2017年8月27日日曜日

自民党内に別の「反乱軍」も結成

 もはや「安倍一強」は遠い昔の話になりました。
 25日、安倍政権の惨状に危機感を抱く自民党議員30人(秘書の代理出席を入れると40人という説も)が集まり、「日本の明日を創る会仮称)」が発足しました。平沢勝栄氏や後藤田正純氏などが呼びかけ人です。

 5月16日には、村上誠一郎議員や野田毅議員など安倍首相に批判的なスタンスをとる実力派の議員が中心となった勉強会が、国会議員約60人の規模で発足しています。

 今回のメンバーは5月に発足したメンバーとは重なっておらず、彼らのベストシナリオは9月25日の臨時国会前に安倍首相を辞めさせ、新しい総理総裁の手で解散・総選挙をすることで、自民党内の倒閣運動は燎原の火のごとく広がりつつあるということです。

 日刊ゲンダイと田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
 また5月16日の田中龍作ジャーナルの記事も併せて紹介します。
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反乱軍に狼狽 安倍首相“925電撃解散”でモリ・カケ封じ
 日刊ゲンダイ 2017年8月27日
「安倍1強」が音を立てて崩れはじめている。とうとう、自民党内から安倍首相を公然と批判する動きが出てきた。安倍首相に不満を強める中堅議員30人が「反アベ」の議員連盟を結成したのだ。安倍降ろしが加速するのは間違いない。

 自民党の中堅議員30人が結成したのは、「日本の明日を創る会」と称する議員連盟。25日、初会合を開き、初日は約20人が出席した。
 メンバーには平沢勝栄氏(⑦)、山本拓氏(⑦)、後藤田正純氏(⑥)、渡辺博道氏(⑥)、桜田義孝氏(⑥)……と、当選を重ねながら一度も大臣になれない「入閣待望組」がズラリと並んでいる。8月3日に行われた内閣改造の時も、大臣になることを切望していたが相手にもされなかった。安倍首相を恨んでいる面々である。

 初会合から「与党だからといって首相に白紙委任状は出せない」「自由闊達な党内議論が失われている」「この勉強会がモノを言う場になればいい」「地元では凄まじい逆風が吹いている」と、安倍首相への批判が吹き荒れた。これから、2週間に1回、有識者を招いて安倍政権に対する苦言を聴いていくという。「反アベ」の受け皿になっていく可能性が高い。安倍1強が盤石だった頃には、考えられなかったことだ。
「議連に集まったメンバーの多くは、『国民から嫌われた安倍首相では選挙に勝てない』『自分たちも落選してしまう』と本気で危機感を強めています。実際、首都圏出身の議員が多いだけに、小池新党が国政に進出したらことごとく落ちてしまうでしょう。彼らのベストシナリオは、9月25日に臨時国会が開く前に安倍首相を辞めさせ、新しい総理総裁の手で、小池新党の選挙準備が整う前に解散・総選挙をすることです」(自民党事情通)

■乾坤一擲のワンチャンス
 党内に「反アベ」集団が結成されたことで、安倍首相が慌てているのは間違いない。ただでさえ、9月25日からスタートする臨時国会では、安倍首相は火ダルマになる可能性が高い。「加計疑惑」も、「森友疑惑」も、次々に新しい疑惑が飛び出しているからだ。建設中の加計学園獣医学部の「建築図面」が流出し、校舎の最上階にワインセラーつきの宴会場を造っていることも発覚した。野党が攻め立てるのは確実である。国会がはじまったら安倍首相の支持率は、さらに下落していくに違いない。
 もし、10月22日に行われる青森、新潟、愛媛の「トリプル補選」で負け越したら、安倍首相は“電撃辞任”に追い込まれてもおかしくない。実際のところ、トリプル補選で3敗する可能性もゼロじゃない。

 安倍首相の周辺がこう言う。
「安倍首相にとって乾坤一擲のワンチャンスは、9月25日に開く臨時国会の冒頭解散です。解散してしまえば、国会で加計疑惑や森友疑惑を追及されることもない。9・25解散なら10・22総選挙となり、トリプル補選も総選挙に吸収されます。モリ・カケもリセットできる。国会で野党に攻められ、党内の反アベ勢力から批判されることを考えたら思い切って解散した方がいい。ただ、27日の茨城県知事選で敗北し、支持率がさらにダウンしたら解散する力もなくなるでしょう」
 安倍首相の終わりが近づいている。


