2017年8月8日火曜日

加計学園の獣医学部は「石破4条件」を満たさず認定は違法

 文科省の大学設置審議会は、今月末には加計学園の獣医学部についての審査に結論を出すことになっていますが、疑惑まみれのなかですんなり認可するのはさすがに難しいので、認可が1年間延期されるのではないかとの観測もあります1
1 7月31日 加計理事長らが今治市議に1000万円ずつ渡したと
 
 そんな中7日、弁護士や現役の大学教授らで作る「加計学園問題追及法律家ネットワーク」が記者会見を行い、「”石破4条件” が十分満たされていないまま、国家戦略特区の会議で新設が認定されたのは違法」だと述べました。
 また加計学園の加計孝太郎理事長と親密な関係にある安倍首相が諮問会議に出席し、発言していることも審議の中立性を欠いているとし、国家戦略特区として加計学園獣医学部の新設を認めたのは、違法だと指摘しました。

 ちなみに”石破4条件” とは石破地方創生大臣の時2116年)に作られた獣医学部を新設する際の新設学部が具備すべき条件を示した(閣議決定事項)もので、その内容は下記です。
1 現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、
2 ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、
3  既存の大学・学部では対応困難な場合には、
4  近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う

 要するに、近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、既存の獣医学部では対応できない(世界のトップクラスに比肩し得る)高度の教育を行うものに限って新設を認めるというものです。
   {注 ライフサイエンス=生命科学
     生命現象を生物学を中心に化学・物理学等の基本的な面と、医学・薬学・農学・工学・心理学等の応用面とから総合的に研究しようとする学問(ウィキペディアより)}

 加計学園の獣医学部が ”石破4条件” に適っていないことは、既に獣医学の重鎮である岡本嘉六・鹿児島大学名誉教授が7月7日に発表した「獣医学小史」の中で断定している2 ところです。
2  8月6日 獣医学の重鎮が加計問題で安倍首相を一刀両断!

 日本テレビのニュースと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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加計“「石破4条件」満たさず認定は違法”
日本テレビ 2017年8月7日
加計学園の獣医学部新設をめぐって、弁護士らが会見を行い、「石破4条件」が十分満たされていないまま、国家戦略特区の会議で新設が認定されたのは違法だと主張した。

 7日に都内で会見を開いたのは弁護士や現役の大学教授らで作る「加計学園問題追及法律家ネットワーク」。
 政府はこれまで、加計学園獣医学部の新設において、「既存の獣医養成にない構想」などと閣議決定された、いわゆる「石破4条件」を満たしているとしているが、弁護士らは公表された議事録などを見ても、「石破4条件」を満たすことが確認された形跡はないと主張した。

 その上で、加計学園の加計孝太郎理事長と親密な関係である安倍首相が諮問会議に出席し、発言していることも審議の中立性を欠いていると主張し、今年1月20日に国家戦略特区としての加計学園獣医学部の新設を認めたのは、違法だと指摘した。
 弁護士らは安倍首相にあてて質問状などを送ったという。


    注目の人 直撃インタビュー
民進・桜井充氏「加計学園が認可されれば文科省も追及」
 日刊ゲンダイ 2017年8月7日
閉会中審査で「岩盤規制」を丁寧に説明する手もあった
 疑惑まみれの安倍首相がどんどん追い詰められている。“腹心の友”が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画についての閉会中審査では、政権ぐるみの「えこひいき、ウソ、隠蔽」が一層鮮明になった。攻勢を強める野党は幕引きを急ぐアベ自民をどう追い込むのか。民進党の「加計学園疑惑調査チーム」の共同座長を務め、閉会中審査でも存在感を示した民進党参議院議員の桜井充氏に聞いた。

  ――安倍首相は「丁寧な上にも丁寧に説明を続けたい」と言って閉会中審査に臨みましたが、相対してみてどうでしたか。
 低姿勢で言葉遣いも丁寧になりました。「ヤジをやめてください」「私が答弁しようとするとこうやってヤジで妨害するんです」などという時間稼ぎもしなくなった。しかし、答弁の中身は何ら変わっていません。

――安倍首相は国会答弁を修正しました。国家戦略特区を活用し、愛媛県今治市の獣医学部新設計画の事業主体が加計学園だと知ったのは、加計が認定された今年1月20日だったと強弁し、関与を全面否定しています。
 小泉政権でつくられた構造改革特区を利用して、獣医学部をつくろうとしていたのは知っていて、安倍首相が始めた国家戦略特区での計画は知らないなんてことはあり得ないでしょう。一緒に飲んで、ゴルフをして、腹心の友だと言っているんです。本当に大親友ですよ。仕事の話をしないことがあり得ますか。最初からすべて知っていましたと認めた上で、岩盤規制の問題点を丁寧に説明し、穴をあける意義を説けば「そういうことなのか」と納得する国民もいたかもしれません。

  ――前川喜平前文科次官と会った際に「総理に代わって言う」と発言したとされる和泉洋人首相補佐官は「そんな極端なことなら記憶に残っているが、記憶にないから言っていない」と言い、今治市の職員と面会した疑いが浮上している柳瀬唯夫首相秘書官(現・経産省審議官)は、「私の記憶をたどれば会っていない」と答弁した。いずれも「記憶」という言葉を使っています。
 両方とも断定して否定できない苦しい答弁だということです。「記憶にない」という言葉は、逃げるための常套手段。事実と記憶が違っていても、記憶ならば、そこで免責になるわけで、ウソをついたことにはならない。頭のいい官僚であれば、必ずそういうふうに答弁に逃げ道をつくっているのです。ただ今回、国民の多くは、断定して答弁する前川前次官と違って、和泉、柳瀬両氏の「記憶」と前置きした答弁に「何かあるな」と思ったはずです。

