2017年8月11日金曜日

米国に北朝鮮を攻撃させないことこそが必要

 「自分たちは核兵器を持ってよいが、別の国が持つことは許されない。自分たちはICBMを持ってよいが、別の国が持つことは許されない。なぜなら国連でそう決めたから」 ― というのが北朝鮮に対して多くの国が持っている意識ですが、どう考えても筋が通りません。
 北朝鮮がそれらを保有しようとしているのは他の国を攻撃するためではなく、その能力を持っことで自国への攻撃を阻止しようとするものです。確かに北朝鮮は非道・無慈悲な独裁者に統治されていますが、そうであっても「自国を防衛する権利」は認められるべきです。

 安倍首相は北朝鮮の核やミサイルの脅威を煽ってやみませんが、それが先制攻撃を前提にしたものであれば的外れです。本当にそうした脅威があるのであれば、日本がやるべきことは「物陰に隠れる訓練」などではなく、全ての原発を即刻停止し原子炉や燃料プールに保管されている核燃料を全て撤去することです。しかし不思議なことに安倍政権にはそうした対策を行おうとはしません。安倍首相が北朝鮮の脅威を煽るのは、それによって軍備を拡充させようという意図からだと見られている所以です。

 しかしもしもアメリカから北朝鮮に対して攻撃があれば、ソウルが火の海になるのと同じように日本にも無数のミサイルが飛来します(北朝鮮は日本を射程に収めるノドンを300基保有)。そのときにこそミサイルの脅威は現実の問題になり、国土のかなりの部分が放射能で汚染されます。文字通り国家存立の危機です。
 韓国政府はソウルが火の海になる事態を避けるために、不用意に北朝鮮を攻撃しないようにアメリカに対して厳重に申し入れています。しかし同じ状況にある日本の安倍政権がそういうことをアメリカに申し入れたという話は聞きません。

 天木直人氏のブログ:「何があっても米国に北朝鮮を攻撃させないという気迫ある外交」を紹介します。
 そして同氏の「江崎大臣の日米地位協定見直し発言を批判する愚」と題したブログも併せて紹介します。こちらは江崎沖縄担当大臣が、「日米地位協定をもう少し見直さないといけない、私はそういった気持ちを持っている」と記者会見で発言したのを、野党もメディアもあたかも失言だと騒ぎてて安倍攻撃に使っているのは愚かなことだ・・・というもので極めて尤もな指摘です。
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何があっても米国に北朝鮮を攻撃させないという気迫ある外交
天木直人のブログ 2017-08-10
 トランプ大統領が北朝鮮に対し、「炎と怒りに直面する」と警告を発したらしい。
 これを報じるきょう8月10日の読売がこう書いていた。
 「・・・日本や韓国政府がもっとも危惧するのは、北朝鮮のさらなる挑発行為があった場合、トランプ氏が関係国との事前協議や長期的な展望もなく指示する事態だ・・・」
 なんという緊張感のない記事だろう。
 韓国政府の事は韓国民に任せればいい。
 しかし、少なくとも日本の首相は、何があっても米国は北朝鮮を攻撃してはならない、タダの一人も日本国民を米朝戦争の巻き添えにはさせない、そういって、国交断絶も辞さないほどの気迫ある外交を国民の前で見せるべきだ。

 おなじくトランプ大統領の発言を報じるきょうの毎日はこう書いている。
 「・・・日本政府は『どちらかが先制攻撃に踏み切るような状況ではない』と冷静に受け止めている。ティラーソン国務長官やマティス国防長官ら他の閣僚の言動も踏まえ、米国の出方を注視している・・・」
 なんという受け身で智恵のない日本政府の対応だろう。
河野外相や小野寺防衛相は、いますぐそれぞれティラーソン国務長官やマティス国防長官と連絡をとって、何があってもトランプ大統領に戦争させてはいけないと、迫るべきだ。
 
 果たして、きょうの日報問題に関する閉会中審査で、何があっても米国に北朝鮮を攻撃させてはいけないという気迫ある外交を求める政治家が現れるろうか。
 新党憲法9条が日本の政治の中に存在しているなら日本政府に激しく迫る。
 いまこそ日米同盟の出番だと。
 憲法9条を持つ日本こそ、世界の見ている前で、米国に北朝鮮への攻撃阻止を求めるべきだと。
 まさしくそれが同盟国としての存在価値を見せることだと。
 はたしてきょうの国会で、この国の政治家たちは目の前の北朝鮮有事の危機をどう論じるのだろうか(了)


江崎大臣の日米地位協定見直し発言を批判する愚
天木直人のブログ 2017-08-10
 江崎沖縄北方領土担当大臣が、「日米地位協定をもう少し見直さないといけない、私はそういった気持ちを持っている」と記者会見で発言した。
 就任したばかりの、しかも基地問題を抱える沖縄を担当する現職閣僚が、ここまではっきりと日米地位協定の見直し発言をしたのは驚くべきことだ。
 しかし、野党もメディアも、あたかも発言を失言と騒ぎてて安倍攻撃に使っている。
 これほど愚かなことはない。
 もし野党やメディアが安倍首相を追いつめたいのなら、この江崎大臣の失言を褒め殺すべきなのだ。
 よくぞ言ってくれたと。
 まさしくこの発言は沖縄や日本国民の正直な思いだと。
 任命した担当相がここまで発言したのだから、今度こそ安倍首相は本気で日米地位協定に取り組むべきだと。
 そう言って安倍首相に迫るべきなのである。

 この失言に一番驚いたのは安倍首相であり在日米軍だろう。
 江崎大臣の更迭を求めるのは米国であり、できるものなら江崎大臣を更迭したいと真っ先に思ったのは安倍首相だろう。
 安倍首相はしたくても出来ないのだ。
 上がったばかりの支持率がまた下がるからだ。
 ひょっとして、江崎大臣は二階幹事長が送り込んだ安倍政権の刺客ではないのか。
 そんなことはない。
 この発言は正直者の江崎議員の単なる失言だ。

 しかし、そう思わせるほどの絶妙なタイミングで発せられた、絶妙な失言だったのだ。
 批判するより褒め殺すのだ。
 江崎大臣がここまで仰るのだから、日米地位協定の見直しは待ったなしではないでしょうかと。
 支持率を上げたければいまこそ日米地位協定の見直しをされたらどうかと。
 江崎大臣を批判したり江崎大臣の更迭を求めるのは、野党の戦略としては下の下である(了)