当たる筈のないイージスアショアには1銭も払うべきではありません。
ところが2基分の費用が、一切合切で6000億円超になるといわれています。
米国の兵器購入に関しての価格決定のいかがわしさはこれまでも様々に論じられてきました。
天木直人氏がその実態の一部を明らかにしました。
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対米従属を見事に象徴した陸上イージス導入費用の迷走
天木直人のブログ 2018年7月31日
米国から押しつけられて買わされる陸上配備型迎撃ミサイルシステム(いわゆるイージス・アショア)ほど、矛盾だらけの予算の無駄遣いはない。
なにしろ北朝鮮の危機がなくなったのに買わされるのだ。
その上、購入価格が決まらないにも関わらず、導入する事だけは決まっている。
こんなバカな話はない。
かつて私が官僚の駆け出しの頃、大蔵省(現財務省)との予算折衝は最も重要で困難な仕事だった。
なにしろ、その必要性を主計官に説得させることが一大難事業だった。
そして、その必要性について説得に成功しても、予算要求額については、びた一文無駄を許されなかった。
おそらく今でも財務省と各省の予算折衝は、当時と変わっていないはずだ。
ところが今度の陸上イージスの導入はどうだ。
その導入金額について小野寺防衛相の発言がぶれにぶれている。
ついこの間まで一基1000億円と言っていた予算が、あっという間に1340億円に膨れ上がった。
しかも、その金額でさえ、さらに増えるかもしれないと言う。
そんな予算要求があるか。
しかし、財務省はそれを文句のひとつ言わずに認めようとしている。
なんでこのような異常な事がまかり通るのか。
それは、あの田母神元航空幕僚長が告白している通り、米国から購入する日本の防衛装備は、すべて米国の言う値であるからだ。
本当の値段は何も知らされず、したがってまた、いくら値上げされても、それをうのみにするしかない。
つまり交渉の余地はないのだ。
そもそも、日本の国防政策そのものが米国の防衛政策の下請けになっている。
日本の装備は米国から導入する事となっていて、米国産装備は、それを導入しても米軍に教えてもらわなければ自衛隊は使えない。
そして教えてもらうための費用まで、装備費用に上乗せされるのだ。
おんぶにだっこ、盗人に追い銭状態なのだ。
陸上イージス導入費用をめぐって小野寺防衛大臣が迷走するのも無理はないのだ。
誰が防衛大臣になっても迷走したに違いない。
そして防衛大臣の迷走について、メディアも野党も、何も文句は言わない、いや言えないのだ。
対米従属の日米同盟を受け入れる以上、彼らもまた何も言えないのだ。
はたしてこのまま日米同盟を絶対視して受け入れ続けていいのか。
そのことについて、国民的議論を行わなければいけない時は待ったなしに来ているという事である(了)