2017年8月26日土曜日

国民の生活が第一の最重要政策は「消費税減税」

 植草一秀氏が、安倍内閣を巡る現状と民進党の代表選をはじめとする野党の問題点を分析しました。
 そのうえで安倍政権が目指している経済政策の5本柱を全面的に転覆させる必要があるとして、いずれ行われる総選挙では分かりやすく「消費税廃止」の方針を提示するべきであると提案しました。

 ちなみに安倍政権の経済政策の5本柱の全面的に転覆させるためには下記の主張をしています。
1.既存農業を守ること
2.公的保険医療制度を守ること
3.労働者の処遇と身分保障を守ること
4.消費税を廃止して「能力に応じた課税」を強化すること
5.特区制度を全面的に廃止すること

 ブログ:「植草一秀の知られざる真実」の記事を紹介します。
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国民の生活が第一の最重要政策は消費税減税
植草一秀の「知られざる真実」2017年8月24日 
(阿修羅 24.Aug 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks より転載)

「安倍政治を許さない!」と考える主権者は多数存在する。内閣支持率にもはっきりと表れているが、安倍内閣を支持する主権者よりも支持しない主権者のほうが多い。安倍内閣は支持されていないのだ。
その理由を考えてみる。
第一の理由は「首相の人柄が信用できないから」である。政治家としてこれは致命的だ。
安倍首相は「信なくば立たず」などの言葉を使うことがあるが、意味を知って使っているのだろうか。
安倍首相はLeaderではなくReaderであるから、官僚が書いた原稿をただ読んだだけなのかも知れない。
主権者国民からの信頼を失っているのだから、身を引くしかないのではないか。

信を失っている理由は、安倍首相自身にある。森友学園では前理事長の籠池泰典氏夫妻が逮捕、勾留されている。逮捕が繰り返され、勾留期間だけで40日を超えることになる。
権力に歯向かったからという、ただそれだけの理由で、「妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。」「私の考え方に非常に共鳴している方」だと国会で明言した、その「教育に対する熱意がすばらしい」とした「森友学園の先生」である籠池氏夫妻を拷問にかけている。

その一方で、主権者国民の大半が、疑惑解明のために必要不可欠だと考える安倍首相夫人である安倍昭恵氏に、公の場での説明をさせていない。安倍昭恵子に公の場での説明意思がまったくないというよりも、昭恵夫人が公の場で説明すれば、安倍首相に都合の悪い内容が昭恵夫人の口から発せられるのを恐れて、安倍首相が昭恵夫人の公の場での説明機会を封殺しているのだと推察される。
「正々堂々」の真反対の「卑劣で姑息」な対応を示す首相である。

安倍首相は国会答弁で、
「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。
もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」
「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、」
「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」
と明言しているのだ。

ところが、その後に明らかになった事実は、安倍昭恵氏が、森友学園が取得した国有地の払い下げに深く、直接的に関わっていたというものである。
安倍昭恵夫人の秘書役を務めていた公務員の谷査恵子氏が安倍昭恵氏から指示されて財務省と折衝し、その結果、国有地がタダ同然の価格で払い下げられたことが明らかになっている。
判明しない詳細があるが、疑惑を晴らすには、安倍昭恵氏がウソをつくことのできない「証人喚問」で証言するしかない。圧倒的多数の主権者国民がそう考えている。それにもかかわらず、安倍首相は「逃げの一手」にひた走っている。

これは加計疑惑にもそのままあてはまる。
疑惑を晴らすには、まずは、加計孝太郎氏の証人喚問が必要である。しかし、これまた、安倍首相が拒絶し続けているのだ。主権者国民はこの問題をあいまいなまま水に流してはならない
重大で深刻な政治腐敗問題であり、安倍首相自身が進退を口にした問題である以上、真相を解明するために絶対に必要なプロセスを省いてはならないのだ。
国会は安倍政権与党が多数を握って、疑惑隠し、真相究明妨害を続けているが、それを容認するなら国会の存在意義が否定される。

最大の責務を負っているのは野党である。野党が徹底抗戦するしかない。
しかし、通常国会では野党の対応がゆる過ぎた。野党が、安倍昭恵氏の参考人招致、証人喚問の実現までは、いかなる国会審議にも応じないとの断固たる姿勢を貫いていれば、安倍昭恵氏の国会招致は実現していたはずだ。
野党の審議拒否戦術の是非は、主権者の判断によって決定される。主権者が野党の断固たる行動を是とするなら、与党が審議を強行すれば、批判は与党に向かう。野党の決然たる判断、決然たる行動が強く求められた。

