湯沢町の一大イベントである平和の祭典・「FUJI ROCK FESTIVAL」を日刊ゲンダイが取り上げました。
21回目の今年も全国から12万5000人が集まりました。15年ぶりに訪れた日刊ゲンダイの記者が一番驚いたのは中高年の祭典に変わっていたということです。観客は殆どが30代以上で、50代、60代の白髪交じりのおひとり様男子も目立ち、ごくごく普通のサラリーマンタイプの人たちの、至極 平和な風景であったということです。
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若者が敬遠か フジロックは“おひとりさま”中高年の祭典に
日刊ゲンダイ 2017年8月5日
夏フェスの元祖「FUJI ROCK FESTIVAL2017」が7月28~30日に開催された。音楽とエコをコンセプトに富士山のふもとで始まった夏フェスも今年で21回目。来場者数は12万5000人、ロックな若者が集いエネルギーを爆発、発散させる祭典のはずが、現場は“おひとりさま”中高年の坩堝と化していた。
その昔、日刊ゲンダイ記者が初めてフジロックに行ったのは02年。当時は、音楽、アパレル、美容業界など“おしゃれ職業”の若者が集結。ヒッピールック、カラフルなタトゥーの人も多く、どんな音楽が好きなのか一目でわかったものだ。
今回、何より驚いたのは、中高年の多さだ。見る限り観客は30代以上。50代、60代の白髪まじりの“おひとりさま男子”も目立つ。特に元ロック野郎だったタイプでもなさそうな、ごくごく普通のサラリーマンタイプ。至極、平和な風景である。
■遠い、高いで20代は敬遠
若者がいないのは金銭的な壁も大きいという。
「友達を誘ったら、高いし、苗場の山を歩くのは疲れるからって断られてひとりで来ました」(26歳会社員)
チケットは1日券で2万円弱(3日通し券4万3000円)、交通費、食費、宿泊費をあわせて単身者の家賃1カ月分は確かに痛い。
服装はツバ付き帽子にハーフパンツ、足元はロング長靴の「フェスルック」が定番化。ひとり客が増えるなどフェスのハードルを低くしたのはSNSの影響が大きい。
「松居一代さんじゃないですけど、SNS上に“家族”がいますから。ツイッターでつぶやけば、同じ会場にいる人とも共感できるし、自分と同じレベルで音楽を楽しめる人がいる。誰かと一緒に行動して譲り合うストレスもないから、かえって楽です」(56歳会社員)
楽しみ方も多様化し、現地は“ひとり上手”であふれていた。
■トイレ2時間待ち時代も今は昔、インフラ整備は充実
会場入り口にはセブン銀行のATMが臨時出店、ヤマトの臨時営業所もあり、昨年からは屋台で電子マネーが使えるようになるなど、インフラ整備も充実。悪夢のトイレ2時間待ち時代から比べるとかなり快適にバージョンアップしている。屋台はバリエーションに富んだメニューが並び、味、量ともに満足のいくものばかり。人気店になると、この3日間で1000万円以上の売り上げなのだそう。
「新規出店は結構大変です。実店舗営業が条件で、1次は書類審査、2次は店舗視察に来ます。詳しくは明かしませんが、既存メニューと差別化できるか、メニュー自体の味と量、スタッフの人間性、資力といったところを審査しているんじゃないでしょうか。仕入れは現地指定業者に現金決済です。電子マネーの活用で現金が入らず、途中で仕入れがストップした屋台もありました。天気に左右され、赤字覚悟ですが、知名度向上とスタッフのモチベーションアップ、何より自分がフジロックが好きだから出店しています」(41歳・出店者)
スキー人気は下火の苗場だが、この期間だけは宿泊料金も高騰。古い旅館が1泊2万円以上なんてケースもザラ。これも地方復興のひとつの形かもしれない。
2日目の小沢健二は久々のライブということもあり入場規制がかかるほどの人気。3日目のメーンステージでは、元ジュディマリのYUKI、JET、ビョークが出演。JETではその世代の“おひとりさまオジサン”があちこちで跳ねていた光景がどこかほほえましくもシュールであった。