2016年6月11日土曜日

「国債離れ」で反旗 三菱銀行 飛び交う“出来レース説”

 国債の重要な購入元であるメガバンク=三菱東京UFJ銀行が、国債の買取を拒否する行動に出ようとしています。
 同銀行は、「国債をマイナス金利で買って満期まで持てば、収益はマイナスになるので」当然の対応だと述べています。
 別に「メガバンクは数年後の国債暴落を想定して準備を始めた」という見方もあります。
 
 幸いにいまのところはまだ1バンクに留まっているので実害は殆どありませんが、これが他のメガバンク等に波及していけば大変な事態になります。赤字国債等の運用ができなくなるし、国債に対する海外の信用がなくなれば、待っているのは一大悲劇です。
 
 日刊ゲンダイは「危機」という受け止めではなくて「出来レース」だという うがった見方をしています。
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「国債離れ」で反旗 三菱vs日銀に飛び交う“出来レース説”
日刊ゲンダイ 2016年6月10日
 8日、日本経済新聞がスッパ抜いた三菱東京UFJ銀行の「国債離れ」。国債入札の特別資格を来月にも返上する見通しで、国内銀行では初となる。黒田日銀のマイナス金利政策に公然と反旗を翻したメガバンクに熱視線が注がれているが、「なぜこのタイミング?」といぶかる向きも少なくない。
 
  三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は8日、国債市場特別参加者の資格返上について、「国債をマイナス金利で買って満期まで持てば、収益は当然マイナスという形になるので」などと、自宅に押しかけてきた報道陣に語っていた。
 「子どもでも分かる理屈で、小山田頭取のコメントに尽きますね。マイナス金利のせいで、国債入札にもマイナス利回りが生じている。三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長も4月の講演会で、『懸念を増大させている』と黒田日銀を批判していた。三菱VS日銀は今に始まった話ではありませんが、業界内は『さすが三菱』『よくやった』などと歓迎ムードです」(メガバンク関係者)
 
■マイナス金利“打ち切り”の口実に…
 さっさとマイナス金利の失敗を認めろと圧力をかけた格好だが、問題は「なぜこのタイミング?」だ。来週15、16日には、日銀の政策決定会合がある。そして7月には参院選も控えている。
 
 「そもそも、黒田日銀批判=アベノミクス批判です。日銀が安倍自民の選挙を援護射撃しようというタイミングで冷や水をぶっかけるとは、三菱も挑発的過ぎる。日銀の審議委員にはもともとメガバンク枠がありますが、6月29日に任期が切れる石田浩二審議委員(三井住友銀行出身)の後釜には、黒田総裁に好意的な新生銀行の政井貴子執行役員が座ることに。露骨なメガバンク外しに対する意趣返し、なんて笑えない冗談も飛び交っています」(経済ジャーナリスト・岩波拓哉氏)
 
  こんな見方もある。
 「三菱と日銀の出来レースじゃないか、というのです。マイナス金利を導入した黒田日銀も今さら引っ込みがつかない。三菱が強硬な姿勢を示したことで、マイナス金利幅の拡大が難しくなったのは確かです。もしゴリ押ししたら、他の金融機関が三菱に追随する可能性が高まる。裏を返せば『三菱が言うから』と、マイナス金利を“やらない言い訳”にできるわけです。三菱は先月の段階で財務省に資格返上を打診し、了承を得ていたそうです。黒田総裁は財務省出身です」(霞が関関係者)
  果たして……。