2018年8月5日日曜日

金利高・原油高それに野菜高の“トリプル高”に

 日銀が金融緩和策を一部修正しました。いつまでも年額6兆円の株の買い付けを続けるわけにいかないので、その減額に向けての様子見的な処置ですが、たちまち長期金利が鋭敏に反応しました。本格的に減額に転じた場合の影響の大きさは計り知れません。
 
 この夏、住宅ローンの金利が上がり、原油高でガソリン代、航空運賃、電気料金、ガス代が一斉に上がります。
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原油・野菜に加え長期金利も…猛暑トリプル高が家計を襲う
日刊ゲンダイ 2018年8月4日
 日銀の金融緩和策の一部修正を受け、長期金利が急上昇している。早速、大手銀行は今月から住宅ローンの適用金利を引き上げた。酷暑の今夏は、金利高に、原油高と野菜高を加えた“トリプル高”が家計を直撃。命に危険を及ぼす暑さが連日続いているが、庶民の懐はヒンヤリお寒いものになりそうだ。
 
①住宅ローン金利
 2日の国債市場は長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時、前日より0.025%高い0.145%をつけ、約1年半ぶりの高水準となった。
 連日の金利上昇に、大手銀行は水を得た魚のように、1日から住宅ローン金利を引き上げた。三菱UFJは26~30年の全期間固定型を0.01%アップ。みずほと三井住友、三井住友信託は10年固定の金利は据え置いたが、15年以上の金利をそれぞれ0.05%上げた。
「日銀は、長期金利をこれまでの2倍の0.2%程度まで容認する方針です。今後、住宅ローン金利のさらなる上昇は避けられません。短期金利は引き続きゼロなので、個人の預貯金にほとんど利息が付かない現在の状況は変わりません」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
 預金はそのまま、借金だけがドンドン太る。これではますます将来が不安になる。
 
②原油光熱費
 高止まりが続く原油も末端価格の転嫁がジワジワ進む。帰省や行楽シーズンの8月には大きな痛手である。
 資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格(7月30日時点)は、152円10銭で10週連続で150円を超える高値水準だ。
 また、国際線の燃油サーチャージも1日の発券分から上がっている。全日空と日本航空は、日本と北米、欧州などを結ぶ便で、片道当たり1万500円の料金を1万4000円に、ハワイ便でも6000円を8500円にするなど値上げに踏み切った。
 これでは遠出は控えたくなるが、家に居てもカネがかかる。気象庁は、室内ではためらわずに冷房を使うよう繰り返している。だが、長時間の冷房オンは、電気代がバカにならない。
 電力大手10社全てで8月の電気料金は値上げ。標準家庭の月額料金は7月比13円から37円もアップする。これも原油高の影響だ。家でジッとしていても、冷房代は黙ってくれないのだ。なお、ガスも都市ガス4社すべてが6カ月連続の値上げだ。
 
③野菜
 猛暑の影響で、野菜の価格も跳ね上がっている。
 農水省が発表した全国平均の価格動向調査(7月23~25日)によると、キャベツが1キロ当たり平年比16%、レタスが8%、キュウリはナント45%も高騰。キュウリたっぷりの冷やし中華の値段が心配になってくる。
「3つとも、消費者の需要に引っ張られた値上がりではありません。それぞれのマーケットの事情によるものです。消費者には何の恩恵もなく、苦しいだけです。あきらめて、図書館で涼みながら読書するのが賢明かもしれません。冷水機も置いてあるので、冷たい水も飲めます」(井上学氏)
 
 家計が苦しい酷暑は、図書館だけがオアシスに見えてきた……。