自民党の長島忠美衆院議員が18日に急逝し、衆院新潟5区の補欠選挙は10月22日投開票の青森4区、愛媛3区と同時期のトリプル補選となりました。
安倍内閣は7月に支持率が急落し、8月初めの内閣改造で若干は戻したものの、「不支持率>支持率」の関係は変わらずに、もはや「安倍一強」という形容詞は聞かれなくなりました。
衆院補選も青森4区と愛媛3区の二つのときは、自民党としては、野党が愛媛で勝利しても青森では自民が勝利するので何とか体面が保てると踏んでいたのですが、新潟5区の補選が加わったことで自民党の1勝2敗の可能性が出てきて状況が一変しました。そうなると唯さえ自民党議員の中で不信が募っている内閣が持たないというわけです。
そこで「トリプル補選の負け越しを糊塗し、森友・加計の疑惑をリセットするために」、以前から言われていた10月22日に解散総選挙をぶつけてくる可能性が高まるのですが、その場合も、大半の議員は「新しい選挙の顔」で戦いたいのが本音なので簡単にはいかないということです。
いずれにしても国民の支持を失い、党内でも不信の念が強まっている状況の中では、上手く しのぐ方法はないということです。是非そういう状況に追い込みたいものです。。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10月トリプル補選 自民負け越し濃厚で“安倍降ろし”に号砲
日刊ゲンダイ 2017年8月22日
自民党内がザワつき始めた。脳卒中で入院していた自民党の長島忠美衆院議員が18日に急逝。これによって、衆院新潟5区の補欠選挙が10月10日告示、同22日投開票の青森4区、愛媛3区の両補選と同時に実施されることになったためだ。
今年3月の自民党大会で、党総裁任期を「連続3期9年」に延長することが正式に決まってから初めての国政選挙は、与野党対決型の「トリプル補選」だ。いずれも自民党議員の死去に伴うもので、自民党内からは「ひとつも落とせない」という声が上がる。自民党の中堅議員が言う。
「青森と愛媛のダブル補選が決まった段階で、10月の補選が安倍総理の総裁3選を占う試金石になるとみられていました。都議選の惨敗に続き、国政選挙でも負ければ、一気に安倍降ろしが始まる。ただし、青森は勝てそうだといわれていて、1勝1敗なら、しばらく安倍総理のままで様子見が続くとの見立てもありました。しかし、トリプルになったことで状況は一変した。愛媛と新潟で2敗する可能性が濃厚なのです。補選で負け越せば、もう党内は持ちません」
青森だって、どうなるか分からない。昨年の参院選でも、青森選挙区は野党統一候補が勝利した。
「世論調査の内閣支持率は、依然として不支持率の方が高い。しかも、不支持の理由は『首相を信用できない』が増え続けています。支持者から『安倍さんはダメだ』などと厳しい言葉を投げかけられるたび、次の選挙が不安になるとボヤいている自民党議員は少なくない。森友問題で『記録はない』と言い張って安倍首相を守った佐川理財局長が国税庁長官に昇進した論功行賞人事にも、有権者の批判が集まっています。安倍首相のままでは、とても選挙を戦えないというのが現場のホンネなのです」(政治ジャーナリストの山田厚俊氏)
■ポスト安倍をにらんだ派閥の“票読み”も
石破元幹事長も19日のTBSの番組収録で、佐川長官が就任会見を開かないことを批判した。
「地方で話を聞くと『税金を払いたくない』という人が出てきた」というのだ。
多くの自民党議員が逆風を肌で感じている。来月召集される予定の臨時国会で森友・加計問題が再燃すれば、補選3敗もあり得る。そうなれば即、安倍降ろしだ。
「トリプル補選の負け越しを糊塗し、森友・加計の疑惑をリセットするために、10月22日に解散総選挙をぶつけてくる可能性も高まっています。ただ、その場合も安倍首相で選挙をやりたいと考えている自民党議員は少数派でしょう。大半は新しい選挙の顔で戦いたいと考えているはずです。くすぶっている森友・加計疑惑は首相自身が招いた問題なのに、国民への丁寧な説明を拒み、強引に幕引きしようとすれば、さすがに党内も『冗談じゃない』と騒ぎ出す。補選を待たずに安倍降ろしが始まってもおかしくありません」(山田厚俊氏)
早くも水面下では、ポスト安倍首相をめぐる派閥の駆け引きが激しくなっているという。
「石破氏につくか、岸田氏につくか、派閥単位の票読みも始まった。世論調査で『次期首相にふさわしい政治家』のトップに石破氏が選ばれたことで、二階派と額賀派が石破氏につくんじゃないかといわれています。選挙の顔を選ぶわけだから、人気が高いことが第一条件です」(自民党関係者)
“安倍1強”が続いてきたのも、選挙に勝てると思えばこそ。負けが見えれば、あっという間にお払い箱だ。補選までの2カ月間で何が起きてもおかしくない。