2017年8月30日水曜日

安倍政権に真に対決できる勢力を選挙で勝たせるには(植草一秀氏)

 メディアはかつて維新の会を「第3極」と持ち上げてその躍進を助けました。
 読売、産経、日経などは、今度は自公と「第二自公」による二大政党体制の構築を目指す体制側の意図に迎合し、民進党を「第二自公」創設に誘導すべく代表選で前原氏を支援しているということです。しかしそんな「第二自公」が作られたところで現在の政治は何も改まりません。

 植草一秀氏が、10月22日に衆院選挙が行われる可能性が大きいとして、真に安倍政権に対決する勢力が国会で多数を占めるための候補者擁立の要諦について以下のように語りました。

 何よりも候補者を一人に絞り込む必要があるが、その基軸は言うまでもなく「政策」であり、
1.原発稼動阻止  2.戦争法廃止  3.消費税減税
の三つを公約に明記する候補者を、各選挙区にただ一人擁立することを基準に、それを主権者が主導してやるしかない。
 政党名は問わず、政策を基軸に据える。
 政策を基軸に、党派にかかわりなく、主権者が主導して、一選挙区一候補者の体制を構築する。

 これをやり切れば、総選挙に勝つことが可能になるだろうと述べ、そのためにも民進党が一刻も早く分党して、反安倍政治陣営が連帯、結束できる状況を生み出すことが重要であるとしています
 そしてもしも民進党が相変わらず「鵺(ぬえ)」の存在であり続けるなら、この民進党に見切りをつけて、主権者が主導して野党共闘=反安倍政治陣営の結集を実現しなければならないと述べています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
多選否定茨城知事選誤解で10月総選挙決断か
植草一秀の「知られざる真実」 2017年8月28日
(阿修羅 28th Aug 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks より転載)
8月27日に実施された茨城県知事選挙で、自公が推薦する新人の大井川和彦氏が当選した。
7選を目指した現職の橋本昌氏は落選し、共産党が推薦した鶴田真子美氏も及ばなかった。
橋本氏が落選した主因は主権者の多選批判である。橋本氏はこれまでに6選されている。24年間にわたり県政を支配してきた。多選批判が出るのは当然だ。
全国では橋本氏を含めて4期以上務めている知事が13人いる。このなかで、6期が今回落選した茨城県の橋本昌氏と石川県の谷本正憲知事の2名である。
兵庫県の井戸敏三知事は本年7月2日の選挙で5選された。5選は井戸知事ただ一人である。
これ以外に4選知事が全国に10名いる。

石川県では来年3月までに知事選が実施される。
谷本氏が7選を目指すとすれば、多選批判が沸騰することは間違いない。多選は政治腐敗の土壌になる。
米国大統領にも多選禁止規定がある。大統領は2期8年までしか務められない。
多選を阻止しようとするのは、健全な民主主義社会を構築するうえでの主権者としての当然の行動である。

茨城県では橋本氏の多選批判の世論を自公が吸収してしまったのである。
茨城県知事選では原発再稼動の是非も争点に浮上した。有権者の多数は原発再稼動に反対していると考えられるが、この点よりも「多選阻止」が優先されてしまったのだと言える。

安倍政権が森友疑惑、加計疑惑で、権力私物化、腐敗政治の馬脚を現した。安倍首相は森友疑惑で「自分や妻がかかわっていたら総理大臣も国会議員も辞めることははっきりと申し上げておきたい」と明言している。
森友疑惑は首相退陣に直結する重大事案である。その森友疑惑の核心人物である安倍昭恵氏が、いまだに一切の説明責任を果たしていない。このような無法が許されるわけがない。

他方、国家戦略特区はいかがわしいプロセスで加計学園の獣医学部新設を決めた。安倍首相が深く深く関与していると推察されている。この件に関して安倍首相は「働きかけていたら責任を取る」と国会で明言している。
これも首相退陣に直結する重大事案である。この加計疑惑の核心人物である加計孝太郎氏も一切の説明責任を果たしていない。
そしていま、加計学園に補助金詐取の濃厚な疑惑が浮上している
大阪地検特捜部は森友学園元理事長の籠池泰典氏夫妻を「詐欺罪」で起訴し、現在も勾留を続けている。
これよりもはるかに巨大な不正疑惑が浮上している加計学園に対して、検察当局が適正な捜査を行わないとすれば、この国は完全な暗黒社会に堕しているとしか言いようがなくなる

