安倍首相の人間性への批判が根源にある支持率の低下は、首相が猫撫で声を出したくらいではどうにもならないことが24・25日の閉会中審査で証明されました。それでは3日に迫った内閣改造で果たして支持率の回復が図られるかですが、そんな風に見ているメディアもいません。
今度の内閣改造は「これ以上、支持率が下がらないための安定感」を打ち出すことが最大の眼目で、そのためには「党内の“反乱分子”を封じ込める」ことを兼ねて、閣僚経験者が多く登用されると見られています。
安倍首相は岸田外相をまず取り込み、野田聖子氏の登用や石破茂氏の取り込みを検討すると共に、人気浮揚のためにがんを抱えながらがん患者たちのために奮闘している三原じゅん子氏の登用も検討していると言われています。
しかしそんなことよりも、国民の70%が反対している性急な「憲法改正」を引っ込めて、庶民のための地道な政治に励むことこそが何よりも肝心な筈ですが、そういう構想は残念ながら伝わってきません。
日刊ゲンダイは今度の内閣改造は「苦境のにじみ出る陣容」になるという見方を示しています。
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安定感重視は表向き 8・3改造“ベテラン起用”本当の狙い
日刊ゲンダイ 2017年7月31日
稲田前防衛相の辞任でますますボロボロの安倍政権。8月3日に迫った内閣改造は苦境がにじみ出る陣容となりそうだ。森友・加計疑惑によるイメージダウンからの局面打開とされた当初の目的はすっかり吹っ飛び、今や「これ以上、支持率が下がらないための安定感」を重視。そのため、閣僚経験者が多めに登用されそうなのだ。
「稲田さんを筆頭に金田法相もそうですが、『シロウト大臣ではダメだ』というのが厳しい世論の見方です。それを払拭するためには、経験者にやってもらうのが一番いい。もっとも、それは表向きの理由で、ベテラン起用の本当の狙いは、党内の“反乱分子”の封じ込めのようです」(自民党関係者)
安倍首相は「ポスト安倍」のひとり、岸田外相を早々に取り込んだ。2人きりで会談し、留任や閣内横滑り、もしくは党三役就任で話がついたとされる。岸田派の議員をポストに就けるなどの要望も聞き入れるとみられる。
問題は「ポスト安倍」のもうひとり、石破茂氏だ。安倍首相は政権批判を強めている石破氏を何としても取り込みたいと考えているらしい。
「入閣要請を受けたら、石破さんに『次』の目はなくなる。しかし、安倍首相から『党再生のために頼む』などと言われたら、もともと『党人派』の石破さんのことですから、断りにくいでしょう。断ったら、党員からも『党の危機に石破は自分のことしか考えていない』と批判されかねませんしね。外相や防衛相などの重要ポストを打診されたら、受けてしまいかねません」(石破氏に近い自民党議員)
反乱分子としては他に、野田聖子氏や中谷元氏の入閣も検討されているという。女性の適任者がいないとされる中で、野田氏ならちょうどいいというわけだ。
「とにかく今回の改造は、挙党体制の演出がカギになってきている。各派閥にも最大限の配慮をして、派閥推薦の入閣待機組も受け入れざるを得なくなるんじゃないか」(前出の自民党関係者)
封じ込め作戦は成功するのかどうか。“天敵”取り込みに失敗すれば、安倍首相はますます追い詰められることになる。