自民党内、また「反安倍の会」 平沢、後藤田議員らが呼びかけ
田中龍作ジャーナル 2017年8月25日
 自民党内の倒閣運動は、燎原の火のごとく広がりつつある。安倍政権の惨状に危機感を抱く自民党議員40人(代理の秘書含む)が、反アベ勉強会をきょう発足させた。名称(仮称)は「日本の明日を創る会」。
 呼びかけ人には、家庭教師として幼少期からのアベシンゾーをよく知る平沢勝栄氏や月刊誌などで首相を公然と批判する後藤田正純氏が名を連ねる。
 すでに国会議員60人超で発足した「村上・野田勉強会」とはメンバーも趣も違う。同勉強会は安倍政権の経済政策を検証する集まりだ。

 今日発足した「創る会」は安倍政治を批判し、自民党をどう立て直すかに重点が置かれる。
 単純に言えば、水面上で「反アベ」の声をあげる自民党議員は100人を超えたということだ。(党内3分の2は面従腹背で「反アベ」と言われる)

 講師として呼ばれた政治評論家の森田実氏は次のように語った
 「深刻だと思うのが内閣を支持できない理由の第1位が「総理が信頼できないから」で66%を占める。これは経験がない。解散総選挙の道しかない。来年12月まで待ったら、深刻な事態を自民党にもたらす」。

 後藤田議員は舌鋒も鋭くまくしたてた
「安倍一強って3権分立ではないじゃない? と子供に問われても説明できない」
「(アベノミクスは)いつまで道半ばなのか?」
「あれだけ騒がした人間がまた役員に就いたりしている。何やってんだ?」
「『こんな人たち』と言った時、どうして『総理、それはおかしいじゃないですか?』と言わなかったのか」― 後藤田議員の安倍批判はいずれも まっとう だった。

 森田氏は「(官邸からの)報復を恐れず・・・加計を白紙に戻すべき、と言える議員が自民党に一人位いてほしい」と苦言を呈した。「安倍さんの失敗を安倍さんで取り戻すのは不可能。総選挙を打って(負けても)過半数を取れればいい」とも指摘した。
 森田氏が解散を勧めるのに対して、発起人の一人である竹本直一議員は「今の体力では(選挙結果は)恐ろしいことになる」との認識を示した。
 解散のカギを握るのは加計疑惑だ。獣医学部を認可すれば、安倍政権は世論の袋叩きに遭うだろう。かといって認可しなければ、「腹心の友」が経営する加計学園は倒産する。
 大学設置審の答申予定である10月に「やぶれかぶれ解散」。それが日増しに現実味を帯びてきた。
〜終わり~

アベ倒閣勢力発足 「加計学園問題」に業煮やす村上議員が中心
田中龍作ジャーナル 2017年5月16日
 自民党内の反安倍勢力が「水面上」に出てきた
 村上誠一郎議員や野田毅議員など安倍首相に批判的なスタンスをとる実力派のベテラン議員が中心となった勉強会が、きょう、発足した。国会議員約60人が参加した。

 村上誠一郎議員(愛媛2区)は、お膝元の今治市を揺さぶる「加計学園問題」を腹に据えかねていることで知られる。学園の加計孝太郎理事長は安倍首相のお友達中のお友達だ。
 自民党内最リベラルだった三木派の大番頭・河本敏夫の秘書を経て1986年、衆院選に初当選。現在、10期目のベテラン議員である。
 村上議員は自らのDNAにかけて反安倍の狼煙を上げたともいえる。
 勉強会の会長を務める野田毅・税制調査会最高顧問は、安倍政権の消費税増税先送りを批判したことから、2014年末の衆院選で党公認を外されかけた。

 きょうの勉強会のテーマは「日本財政の現状と展望」。アベノミクスの名称こそ出てこないが、安倍政権の経済政策に警鐘を鳴らすものだ。
 村上議員はあいさつで、国の借金対GDP比を挙げ、「日本国家は国民の資産を守る気があるのか」と疑問を呈した。
 野田毅・税制会最高顧問は「少なくとも今の状況が続けば財政破綻。どういうことに繋がっているのか、足音が聞こえてきている」と危機感を示した。

 自民党内は派閥再編の波風が立ち始めた。きっかけは党内議論を経ないまま安倍首相が読売新聞に発表した改憲案である。
 谷垣派、麻生派、山東派のうち60人が合流して新派閥を作る。これに額賀派(55人)、岸田派(46人)が力を貸せば、総裁派閥である細田派(96人)を凌駕することができる。倒閣は可能となるのだ。

 「タガが緩み始めたってこっちゃ」― 幹事長などを歴任し、自民党の事情をよく知る小沢一郎・自由党代表は指摘した。
 まともな生活を取り戻すには、民進党をアテにするより、自民党内の「非アベ」を頼りにするしかない。
~終わり~