2018年8月24日金曜日

24- 杉田水脈衆議院議員の発言に抗議する 出版社代表82社の共同声明

 出版社代表82社が20日、杉田水脈氏のLGBT問題に対する差別発言に対して、「杉田水脈衆議院議員の発言に抗議する共同声明」を出しました。
 以下に紹介します。
 12名の呼びかけ人は記載しますが、82社については省略させていただきます。
 下記のURLから直接原文にアクセスしてください。
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共同声明
Commons on line  2018年8月20日
 日頃よりのご活動、敬意を表します。
さて、ご案内のように杉田水脈国会議員の発言が大きな問題になっておりますが、基本的人権、少数者の擁護、差別、優生思想の根絶、福祉の拡張などの視点から考えても、杉田発言が無批判のまま放置されてよいものとは到底思われません。
 私たちは出版社を代表する者として、以下の抗議の意思を表明いたします。
 
杉田水脈衆議院議員の発言に抗議する 出版社代表82社の共同声明
 
 自民党杉田水脈衆議院議員の「LGBTは子供を作らない、生産性がない」発言に抗議・議員辞職を求めます。 私たちは、出版人として、基本的人権が擁護される世界が現世代、次世代に渡って実現することを希望しております。 さて、自民党衆議院議員の杉田水脈氏が、『新潮45』(2018年8月号、新潮社)に『「LGBT」支援の度が過ぎる』という文章を寄稿し、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女たちは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と公言しています。
 
 「子どもを産まないことが生産性がない」ことなら、その該当者は、杉田議員が名指しするLGBTにとどまりません。そもそもLGBTが子どもを産まない、子どもを育てないという認識自体が虚妄ですが、さまざまな理由で子どもを望まない人、子どもを持てない人がいます。子どもを「生産」する能力の有無が税金投入の対象を選別する際の要素になるというなら、その発言は明らかに法の下における平等、基本的人権を蹂躙する考え方に他なりません。
 
 「生産性がない」者は国の保護の対象になじまない、福祉の対象に値しない存在として排斥する思想は、杉田議員の専売でもなければ、目新しいものでもありません。「生産性」という言葉で人間を選別する忌まわしき「優生思想」であり、さまざまな差別の根源的思想であり、その犯罪性は「優生思想」がもたらした各国の歴史を見ても明らかです。
 
あまつさえ、杉田氏は、憲法を遵守すべき国会議員であり、上記の発言は国会議員としての適格性を著しく欠いた発言と言わざるを得ません。杉田発言について見解を問われた菅官房長官、二階自民党幹事長はそれぞれに「別に大きな驚きを持っているわけではない」「人それぞれ政治的立場はもとより、いろんな人生観もあり」などとして容認を表明しましたが、むしろ「大きな驚きを持たないこと」に自民党安倍政権の政治思想の著しい退廃を感じざるを得ません。
 
 杉田議員によると、自身の発言によって巻き起こった批判に対して、自民党の中で「大臣クラスの方をはじめ、先輩方が声をかけてくださる」「心配もされ、励まされた」と弁明していますが、杉田発言が容認され、その思想に基づいて行政・政治が進められたとき、どんな事態が起こるか、私たちは深く考える必要があります。
 
 言論・思想の自由だということで、杉田発言を容認する意見があるかもしれません。しかし、問題の核心は言論・思想の自由にあるのではなく、国会議員による「命を選別する思想」「優生思想」が日本の社会の中で容認されていく危険性にあります。
 
 今回の雑誌寄稿で、杉田議員が主張したことは、単なる思い付きや失言ではありません。「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想です」(2014年10月の国会発言)、「女性の権利、子供の権利を言い募ると、それは特権と化してしまう」など、権利、人権の擁護に関して攻撃を繰り返しています。さらに日中・日韓の歴史問題に関しても荒唐無稽の妄言を撒き散らし、「科研費を使って韓国の団体と一緒になって反日プロパガンダをやっている」「これは本当にゆゆしき問題」(衆院予算員会2018年2月26日)という発言をおこなっています。
 
 私たちは、言論・出版に関わる出版人として、基本的人権を蹂躙し、学術研究の独自性を攻撃する杉田議員の行動を到底容認することはできません。
2018年8月20日
●呼びかけ人(順不同)
松田健二(社会評論社代表)   大江正章(コモンズ代表)
北村 肇(週刊金曜日代表)   菊地泰博(現代書館代表)
髙野政司(解放出版社代表)   成澤壽信(現代人文社代表)
竹村正治(かもがわ出版代表)  高須次郎(緑風出版代表)
久保則之(あけび書房代表)   水野 久(晩成書房代表)
中川 進(大月書店代表)    上野良治(合同出版代表)