2018年8月2日木曜日

アメリカ合州国は 唯一残っている宗主国(Paul Craig Roberts)

 これは1日付で紹介した記事「米国は 米国から自立する国を許さない Paul Craig Roberts」のいわば各論「中南米編」です。米国が、自分になびかない政権(=「国民が選んだ、アメリカの経済権益ではなく、自分たちの権益を代表する政権」)を如何にあからさまに転覆させてきたのかを明らかにしています。
 その対象は、ベネズエラニカラグアエクアドルボリビアホンジュラスアルゼンチンブラジルなどと枚挙にいとまがありません。
 このところ米国は大統領選にロシアが絡んだとかと大騒ぎをしていますが、仮に何らかのことがあったにしても「ロシアとして」選挙に干渉したなどとはとても思えません。それに対して米国は、選挙干渉は勿論ですが選挙で選ばれた政権を次々と転覆してきたのでした。
 
 冒頭の部分で登場するスメドリー・バトラー海兵隊退役少将は、1898年の米西戦争など幾多の戦争で海兵隊の「英雄」として名を挙げた人物です。
 彼は現役時代に2度も叙勲を受けましたが、1931年に退役したあとは反戦運動家として活動し、1933年にはコネティカット州の在郷軍人会で、後に、『戦争はいかがわしい商売だ』WAR IS A RACKET)という名の小冊子にまとめられた講演を行いました。
 同冊子はその後「米国でもっとも勲章を受けた兵士による反戦論の古典」という副題をつけて再版され、インタネットで全文を読むことが出来ます。
 
 Paul Craig Robertsの記事「アメリカ合州国は、唯一残っている宗主国」を紹介します。
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アメリカ合州国は、唯一残っている宗主国
マスコミに載らない海外記事 2018年8月 1日
Paul Craig Roberts 2018年7月30日
 アメリカ合州国政府は中南米で自立した政府を許したことがない。国民がアメリカの経済権益ではなく、自分たちの権益を代表する政権を選ぶたびに、ワシントンは選挙で選ばれた政府を打倒するスメドリー・バトラー海兵隊退役少将が他の多くの人々同様、これを語ってくれている。これは疑う余地はない。
 
 現在ワシントンは、ベネズエラニカラグアの政府を打倒しようとしており、石油購入と、いつもの個人的賄賂でエクアドル政府を買収した。ボリビアのエボ・モラレス政府もワシントンによって標的にされている。オバマ政権は、ホンジュラスアルゼンチンブラジルで、改革派政権を排除するのに成功した。
 
 カストロのキューバを除き、中南米の改革派政府は、常に自ら打倒されるよう仕組んだままにしている。彼らは愚かにも、あるいは無能なことに、ワシントンの支配を維持し、支配から逃れるあらゆる政府の打倒が狙いで、ワシントンに従順な政府を再度据えつけるため、ワシントンと手を携えて協力し、反政府集団やメディアを組織し、資金提供する全米民主主義基金やアメリカ国際開発庁や、様々ないわゆるNGOなど、ワシントンの工作員連中をそのままにしている。
 
 マルクスや、レーニンや、毛やポル・ポトが理解していた通り、連中を放置しておいては、圧政者階級を打倒することはできない。弱さからか、愚かさからか、中南米の改革派政府は、選挙で打倒した圧制者階級と、連中の経済力と、マスコミの力を常に放置している。ワシントンが、圧制者階級を再度権力に据えた際には、改革者たちを打倒するのに同じ寛容は決して示されず、通常彼らは命をもって償っている。
 
 ニカラグアのオルテガ大統領政権を含め、中南米のあらゆる改革の取り組みは、おろかな間違いをして、圧制者階級と、連中の新聞や、連中のワシントンとの反逆罪的なつながりをそのまま放置している。オルテガなら、もっと分別があるはずだろうと思いたくなる。レーガン政権以来、ワシントンは、オルテガとサンディニスタを追い出そうとしてきたのだ。彼の政権は、ワシントンが率いた最新のクーデターの企みを切り抜けたが、ワシントンは、その取り組みに更に金を注ぎ込んでいる。Kevin Zeeseの記事をここでお読み願いたい。http://www.informationclearinghouse.info/49933.htm
 
 ウゴ・チャベスは、ベネズエラで同じ間違いをし、彼の後継者も間違いを繰り返した。カストロ後のキューバ政府は、今、フルヘンシオ・バティスタの下でそうだったように、アメリカ属国となる罠にはまりかけている。
 
 モンロー・ドクトリンは、ヨーロッパ植民地主義者に警告を与えて、中南米から追い出したとして、アメリカの教科書の中で、常に称賛されている。アメリカは、それを自分のものにするつもりだったが、中南米を植民地として保持するのに成功した。米州機構は、常にワシントンの言いなりで、今もそのままだ。中南米は、その植民地化された存在を受け入れていて、ワシントンによる打倒の標的になっている民主的政府に支援の手を差し伸べることはない。指導者連中が、ワシントンに買収され、ゆすられ、あるいは脅迫されているがゆえに、中南米は無力なのだ。
 
 ワシントンは偉大な友人で民主主義の擁護者のふりをしているが、中南米に自立した政府が出来るたびに、ワシントンは打倒している
 
 2015年、アメリカ最初の黒人大統領で“虐げられた人々の偉大な友人”バラク・オバマ大統領は、“ ベネズエラがもたらす、アメリカ合州国の国家安全保障と外交政策に対する異例の途方もない脅威”にかこつけて、大統領命令に署名し、経済制裁を課した。オバマの口実は、ワシントンが煽った暴力行為で、暴力行為を働いた連中の一部が逮捕されたことだった。ワシントンはワシントンが煽り立てた犯罪人連中を素早く“政治犯”と呼び、“批判する人々を逮捕して沈黙させる”かわりに“対話”するよう要求した。ワシントンは暴力行為を犯した連中の逮捕を“ベネズエラ政府による人権侵害”だと主張した。
 
 言い換えれば、ベネズエラ政府は、ベネズエラ政府を打倒しようとするワシントンの人権を侵害したのだ。
 売女マスコミは、これを真顔で報じた。
 民主的に選ばれた政府を積極的に打倒しようとしながら、実に見え透いたウソをつくことに全く何の羞恥心もない政府は、世界中からの非難に値する政府だ。ところが世界は、余りにたんまりもらったのか、おびえきっているかしていて、口を開こうとしない。
 
 Paul Craig  Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。 https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/ 
 
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