7月の参院選でも、安倍政権はいつも通り「経済政策」を強調し、憲法「改正」の野心は隠すというパターンです。
その「経済政策」の内容ですが、一時的な円安=株高と富裕層が株価バブルで大儲けをした以外には何の成果も出ていないアベノミクスを、「大きな効果があった」として継続するというものです。まことに「空しい」話ですが、そんなことで済まされる話ではありません。害悪の拡大しか考えられない政策をこれ以上続けて、この先日本を一体どこまで落ち込ませようとするのでしょうか。
そもそも3年もかけたアベノミクスがもしも成功しているのであれば、なぜ消費税増税をこの先2年半も延期するのでしょうか。「2度と延期することはあり得ない」と大見えを切った消費税増税を内閣の任期よりも先まで延ばすということは、アベノミクスを続ける限り任期中には景気の回復はあり得ないことを自覚しているからに他なりません。
そもそも3年もかけたアベノミクスがもしも成功しているのであれば、なぜ消費税増税をこの先2年半も延期するのでしょうか。「2度と延期することはあり得ない」と大見えを切った消費税増税を内閣の任期よりも先まで延ばすということは、アベノミクスを続ける限り任期中には景気の回復はあり得ないことを自覚しているからに他なりません。
安倍政権は、団塊世代が退職し労働人口が減ったために求人倍率が改善されたことは言わずに、それをアベノミクスの果実だと強調しています。そんな安倍内閣の虚妄の成果を聞かされる国民こそいい迷惑ですが、しんぶん赤旗が安倍首相のウソを証明する記事を掲げました。
記事には3種類の図表が用いられていますので、ご覧になりたい方は下記にアクセスして下さい。
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「アベノミクス効果」本当か?! 首相が誇る数字の真実
しんぶん赤旗 2016年6月11日
安倍晋三首相は、自身の経済政策「アベノミクス」が「効果」をあげているとする都合のいい数値を宣伝しています。自民党の「参院選公約2016」も冒頭から、経済数値を列挙しています。「数字はうそをつかないが、うそつきは数字を使う」といいます。ご都合主義の数値、国民の立場から見たらどうなるのでしょう。検証しました。
国民総所得 半分は円安・物価高
自民党政権公約は実績として、「経済の好循環」の筆頭に国民総所得(GNI)の「36兆円増加」をあげています。GNIは、国民総生産(GDP)に海外からの所得(受け取りから支払いを引いた純受け取り)を加えたものです。
第2次安倍政権が発足する直前の2012年10~12月期から16年1~3月期の間に、GNIは35・5兆円増加しました。本紙試算によると、そのうち12・2兆円は物価値上げ効果で、6・5兆円は円安効果によるものです。つまり、半分が円安と物価上昇によるものです。
しかも、国民総所得というと、国民の懐があたたまるような印象ですが、実は企業の海外活動を含めた指標です。大企業が増やした内部留保も含まれます。
就業者数 増えたのは非正規
安倍政権は、就業者数を110万人増やしたといいます。労働力調査によると、12年の6270万人から15年の6376万人へと就業者は106万人増えています。問題はその内訳です。
12年と15年を比べると、自営業者で16万人、家族従業員で18万人減少しています。役員を除く雇用者は130万人増加しました。ただ、雇用者を雇用形態別にみると、非正規雇用が167万人増える一方、正規雇用は36万人も減少しています。安倍政権の3年間で増えたのは非正規雇用ばかりです。
安倍首相は、「正規雇用が26万人増えた」と繰り返します。確かに、正規雇用は、14年の3278万人から15年の3304万人へ26万人増加しています。しかし、第2次安倍政権が発足した12年からは減っています。就業者や雇用者が増えても、不安定な非正規雇用では雇用の質が悪化するばかりです。
有効求人倍率 正社員就職は減少
「有効求人倍率が24年ぶりの高水準」といいますが、この統計は、ハローワークで職を探す人1人当たりに何件の求人があるかを示します。実際に雇用が増えたことを示す数値ではありません。正社員の有効求人倍率はいまだに0・85倍(4月)。求人が求職者数に満たない状況が続いています。正社員の就職件数は、安倍政権下で減る一方です。13年4月の7万4000人から、16年4月には6万5000人へと9000人も減っています。
給与 下落続く実質賃金
「今世紀最も高い水準(2%水準)の賃上げは3年連続で実現」と宣伝していますが、大企業を中心にごく一部の労働組合に対する春闘回答の結果です。厚生労働省の統計では、実質賃金が5年連続のマイナスです。5%も下落し、年収400万円程度の労働者だと20万円もの目減りです。
実質賃金は、物価変動の影響を除いた賃金水準を示す数値です。低賃金の非正規雇用が増えたため、名目賃金が伸び悩んでいます。
働いているのに年収200万円未満の「ワーキングプア」は、安倍政権下で毎年増え続け、1100万人超。賃金格差も広がっています。
日本の経済成長について、経済協力開発機構(OECD)は6月の「経済見通し」の中で、「主な懸念は賃金上昇である。賃金上昇の緩慢さは主要な経済下押しリスクである」と指摘しています。
税収 減収の穴埋まらず
安倍首相は、税収の増加がアベノミクスの果実だと主張しています。当初「21兆円」の税収増が経済政策の果実だと述べましたが、「消費税増税で水増ししている」との批判を受け、「13兆円」と言い換えました。
しかし、首相が2016年度の税収見込みと比較しているのは、12年度です。12年度はリーマン・ショック後の経済危機と東日本大震災の影響で税収が異常に落ち込んだ時期です。「リーマン」以前の07年度と比べると、所得税収も法人税収も軒並み減ったままです。消費税増収9兆円を除くと、16年度の税収減は5兆円に達します。
二つの異常事態で開いた税収の穴を埋めるにも至っていない、というのが実情です。
企業倒産 休廃業と解散増加
安倍首相は、「企業の倒産件数が25年ぶりの低水準になった」と言います。しかし、企業の休廃業・解散件数は、15年は2万6699件。リーマン・ショック後の09年の2万5397件を上回る件数です。
主な要因は、個人事業主の高齢化です。1992年には40~44歳の事業主が最多でしたが、年々、上昇。14年には70歳以上が最多になりました。
全企業数の99・7%を占める中小企業数は、消費税増税による経営悪化などで12年の385・3万から4・4万減少し、14年は380・9万となりました。
訪日外国人 日本人旅行者は減
日本を訪れる外国人旅行者数が、約2000万人となり、過去最高になったと自慢しています。
ところが、日本人の国内旅行を見ると、13年に6億9570万人だった延べ旅行者数は、15年には6億6293万人へと3277万人減少しました。減少の理由について観光白書(15年版)は、「消費税率引き上げ」や「物価上昇に所得の上昇が追い付いていない」ことを挙げています。