事態を打開するには、選挙で勝つことが必要不可欠だ。選挙で利権政治を推進する利権複合体勢力を打倒することが必要なのだ。
重要なことが二つある。ひとつは、どのような野党共闘体制を構築するのか。いまひとつは、勝てる候補者を擁立することである。
民進党の代表戦が行われているが、読売、産経、日経が足並みを揃えて前原勝利を誘導している。前原氏は小池国政新党との連携を否定しない一方で、共産党との共闘に慎重な姿勢を示す。
日本を支配する勢力は、自公と第二自公による二大政党体制の構築を目指している。そのために、民進党を第二自公創設に誘導しようとしている。これが、読売、産経、日経が前原支援を行っている背景であると推察される。

しかし、安倍暴政の基本路線を排除して、主権者の意思に沿う政治を実現するには、安倍政治に対峙する勢力が連帯、大同団結するしかない。
自公と第二自公の二大政党体制では政権交代は生じるかも知れないが、政策転換は起こりようがなくなる。したがって、目先の「数合わせ」の発想を脱却して、政策を基軸にした反安倍政治勢力の結集、大同団結を目指さなければならない。民進党を分党し、反安倍政治勢力が共産党を含めて結集して次の衆院総選挙に臨まねばならない。

もうひとつ重要なことは、「勝てる候補者」を擁立することだ。
来年3月にも実施される見通しの石川県知事選では7選の是非が最大の争点になるだろう。
主権者は「多選阻止」正当な判断であると考えている。しかし、対立候補が優れていなければ、「多選阻止」を実現することはできない。「清新な候補者」を擁立することが政治刷新を実現する極めて重要な要因になる。
7月2日の東京都議選、7月23日の仙台市長選で、安倍自公の凋落傾向が鮮明になった。
しかし、7月31日の横浜市長選では野党第一党の民進党の中核が自公と連携する失態を演じた。「民進党の正体見たり市長選」ということになった。

茨城県知事選では選挙戦に突入してから橋本候補が原発再稼動反対の主張を示したが、自公候補と一騎打ちの選挙を行うなら、自公候補と対峙する候補者をただ一人に絞ることが重要だ。
今後、大きな注目を集めることになるのが、10月22日投票が見込まれている宮城県知事選である。現職の村井嘉浩氏が4選を目指すことを表明している。
安倍政権とべったり連携する新自由主義候補の4選を宮城県の主権者が認めるのかどうか。
7月23日の仙台市長選では、反安倍政治陣営が連帯して、この重要な選挙に勝利した。この勝利を誘導した仙台市民が主導して、10月の知事選への対応を協議している。
広く県民の支持を集約できる「勝てる候補」を擁立することが、政治の潮流転換に必要不可欠である。

臨時国会では森友・加計疑惑で、安倍首相が止めを刺される可能性が高い。
このことから、安倍首相が9月下旬に召集するとしている臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切る可能性がある。10月22日に衆院総選挙を挙行してしまうというシナリオだ。
この選挙を乗り切ってしまえば、森友・加計疑惑をうやむやにしてしまうことができると考えている可能性がある。
時間が経過して野党の選挙態勢が整うのを恐れている面もある。茨城県知事選で自公候補が勝利したことも解散戦略を後押しする要因になると考えられる。

早期の衆院総選挙が実施される可能性を念頭に置かねばならない。
衆院総選挙が実施される場合、主権者はどのようにこれに立ち向かうべきか。選挙に勝利するには、主権者の投票を一人の候補者に集中させることが必要不可欠だ。
野党の体制が整わぬなら、主権者が主導して、主権者が支援する候補者を各選挙区にただ一人に絞り込むことが必要である。
候補者を一人に絞り込む基軸は、言うまでもなく「政策」だ。
1.原発稼動阻止
2.戦争法廃止
3.消費税減税
の三つを公約に明記する候補者を、各選挙区にただ一人擁立する。これを主権者が主導してやるしかない。

政党名は問わない。
政策を基軸に据える。
政策を基軸に党派にかかわりなく、主権者が主導して、一選挙区一候補者の体制を構築する。
これをやり切れば、総選挙に勝つことが可能になるだろう。

主権者にとって何よりも重要で、何よりも意味を持つのは政策」であって「政党」ではない。
民進党が一刻も早く分党して、反安倍政治陣営が連帯、結束できる状況を生み出すことが重要である。
しかし、民進党が相変わらず「鵺(ぬえ)」の存在であり続けるなら、この民進党に見切りをつけて、主権者が主導して野党共闘=反安倍政治陣営の結集を実現しなければならない。