2018年8月28日火曜日

28- 首相が急ぐ改憲 世論は関心低く

 石破氏が、総裁選立候時のキャッチフレーズ「正直、公正」を降ろすかと見られていた件については、「“正直・公正”というのは私が政治家になって以来、心がけてきたことで人を批判するものでもなんでもなく、これを変えるということはありません(要旨)として降ろさずに、「政治行政の信頼回復は、まず官邸の信頼回復」と謳い直しました。いわゆる自民党内の『世論』に屈しなかったのはまずまずのことでした。
 
 総裁3選を目指す安倍首相は、秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出する意向を繰り返し明らかにしています。しかし首相他党の理解を得やすいことを理由に、9条1、2項を維持した上で自衛隊の根拠規定を新設する案を唱えていることに対し、石破氏は「それは党議を経たものではない。何度も説明をお願いしたが、実現していないのは極めて残念だ」と述べて、安倍氏の私案に過ぎないことを強調しています。
 
 それとは別に船田元憲法改正推進本部長代行は、これまで首相の改憲発言があるたびに憲法審査会の議論が滞ったことを指摘し、「行政の長が憲法改正についてものを言うのは、あまり望ましいこととは思わない」と不快感を示しています
 
 東京新聞によると、共同通信社が25、26両日に行った世論調査では、新総裁に期待する政策で「憲法改正」は8位で、改憲を急ぐ首相の姿勢が、国民世論とかい離している実態が明確になっています
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首相、総裁選出馬正式表明 急ぐ改憲 世論は関心低く
東京新聞 2018年8月27日
 九月の自民党総裁選への立候補を正式表明した安倍晋三首相は、自衛隊を明記する九条改憲を公約して圧勝し、改憲論議を加速させる戦略を描く。しかし、共同通信社が二十五、二十六両日に行った世論調査では、新総裁に期待する政策で「憲法改正」は八位。改憲を急ぐ首相の姿勢が、国民世論とかい離している実態が明確になった。(金杉貴雄)
 
 首相は二十六日、鹿児島市での講演で「いよいよ憲法改正に取り組むときが来た」と強調。多くの憲法学者が自衛隊を違憲とする現状は自衛官に気の毒という理屈を話した上で、「違憲論争に終止符を打つことこそ自民党、政治家の責務だ」と訴えた。
 首相は総裁選で圧勝すれば、戦力不保持を定めた九条二項を維持した上で自衛隊を明記する自民党の改憲条文案を軸に、他の改憲勢力と協議。秋の臨時国会にも「改憲原案」を提出し、衆参両院本会議で三分の二以上の賛成を得て「改憲案」を発議する考え。来年中にも国民投票を実施し、二〇二〇年に新憲法を施行させるスケジュールを描く。
 二項削除を持論としつつ、九条改憲は熟議が必要とする石破茂元幹事長とは優先度が大きく異なる。
 
 だが、共同通信社世論調査で、新総裁に期待する政策(二つまで回答可)の一位は「景気や雇用など経済政策」(38・6%)。二位は「年金、医療、介護」(36・4%)、三位は「子育て・少子化対策」(25・5%)と、生活に密着した課題に力を注いでほしいという国民意識がはっきり出た。
 「憲法改正」との回答は、九つの具体的な選択肢のうち八位で、わずか7・4%。七月の前回調査でも八位で、関心の低さは明らかだ。
 
 首相が次の国会に自民党の改憲案を提出する意向を示したことについても、反対が賛成を大きく上回った。期限を区切って改憲を急ぐ首相の姿勢に疑問符を突き付けたかたちだ。
 一方、「誰が総裁にふさわしいと思うか」との設問で、首相と回答したのは36・3%、石破氏は31・3%。首相が上回っているが、国会議員票の七割超を首相が押さえたとされる自民党内の状況ほど差はついていない。
 
 
安倍首相の改憲発言に不快感=自民・船田氏
時事通信 2018年8月24日
 自民党の船田元憲法改正推進本部長代行は24日のTBS番組の収録で、安倍晋三首相が秋の臨時国会に党改憲案を提出する意向を示したことに関し、「行政の長が憲法改正についてものを言うのは、あまり望ましいこととは思わない」と不快感を示した。
 
 船田氏は、過去に首相の改憲発言があるたびに憲法審査会の議論が滞ったと指摘し、「首相と党総裁は同じ人物で、時々その使い分けもするが、憲法については(使い分けは)あまり成り立たない」と語った。