2016年6月1日水曜日

安倍内閣への不信任決議案 自公など反対多数で否決

NHK NEWS WEB 2016年5月31日
民進党など野党4党が提出した、安倍内閣に対する不信任決議案は31日午後開かれた衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と、おおさか維新の会などの反対多数で否決されました。
民進党、共産党、社民党、生活の党の野党4党は消費税率の引き上げの再延期は、アベノミクスの失敗を明確に示すものだなどとして、安倍内閣に対する不信任決議案を衆議院に提出し、午後3時半から開かれた衆議院本会議で直ちに審議が行われました。
 
この中では、まず、民進党の岡田代表が提出者を代表して趣旨説明を行い、「安倍総理大臣は、おととしの衆議院選挙の際に消費税率引き上げを再び延期することはないと約束したが、引き上げられる状況を作り出せなかった。経済失政を正直に認めて、公約違反を国民に謝罪し、即刻退陣すべきだ」と述べました。
 
これを受けて、各党の討論が行われ、民進党は「政権発足以来、『アベノミクス』と呪文のように唱え続けているが、ほとんどの国民が景気回復を実感せず、格差や貧困が広がっている。国民を欺く予算編成、税金のむだづかいをしていることも、大きな不信任の理由だ」と述べました。
また、共産党も「安倍総理大臣は、みずからの経済失政の責任を『世界経済』に転嫁し、破綻した路線にしがみついている。あまりに無責任、厚顔無恥であり、もはや日本経済のかじ取りをする資格はない」と述べました。
 
これに対し、自民党は「『アベノミクス』で雇用や所得環境は改善を続け、日本経済は着実に回復に向かっている。実績は多くの国民から高い評価を得ており、国民の意思に反した決議案の提出は、まさに党利党略、パフォーマンス政治そのものだ」と反論しました。
また、公明党は「自公連立政権は安定した政治基盤の下、デフレ脱却や雇用環境の改善などの諸課題に全力で取り組み、多くの成果を生み出してきてた。不信任決議案には理由がないことは明らかだ」と述べました。
一方、おおさか維新の会も、「甚大な地震被害を受けた熊本・大分の復興対策や、補正予算案を含めた経済政策を実現する視点からも、今回の決議案は国民が納得しない」と述べました。
 
このあと、採決が行われ、記名投票の結果、安倍内閣に対する不信任決議案は自民・公明両党と、おおさか維新の会などの反対多数で否決されました。
国会は会期末の1日、衆・参両院で本会議が開かれ、閉会手続きが行われることになっていて、各党は夏の参議院選挙に向けて事実上の選挙戦に入ります。
 
自民・谷垣氏「この結論は当然」
自民党の谷垣幹事長は記者団に対し、「整斉と否決したが、内閣支持率が高いなかで、この結論は当然だ。野党は経済の失政と言うが、前の政権との実績の違いを見れば、その主張の当否は当然分かる。われわれとしては、おごることなく、謙虚に前に進まなければならない」と述べました。
 
 
公明・井上氏「不信任に当たらない」
公明党の井上幹事長は記者団に対し、「不信任決議案提出の理由を一つ一つ聞いたが、全く不信任に当たらず、粛々と否決した。安倍内閣がスタートしてから、最も重要な課題である経済再生で着実に成果は上げつつあるが、道半ばであり、地方や中小企業、それに家計への好循環を作っていかなければならない」と述べました。
 
民進・岡田氏「誰が見ても信任できない」
民進党の岡田代表は国会内で記者団に対し、「消費税率の引き上げの再延期は、安倍総理大臣の1年半前の公約違反だということは否めず、誰が見ても信任できないと思うが、結果が出たので受け入れざるをえない。安倍政権が強権的で、不正直だというのは、説明を加える必要もないくらい明らかなことなので、参議院選挙の中でしっかり訴えていく」と述べました。
 
共産・志位氏「野党共闘は意義があった」
共産党の志位委員長は国会内で記者会見し、「野党4党が安全保障法制や、安倍政権の経済失政、それに強権政治の問題で一致して政治姿勢を追及し、不信任決議案を結束して提起し、突きつけたことは意義があったと考えている。今後の選挙や国会での共闘にも、大事な意義がある行動だった」と述べました。