこの党首なのか」「自民票が奪われる」と怒りの声が上がっているという。こうなると5選挙区の自公は「協力」どころじゃない。
  メディアの情勢分析でも、5選挙区で公明が「優勢」なのは今のところ、埼玉と福岡しかない。
 
 「5選挙区は公明の組織内部で『5S』と呼ばれ、特に力を入れているところです。公明は、4月末の衆院北海道5区の補選で自民に協力する見返りとして『5S』の推薦を求めた。いわば、交換条件だったワケで、それだけに自民県連の対応に『約束を反故にされた』と怒っています。公明は『それなら1人区で自民に協力しない』とへそを曲げる可能性があり、5選挙区の“破談”が他の選挙区に飛び火するかもしれません」(永田町事情通)
 政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。
 
 「自民の地方組織が本部の『推薦』でどこまで本気で動くか分かりませんが、(推薦に反対している自民は)公明にとっては面白くないでしょう。与党離脱とはいかないまでも、(公明も)何らかの抗議行動を起こしても不思議ではありません」
 
  5選挙区の結果が見モノだ。