しかし、そのような対応は取られなかった。野党第一党の民進党が毅然とした行動を取らなかったのだ。この「鵺(ぬえ)」のような民進党の存在が、安倍暴政を支える最大の柱になってきた事実を、私たちは確認しておかねばならない。
その民進党が代表戦を実施しているが、この代表戦で明らかになっていることは、民進党のなかに二つの政党が同居しているという事実だ。
原発・憲法・消費税に対する基本政策方針がまったく違う。その結果として、次の衆院選に向けての野党共闘についての基本方針がまったく違う。
この二つは、まったく異なる政治路線、政策路線であり、融合の余地がない
この二つの異なる政治勢力の存在が明らかになった以上、前原氏と枝野氏が責任ある政治家を自負するのなら、民進党の解党・分党・分離を決断するべきだ。

この相違を明らかにしておいて、代表戦が終了したら、またひとつの政党として行動するというのは、有権者に対する背信である。
はっきりしていることは、日本支配を維持しようとしている支配者勢力=米官業の既得権益勢力が、自公と第二自公による二大政党体制の構築を目指しているということだ。
小池国政新党勢力と連携して、自公に対抗し得る政治勢力を結集しようとする動きは、この謀略工作の基本方針に沿うものである。

「安倍政治を許さない!」と考える主権者は、小池国政新党と連携する勢力を支持することは絶対にできないはずだ。それは、原発・憲法・消費税 の三つの基本政策課題に対するスタンスを見ても分かる。
政治を考える第一の視点は、「誰のための政治か」である。
「安倍政治を許さない!」最大の理由は、安倍政治が「主権者国民のための政治」ではなく、「世界を支配する巨大資本のための政治」、そして「自分の利益のための政治」になっていることなのだ。「ハゲタカファースト」「自分ファースト」が安倍政治の本質である。
これが「安倍政治を許さない!」最大の理由なのである。
そして、小池百合子氏が提示する政治の基本構図もまた、「ハゲタカファースト」である。決して「都民ファースト」ではない

小沢一郎氏が「国民の生活が第一」の方針を掲げた。いま何よりも求められているのは、この「国民の生活が第一」の方針、路線である。
「国民の生活が第一」の視点で考えれば、何よりも重要な政策課題は経済政策ということになる。この経済政策において、安倍政権が推進してきた政策が、全体として完全に間違っていた。これが最重要の問題である。
メディアが「アベノミクス」を絶賛したために、安倍政権の経済政策が正しく評価されてこなかったが、安倍政権の経済政策の基本こそ、「ハゲタカファースト」なのだ。

安倍政権の経済政策の柱は五つある。
1.農業の自由化
2.医療の自由化
3.労働コストの最小化
4.法人税減税
5.特区の創設
である。

農業自由化は日本農業をハゲタカ資本に全面収奪させるための政策である。このことによって、日本の食糧自給はさらに悪化し、食の安全・安心が破壊される。地産地消が崩壊し、地域の共同体社会も破壊される。
医療の自由化は、国民医療の世界を完全な「弱肉強食」の世界に変質させることを意味している。
そして、アベノミクスの核心が労働規制の撤廃である。これは、資本が労働力を最小コストで、いつでも完全に使い捨てできるように制度を改変しようとするものである。
そして、税制においては、富裕層の所得税と大資本の所得税を軽減し、国家運営の費用を一般大衆に全面的に押し付けようとするものである。その具体策が所得税・法人税減税と消費税増税である。
そして、特区創設は、一部のインナーサークルの者が国家制度による利権を独占するためのものである。加計疑惑はその大きな氷山の一角に過ぎない。

この経済政策を全面的に転覆させる必要がある。それは、
1.既存農業を守ること
2.公的保険医療制度を守ること
3.労働者の処遇と身分保障を守ること
4.消費税を廃止して「能力に応じた課税」を強化すること
5.特区制度を全面的に廃止すること
である。

選挙の争点として、分かりやすく「消費税廃止」の方針を提示するべきであると考える。
「小池国政新党」が選挙目当てに「消費税減税」を掲げる可能性があるが、政策路線全体との整合性にかける主張は、厳しく論難しなければならない。
「鵺(ぬえ)」の民進党に振り回されることなく、主権者が「政策連合」を創設して、安倍政治に対峙する政治勢力と主権者の大連帯を構築することを急がねばならない。