大分市の市民団体「赤とんぼの会」が終戦記念日の15日、「憲法9条を守ろう」という意見広告を県内で発行する新聞4紙に掲載しました。
意見広告は賛同者から広告料を募って行われるもので、今年は2943人が思いを寄せました。
83年にスタートしてから毎年続けられ今年で36回目になります。
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9条守る意見広告36年目 大分市の赤とんぼの会 反戦平和訴える
西日本新聞 2018年08月16日
反戦平和を訴える大分市の市民団体「赤とんぼの会」が15日、「憲法9条を守ろう」という意見広告を県内で発行する新聞4紙に掲載した。意見広告は賛同者から広告料を募って毎年続けられ、36回目となる今年は2943人が思いを寄せた。安倍政権による憲法改正の現実味が増す中、同会は声を上げ続けている。
「戦争は力にものをいわせて弱者を従わせること。その考え方は障害者などの弱者を切り捨てる社会につながる」。意見広告を呼び掛けた寄村(よりむら)仁子(とよこ)さん(75)=宇佐市=は訴える。
会の中心は女性。「子どもたちを二度と戦場に送り出したくない」と、憲法記念日や終戦の日などに大分市内を平和行進していた約30人で1982年、「赤とんぼの会」を結成。83年8月15日の新聞に意見広告を出そうと賛同者を募ったところ、多くの人たちがカンパを寄せた。当時、中曽根康弘首相による「不沈空母」発言があり「戦争」への不安が高まっていた。これが意見広告のスタートだった。
90年代には約3700人が意見広告に資金を寄せたが、2000年代に入ると減少傾向に。若い世代が減っており、ここ数年は2千人台が続いている。26人いる世話人も70~80代が中心となるなど高齢化が進み、“最年少”でも59歳。代表世話人の宮崎優子さん(69)=大分市=は「関心が薄れているのか、世話人を引き受けてくれる“若手”がいない」と打ち明ける。
この現状の背景として、寄村さんは若い世代に戦争の悲惨さが伝えられていないことを挙げる。「私たち自身は戦争を体験していなくても、親など身近な体験者から話を聞いた。それを私たちが伝えられていないということ」。寄村さんは来年、長年務めてきた社会福祉法人の理事長を辞めて「伝える」ことを始めようと考えている。
「戦争を喜び、弱者を排除する社会を望む人はいないはず。苦しさ、つらさを少しでも伝えたい」。言葉に力がこもった。
36回目となる今年の意見広告のデザイン案を検討する宮崎優子さん(左)ら赤とんぼの会の世話人ら