  ――政府と自民党は閉会中審査で新しいものは出なかったとして幕引きしようとしています。
 新しいものが出ていないわけではない。7月22、23日に加計学園が開いたオープンキャンパスの問題は我々が新たに提示したものです。

――認可の結論はまだ先なのに、獣医学部を設置予定の岡山理科大で配布したパンフレットに<合格後、引き続き受験勉強を続け、一般入試でワンランク上の大学、国公立大学にチャレンジすることも可能>と記載していた件ですね。
 加計学園は「先に私学の合格を勝ち取った上で国公立にトライできる、という意味」と説明していますが、取り方によっては、仮面浪人を推奨しているようにも受け取れる。既存の大学では対応できない“最先端の研究”を行うと言っていたのですから、胸を張って「本学に来てください」と言えばいい。そう言えないのはなぜなのか、と思ってしまいます。政府側から関与を否定する証拠も出ないので疑惑は解明されていません。真相が明らかになるまで追及し続けなくてはならない。国民の皆さんも大多数がそれを望んでいると思います。われわれだって、親友と会って飲んだり、ゴルフをしたりすれば仕事の話はしますよね。全く話題にならなかったというほうがおかしな話だと思うんです。

行き過ぎたトップダウン人事に官僚が反乱
 ――8月末に予定されている文科省の大学設置・学校法人審議会で認可するかどうかの結果が出されます。
 安倍政権は認可が下りれば、「問題がなかった」と幕引きを図るつもりでしょうね。われわれは現状では特区を仕切る内閣府を追及していますが、認可が通ったとなれば、文科省にも矛先を向けざるを得ません。引き続きやっていきます。加計問題はまだまだこれからです

  ――安倍政権をめぐる一連の疑惑で、公文書管理や情報公開のあり方が問われています。官邸は都合の悪い文書は怪文書扱いしますが、加計学園や南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽問題でも、内部文書がどんどん流出しています。
 文科省の問題も防衛省の問題も根本は同じです。つまり、官僚の反乱です。トップダウンと言えば聞こえがいいが、安倍政権のやっていることは明らかに行き過ぎです。それでも本当にやらなければならないことであればついて行くんでしょうが、そうじゃないからみんな頭にきている。だから、内部リークが相次ぐのでしょう。安倍政権は2014年に内閣人事局を発足させ、官邸が部長、審議官級以上の約600人の人事権を掌握し、官僚機構をコントロールできるようになりました。国のためにやるべき政策が歪められ、政権の顔色をうかがわざるを得ない。納得できない人事が行われている。何とかこの状況を変えたい、と思っているのでしょう。

  ――ただ、民進党の調査チームに出てくる官僚の答えぶりを見ていると、どこを向いて仕事しているのかと思いますが。
 2012年ごろでしょうか、畑中龍太郎金融庁長官(当時)と飲んだ時、「政治家ごときに負けてたまるか」と言われ、「官僚ごときに負けられない」と言い返したことがありました。日本のために何とかしなければならないという意識は昔の官僚の方が強かったんじゃないかな。今は目の前のことを淡々とこなしていく、いわばサラリーマン化しているところがあります。

国民目線に立てないから民進党は受け皿になれない
  ――安倍政権の内閣支持率はつるべ落としですが、野党第1党の民進党も低迷しています。政権に批判的な有権者の受け皿になり得ていません。
 執行部には国民が何を求めているかという視点をもって行動してもらいたい。党綱領で「共生社会」を掲げていますが、理想を一方的に訴えるだけではなく、国民からの声にもっと耳を傾けなくてはなりません。例えば、有権者に対して意見を訴える場合、東京選出の議員や候補者は街頭演説ぐらいしかしないんですよ。だから、風が吹いたら勝ち、吹かなかったら負けるのは仕方ないで済まされる。地方の選挙はそうはいきません。僕は一人一人と膝詰めで話し、地道な活動をして支援者を増やしてきた。地元の方々から、与党で力を発揮して欲しいと言われることもあります。民進党が政権を取れると思っていないからそんな話になる。右と左ではなくて、本気で政権を取りにいく気があるのかどうか。そこをもっと明確に提示しなければならないと思っています。

  ――与野党がガチンコ対決した地元の仙台市長選では、昨年の参院選で形になった野党共闘を再現して自公候補を破りました。全国でうまくやれないものでしょうか。
 仙台市の政党支持率は自民25%に対して、民進は18%。それでも約1万6000票差で野党系候補が勝った。地道な活動を積み重ね、地域の信頼を得ていたからです。全国でも地道な活動を徹底していく。議員の数を増やすには、それ以上のことはないのだと思います。

  ――蓮舫代表が辞任し、民進党の体制は一新されます。新執行部には何を求めますか?
 トップに立つ人は玉虫色の話をしないで、もっとエッジをきかせる必要がある。同時に、しっかりと根回しをすれば、党内はまとめられるはずです。とにかく汗をかいていただきたいと思います。
(聞き手=本紙・生田修平)

▽さくらい・みつる 1956年、宮城県仙台市出身。医師。98年に参院宮城選挙区で初当選、現在4期目。財務副大臣、厚労副大臣、民主党政調会長を歴任。